おやすみなさいを言いたくて | Untitled



おやすみなさいを言いたくて(’13)ノルウェーアイルランドスウェーデン

監督:エリック・ポッペ


ふわっとしたタイトルに騙されてはいけないっ(笑)

報道写真家であるジュリエット・ビノシュが自爆テロ犯に同行取材し

爆発とともに彼女も吹っ飛ばされるという衝撃のオープニング。



アイルランドの海辺の町。夫マーカス(ニコライ・コスター=ワルドウ)と

2人の娘たちと暮らす報道写真家レベッカ(ジュリエット・ビノシュ)は

戦争の真実を伝えるべく世界中を飛びまわる多忙な毎日を送っていた。

そんなある日、取材中に生命の危機にさらされたレベッカは

家族のために、もう二度と紛争地域には行かないと決意するのだったが・・・・・。



「ママなんか死んじゃえばいい。みんな悲しんで、それで終わり・・・・。」

彼女の身を案じながら、日々の生活を送らざるをえない家族の苦痛。

下の娘はまだ幼いから、ことの重大さがよく分かっていなけれど

年頃の長女のステフ(ローリン・キャニー)は母親がどれだけ危険かを理解し

家族を省みず妄信的に突き進むレベッカの使命感に理解できずにいる。

生きているのか、死んでいるのか、分からない状態で母親を待つ苦しみゆえに

「ママなんか死んじゃえばいい。」 なんて心にもない言葉を発してしまう。



「誰かが伝えなければならない。 その “誰か” が母だった・・・・。」

「A Thousand Times Good Night」 “何千回ものおやすみを” という

シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」から引用された原題は

毎夜、当たり前のようにささやく “おやすみなさい” がどれだけ幸せなことか。

紛争地域の家族たちは、今夜 “おやすみなさい” を言えるかどうかも分からない。

母でありジャーナリストでもあるレベッカは、そのことを誰よりも強く感じている。

何千回言っても言い足りない “おやすみなさいを言いたくて”

薄っぺらい家族愛を見せつけられたらイヤだな~ なんて思って観ていたのですが

最後の最後、レベッカはこれ以上ない現実と向き合うことになるんです。

紛争地域の過酷な現状とアイルランドの雄大な自然との対比が見事でした。




使命ある仕事か、愛する家族か―。
紛争地域を取材する報道写真家レベッカの決断とは?
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