幼い頃、祖母の家に行くのがユーウツだった。
 
 伊勢崎の某所に有った祖母の家は、兎に角怖い。
 
 まず玄関を開けると広い土間になっていて、部屋に上がるには、
大きな石に乗って「そのまた上」。
 
 縁の下の広い暗闇に足を掴まれそうな気がしたものだ。
 
 幾つかの部屋は繋がっているが、台所や風呂場に行くには、
「あの」土間を通らねばならない。
 
 もちろんトイレも(汲み取り式のトイレが裏庭にポツンと建ってた)で
間違っても夜は行けない。
 
 その他にも、終日喋り続ける有線放送(オフトーク)や井戸など
不思議なモノばかり。
 
 防風林に囲まれた広い家と畑や空き地。
 
 空にはとんびが舞い、砂利道が続いていた。
 
 今となっては県内随一の「新しい街」に変貌したが、まるで別世界の
様な田舎の風景が、2.30年前までは有ったのだ。