近々入院が予定されている私は、最近検査の為に病院に
通っている。

 先日は、血液と心電図と肺括量とレントゲンの検査だった。
 最後のレントゲンで、やっと一通り終る。

 受付を済ませ、名前を呼ばれて中に入った。

 「パンツ以外は脱いで検査服に着替えてください」。

 レントゲン技師にそう言われ、私はカーテンで仕切られた
小さなスペースで支度をした。

 撮影の準備が整い「はい、息を大きくすって。そのまま
止めて。楽にして」と、一枚撮り終った後に、まずいことを
思い出した。

 エレキバンを貼ったままだ。
 「あの、エレキバンを取るのをわすれてました」

 検査技師は急いで写真を確認しに行き、「本当ですね。
取りますけど、いいですか」と言って、肩に貼られたエレキ
バンをはがしてくれた。

 もう一度写真は撮り直され、違う向きでさらに一枚撮って
着替えはじめた時「あとひとつ、残ってましたね。でもいい
ですよ」と、検査技師の声が後ろから聞こえた。

 「偶数で貼るものだと思ってたので、4枚はがして安心
していたら、そうじゃなかったですね」

 私は、恥ずかしいなんてものではなく「すみません」の
一言しか言えなかった。

 着替えを終え、レントゲン室を出て会計窓口に着いた時
私は会計用の書類を持っていないことに気付いた。

 レントゲン室に忘れてしまったのだ。

 あー、最悪。また戻る私の足取りは激しく重かった。