毛皮のヴィーナス | Untitled



毛皮のヴィーナス(’13)フランス国旗ポーランド国旗

原作:レオポルド・フォン・ザッヘル=マゾッホの
                    「毛皮を着たヴィーナス」を基にした戯曲

監督:ロマン・ポランスキー


ポランスキーも高齢だから(今年82歳)、あと何本新作を撮ってくれるだろう。。。

だなんて思っていたら、いやいや勝手に早死にさせないでくれ! 

って言われそう(笑)。 新境地を切り開こうとする意欲には頭が下がります。



自信家で傲慢な演出家のトマ(マチュー・アマルリック)は

オーディションに遅刻してきた無名の女優ワンダ(エマニュエル・セニエ)に

押し切られ、渋々彼女の演技を見ることになる。

がさつで厚かましく、知性の欠片も感じさせないワンダだったが

演技を始めてみると、役への理解もセリフも完璧だった。

最初はワンダを見下していたトマも次第に惹きつけられ

やがて2人の立場は逆転。トマはワンダに支配されることに酔いしれていく。



古びた劇場の中だけで展開される、ほんとに二人しか出てこない二人芝居。

オーディションのアポも取っていない頭の悪そうな女優をあっさり追い返していれば

この映画は、2分で終わってしまう(笑) しかし、ワンダが勝手に演じ始め

彼女の演技と謎めいた魅力に惹きつけられ、終いには「もう少しいてくれ・・・・」

とさえ言ってしまう演出家のトマ。 ずるずると彼女のペースにはまってゆき

舞台劇の内容と同じように、彼女の支配下に置かれてしまう・・・・・・

話が進んでいくうちにマチュー・アマルリックがポランスキーに見えてきて(笑)

よくよく見たら、若いころのポランスキーに似てますね。

キャスティングの段階から狙っていたのかも。。。。



「いったい、君は何者なんだ?」

ポランスキーの奥さまでもあるエマニュエル・セニエは

演技派女優というよりは、お色気担当女優(笑)というイメージでしたが

この映画での演技は、スゴいんです。スイッチの入り方が・・・・

劇場にドタバタ入り込んだときは、ほんとバカっぽい女なんですけど

いざ舞台劇の演技になると、カチッとスイッチが入って顔つきが豹変するんです。

で、オフモードになると、またバカ女に戻って(笑)

ただ、バカ女に見せといて、会話の中に知性が見え隠れしたりして

そういうことを繰り返していくうちに、その境界線がなくなってくるんです。

虚構と実像がない交ぜになって、ほんとうの “毛皮のヴィーナス” へと変貌するんです。





その悦びを、あなたはまだ知らない。
80歳にして発展を続ける巨匠ロマン・ポランスキーが仕掛ける刺激的な二人芝居!!
毛皮のヴィーナス [DVD]/エマニュエル・セニエ,マチュー・アマルリック

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