肉体の冠 | Untitled



肉体の冠(’51)フランス国旗

監督:ジャック・ベッケル


“恋も殺人もない映画など考えられない”

映画評論家の山田宏一さんがこんな言葉を残していたけど

そこには、恋があり、殺人があり、そして、映画があり・・・・・

実在した伝説の妖婦マリーをモチーフにした作品。



美しいブロンドの髪を兜型に結っていることから

“黄金の兜”と呼ばれる娼婦マリー(シモーヌ・シニョレ)

彼女にはロランという情夫がいたが

彼への恋心は冷め、気まずくなっていた。

ある日彼女は、カフェで仕事をしていた

大工のマンダ(セルジュ・レジアニ)と恋に落ちる。

激しい決闘の末、マンダはロランを殺してしまい

マリーを連れて逃亡するのだが……。



生き生きとしたパリの街並、カフェで優雅に踊る男と女。

緑色づく木々や草原、水面をゆっくりと滑る小舟。

川辺で寝転がっているマンダに、そっと寄り添い彼の寝顔を見つめるマリー。

生理的に食い込むような物質的な音を強調した 『穴』 とは対照的に

小鳥のさえずりが、やさしく耳に響いてくる。

ジャン・ルノワールから受け継いだ幸福感あふれる映像。

もちろん、冷徹なまでのフィルム・ノワール的な映像もしっかり見せてくれる。



“黄金の兜” は、強い意志の表れでもある娼婦マリー、シモーヌ・シニョレ。

その髪をほどく時は、愛する男の前だけ。

彼女の存在により、すべての男たちが不幸になってしまう(笑)

そんな妖婦マリーを、職人気質のジャック・ベッケルは

安いっぽい悲劇のヒロインになどせず、最後まで強い意志を貫かせたのです。





19世紀のパリを舞台に、実在した女性をモデルにシモーヌ・シニョレ主演で描いた人間ドラマ。
舟遊びをしていた娼婦マリーは、情夫ローランへの嫌がらせから大工のマンダを誘い踊っていた。
これが事件の始まりとなり、悲劇的な結末へと向かっていく。
肉体の冠 [DVD]/シモーヌ・シニョレ,セルジュ・レジアニ,クロード・ドーファン

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