私のオーナーさんは花農家だった。
夫婦で菊を栽培出荷、住宅展示場の駐車場を貸している。
収入源はそのくらい。
そのくせ、土地持ちなので固定資産税は年間250万支払っている。
確定申告書類を見る限り
ギリギリの生活をしているんだと思った。
ご主人は、書類を見せるなり
収入が少なすぎて驚いたでしょう・・・と
少し恥ずかしそうに言った。
それなのに、孫の大学費用も子供に代わって全て支払っていたと。
老体に鞭打って、体壊すまで働いて
ほんと凄いなって思ってた。
うちの母親と同じ年代…
農家の地主さんをみていると、親が情けなく感じる。
今回のアパート事業をするにあたり
立地は良いので、家賃設定も高く、駐車場も多くとれるので
それなりの収入にはなるが、建物が高額のため
年間の収益にしたら、必要経費と借入を引いて
固定資産税くらいのプラスにしかならない。
でも、ここで借り入れを作らなければ、相続時に土地売却となって
相続税を払うか、独身の長女、バツイチ子持ちの次女の預金で
支払うしかない…と言っても6000万円も払えるのか!?
先代の相続でかなり土地を売却したので
もう切り売りしたくないとおっしゃっていたので提案したが
心のどこかに、本当に良いのか?少し不安はあった。
オーナーさんの融資審査の場に立ち合った。
行員から、通帳を目視したいので用意してくれと言われたので
オーナーさんに伝えた時に
ほんと、少ししか入ってないから恥ずかしいと言っていたので
なるべく通帳の中身を見ないように心掛けた。
我ながら、そんなところで気を遣うなんてアホだと思ったけどw
目の前で行員が確認している。
見ない様に心掛けてはいたけど、私自身把握しとかないと
何かあったときに、やばいんじゃないか?と瞬時に感じたので
カンニングをする目つきでパッと見てみた。
そしたら…
すげぇじゃん。
これじゃあ、マルサも来るわな。
薪でお風呂を沸かして
昔ながらのソーラーで蓄電。
野菜は畑で栽培しているのでほぼ買ったことがないとのこと。
買い物は、肉魚くらい。
後は猫のごはん程度。
同居独身の長女は介護職で自分で稼いでいる。
出かけると言えば、畑と病院くらい。
質素倹約しながら、いつかくる相続税に備えていたんだ…
夫婦の預金は、合わせて億近くある。
もっと借り入れしなきゃダメなんじゃん…
マンションでも提案すれば良かった。
こうなったら、第二期、三期をやってもらうしかないな
なんて思ったりもするが、凄いと驚きしかなかった。
そう考えれば
高級レストランでのお食事、海外旅行、ブランド品。
人からどう見られたいかなんて、器が小さすぎる。
逆に見栄の塊の人が恥ずかしくも感じられる。
土と太陽、風の動きを感じ
作物を育て食す。
人間本来の生活をしている人は大きい。
そして健康。
これこそ、人生100年時代の代表だと感じた。
そんな器の大きな人間になりたい。