■受講日
14/01/22
■場所
E-learning
■学習目標・対象
・問題解決の手法を学ぶ
■配布資料
・なし
■内容
1.問題とは
「あるべき姿」と「現状」との間に差がある状態をいいます。
1-1.問題発見とは
物事の「あるべき姿」をイメージし、「現状」と比較することでその差を認識することができます。
実際にはあるべき姿をイメージできなかったり、現状を正しく把握できないために、日々の仕事や生活において問題の存在さえ認識できていないことが意外に多いのです。 現状が満足できる状態であればいいのですが、ビジネスの世界では日々情勢が変わりやすいため、現状に不満のない理想的な状態であり続けるという方がむしろ難しいといえます。 そこで自ら問題を発見し、あるべき姿に向かって現状を改善していく意識をもつことが重要になります。
1-1-1.問題を見過ごす。なぜおきる。
現実にはあるべき姿をイメージできなかったり、現状を正しく把握できないために、初めから問題を発見することさえできず見過ごしてしまうことが多々あります。
その原因として「意欲や知識の不足」、「思考力の欠如」、「論理の見落とし」の3つがあります。
意欲や知識が不足していると、「こうなりたい」、「こうあるべきだ」といったあるべき姿が描けないために問題が発見できません。
思考力が欠如していると、いつも同じような思考パターンしかできず、あるべき姿をイメージし、現状の問題点を把握することができません。このような思考力が元々備わっていればよいのですが、実際には色々な経験や訓練を通して身に付いてくるものです。
論理の見落としがあると、物事の筋道が間違っていること自体を見落としているため、結論が異なっていることに気付きません。その結果、現状の認識を誤ったり、真のあるべき姿をイメージできなかったりするのです。これを避けるために、よくありがちな論理の見落としのパターンを知り、正しく論理把握できるようにする必要があります。
1-1-2.思考技術とは
事象の意味することを正しく考え、理解するための手法のことをいいます。
問題を発見することができない原因の一つとして、問題を発見するための思考力が欠如していることが挙げられます。
具体的には、思い込みの排除、反証的思考、多面的視点、システム思考といった思考技術が挙げられます。
1-1-3.論理把握とは
議論や思考において結論を導く筋道が正しいかどうかを見極め、結論の妥当性を判断することをいいます。
問題を発見することができない原因の一つとして、議論や思考の論理把握ができていない、論理の見落としがあります。
そこで、問題発見を容易にするために、論理を見落とさずに正しく論理を把握することが必要なのです。
そのためにはさまざまな論理把握のための留意事項を知っておくことが必要なのです。
1-1-3-1.論理とは、
ある事象から結論を導き出す議論や思考の筋道のことをいいます。
1-2.思い込みとは
過去の経験から得た知識や考え方に自分自身がとらわれてしまい、公平な考え方で物事を把握することができなくなっている状態をいいます。
新しい何かを知ろうとするとき、過去の経験から得た知識や考え方によって理解を助けられます。 このとき、それらが正しく機能すれば問題はないのですが、前提となるその知識や考え方自体が間違ったものだったり、かえって理解を妨げてしまうような場面もあるのです。
1-2-1.多面的視点とは
事象を正しく認識するために、さまざまな角度から眺めて考えることをいいます。
形をもたない抽象的な事象についても、それを正しく認識するためには視点を一つに固定しないで、色々な視点から観察しなければならないのです。人は自然と常に同じ視線で物事をみてしまう傾向があり、客観的に正しく物事をとらえるためには、意識してさまざまな視点から物事をみる習慣を付けなければなりません。 多面的視点をもつために、顧客や競合他社、上司や部下、または経営者といったような自分とは異なる立場の人の視点で物事をみてみるとよいでしょう。
1-2-2.反証的思考とは
一見正しそうな主張や命題でも一度は否定的に考えてみることで、より優れた解を見つけるという考え方です。
1-2-2-1.反証とは
相手の主張が間違っていることを証拠によって示すこと。科学や法律の世界で用いられる手法です。
まず正しいと信じられていることを否定的に考えてみることで、自身の心理的な枠を壊してみることが必要です。
1-2-3.システム思考とは
問題となる対象を部分としてではなく、全体的な視点からとらえる考え方です。
