今、不意に、中学生時代の頃を思い出した。
中一の冬に、突然、喘息になった。
発作が出るたびに、苦しくて、発作に怯える日々が続いた。
2週間程入院して、1ヵ月ぐらい自宅で療養していた。
そんなある日、私は居間でテレビをぼーっと見ていた。
父と祖父が何か話していた。
よく聞くと、私の話だった。
『体力がないけん、変な病気になるんよ』
『運動不足で痩せとるせいじゃろ』
胸に二人の言葉がグサグサと刺さりながら、黙って聞いていた。
自分を否定されて、悲しくて涙が出そうになったけど、ずっと堪えてた。
そんな私を見かねて、オカンが、
『お父さんが四六時中、家でずっと煙草吸ってるせいでもあるんじゃないん?』
『この子だって喘息になりたくてなったわけじゃない』
と。
一気に涙があふれた。
父親のせいだと思う自分と、やはり自分の体が弱いせいだと思う自分がいて。
じゃあ、こんな私なんて生まなきゃよかったじゃんとか、不満があるなら殺してほしいとも思った。
私が言うのもおかしいかもしれないけど、私の父は凄い人だった。
嫌な部分もあったが、尊敬していたし、そんな父で私は鼻が高かった。
でも、逆にこんな子供で申し訳ないと思っていた。
今もそう。
父を亡くし、大黒柱になって家族を支えていかなきゃいけない自分が、オカンの世話になってる。
オカンに、『すみません』と言いながら、病院代を受け取っている。
父に申し訳ない。
父はどう思っているのか。
やはり、情けないやつだと思っているのだろうか。