元々システム思考の背景には、事象を機械のような秩序だった存在として考えて、それを細分化し、精密に分析すれば正確に理解できるという近代科学の考え方があります。近代科学的な考え方に立てば、部分の集合が全体であるから、部分の最適化を図れば全体が良くなるということになります。これに対し、現在のシステム思考とは部分同士が相互依存の関係にあるので、問題となる対象を切り離してとらえるのではなく、全体としての解決策を追求していくことになるのです。
事象を細分化してとらえることも重要ですが、部分だけに注目していると、「部分は良くなったが全体では悪くなってしまった」ということや、また、「些細な部分にとらわれることで重要な他の部分を見落としてしまった」などという事態になりかねません。
1-3.事象の関係性とは
複数の事象があるときに、その事象間における相互の関わりのことを指します。
1-3-1.相関関係とは
複数の事象が互いに影響しあい、一方が変われば他方も変わる事象の関係性のことをいいます。
1-3-1-1.因果関係とは
相関関係の中でも、一方が起きたことによって他方が引き起こされるという原因と結果の関係性があることをいいます。
1-3-1-2.問題とは
それを引き起こす原因の連鎖によってもたらされた結果であり、問題を認識するためには、その事象の関係性、特に因果関係を正しく把握しなければなりません。 ところが、因果関係はいつも明らかなわけではなく、複雑に連鎖していたり、時には因果関係がないにも関わらず因果関係があるように見えたりします。 事象の関係性を正しく見極めて問題を発見するためには、特に先後関係との混同、相関関係との混同の2つに注意が必要です。
1-3-1-3.先後関係との混同とは
先後関係とは、Aが起きた後にBが観測される関係です。多くの出来事は、時間的には順序立てて発生しますので、Aが起きた後にBが起きると、互いに因果関係がなくても、AがBを引き起こすと誤って判断してしまうことがあります。
1-3-1-4.相関関係との混同とは
相関関係があるということは因果関係が成り立つ条件ではありますが、相関関係が成り立てば、必ずしもそれが原因と結果の関係には結びつかないということを理解しておきましょう。
1-3-2.隠れた前提とは
論証において説明が冗長になることを避けるために、前提条件を省略することをいいます。論証による結論が成り立つためには、その前提が正しくなければなりませんが、それがあまりに普遍的な真理であると、誰にとっても周知であるため、かえって説明を省略することが一般的です。自明なことは省略した方がより効率的なコミュニケーションがとれるからです。ところが日常の会話においては、前提の普遍性が必ずしも証明されていないにもかかわらず、その正当性が自明であると思い込んで説明を省略してしまう場合があります。このように前提の正しさを証明しないまま導かれる結論は、間違いを含んでいる恐れがあるといえます。
過った結論を導かないためには、普遍性のある前提を設定すればよいことになりますが、ビジネスの現場では白黒はっきりしない事象に満ちていますので、常に理想的な前提を見つけることは難しいのかもしれません。過った結論を導かないためには、普遍性のある前提を設定すればよいことになりますが、ビジネスの現場では白黒はっきりしない事象に満ちていますので、常に理想的な前提を見つけることは難しいのかもしれません。過った結論を導かないためには、普遍性のある前提を設定すればよいことになりますが、ビジネスの現場では白黒はっきりしない事象に満ちていますので、常に理想的な前提を見つけることは難しいのかもしれません
1-3-3.安易な一般化とは
ある事象から普遍的な結論を導く際に、その個別の事象が全体を表す代表的なサンプルでなかったために、誤った結論を導いてしまうことです。これは推論する場合に陥りやすい間違いであり、推論によって正しい結論を導くためには、普遍性をもちうる全体の代表的な事象を対象に選ばなければなりません。
そこで、事象の数を増やす、つまりサンプル数を増やすことで事象が代表的なものかどうかを確認する必要があります。しかしながら、ビジネスの現場では全体を把握することが難しい事象が多く、また限られた時間の中で結論をくださなければならなかったり、サンプル数を増やすことに費用がかかったりします。したがって、限られた観察事象から結論を導かなければならないことになりますが、そのような場合は、結論はあくまでも仮説であるという認識をしたうえで、事実をもって仮説が検証されるかどうかを確認しなければなりません。
1-3-4.論理のすり替えとは
議論の途中で論点がすり替わってしまうことをいいます。論理のすり替えがあると、本当に議論したかったことを議論できず、行うべき思考プロセスを経て結論を導くことができません。そのため、有効な結論に至ることができない危険性があります。論理のすり替えに気付くためには、議論の途中で始点に立ち返り、論点が何か、議論のゴールが何かを振り返ってみるとよいでしょう。