あの後、私はそのまま亜嵐くんの家で朝を迎え、起きた時は自分が何をやってるのか理解できていなかった。

抱き締められたまま横になってたから
…。

亜嵐くんの顔が近くて、寝息も聞こえるくらい近くて、逞しい体に包まれて、更に、心臓が高鳴った…苦しいほどに。

とにかく、亜嵐くんが私を襲わなかった事だけはありがたいと思った。

亜嵐「ん……ん…むにゃむにゃ。」

何か…、可愛いかも…寝顔…。

私はそっと亜嵐くんの柔らかい前髪にそっと触れると、

亜嵐「う、うん…?」

あ…起こしちゃった。

亜嵐「あ、○○ちゃん…。おはよ…。」

『お、おはよ…。クシュッ…。』

口を両手で隠し、小さくくしゃみをした。そういえば何も掛けずに寝ちゃったんだ…。

亜嵐「あ、寒かったな。ごめん…。」

『う、ううん、全然。亜嵐くんに抱き締められてて温かかったから寒くなかったよ…。』

うわ!こ、こんな恥ずかしいこと、良く私の口から…。

『わ、私…帰るね?//』

亜嵐「え?もう?」

『だって、親に黙ってお泊まりしたから…。すぐ、帰らないと…。』

亜嵐「じゃあ、送るよ…。」

亜嵐くん有無言わせず、電車乗ってわざわざ家まで送ってくれた、

亜嵐「なぁ、○○ちゃん。今日デートしない?」

亜嵐くんが唐突に言った。一瞬耳を疑ったほど。

『え…え!?』

亜嵐「なんか、用事ある?」

『いや、特には…。』

用事ってより…ユキに報告…?

亜嵐「じゃあ、決定ね!あ、クリスマスも空けといてくれない?」

『う、わ、分かった。』

亜嵐「よし!じゃあ、後でメールするね!!」

あれから3時間経っても、まだ着る服が決まらなかった。

ユキに電話すると、

~~~~

ユキ「行っちゃいなよー!チャンスだよ!?」

~~~~

チャ、チャンス?な、何の?

そして、悩むこと1時間…ようやく服を決め、髪型とメイクも整えて、時計台の下の待ち合わせ場所のベンチに着いた…。

完全にやばい…ドキドキする。

待つこと5分、聞き覚えのある、優しい声が私の耳を支配する。

亜嵐「○○ちゃーん!!」

『亜嵐くん!』

立ち上がり、走ってくる亜嵐くんに笑顔を見せる、

亜嵐「お待たせ!じゃあ、行こっか!」

歩いていくと、私も着いて行った。まず先にどこに行くのか聞くより、気になった事を聞いてみた、

『ねぇ、亜嵐くん…。』

亜嵐「ん?」

『迷惑じゃなかった?せっかくの休みなんでしょ?』

亜嵐「え?○○ちゃんは迷惑だった?」

『う、ううんっ!』

思いっきり首を横に振ると、亜嵐くんがニコッと笑い、

亜嵐「じゃあ、俺も迷惑じゃねーよ?むしろ、もっと、○○ちゃんの事知りたい!」

ドキッ…。

そんな事…言わないでよ…。本気で好きになっていいの?出会って、一日半にもならないのに…。

私達は水族館に行った。色んな魚を見て、亜嵐くんがはしゃいでて、可愛かった。可愛いって言うと亜嵐くんが拗ねるのがまた可愛かった。

亜嵐「俺、すげー水族館久しぶりなんだけど。」

水族館にあるカフェで一休みしてると、亜嵐くんが買ったチャイを少し飲んだ後、そう言った。

『私も!…小学生ぶりかな?』

亜嵐「そうなんだ!ねぇ、○○ちゃんが小学生の時どんな感じだったの?モテモテだったでしょ?」

『そんな!成績は良くなかったし…人気無かったよ?』

亜嵐「えー!嘘だー!可愛いのになんで?」

か、可愛い…?あー、ダメだ…勘違いしすぎだ!!

『亜嵐くんこそ、モテたでしょ?』

亜嵐「俺は、教えねー!」

『えー、教えてよー!ズルいじゃん!』

亜嵐「嫌だー!」

『教えてよぉー!』

亜嵐「じゃあ、キスして?」

…へ…?

亜嵐「あ…ご、ごめん…冗談だよ!//」

『う、うん…。』

これって…付き合ってるって言うの…?それとも、遊び…?

私は完全に亜嵐くんにハマっていた…深く…。

~翌日~

冬休み突入して、とあるカフェ。

ユキ「で?どうなったのよ!!」

『何が?』

ユキ「シタの?」

『ば、バカ!相手はファンの多い芸能人だよ?』

ユキから、すべてを聞いて、あれから、亜嵐くんに気軽にメールが出来なくなってた。

『普通にお昼食べて、家まで送ってくれて、終わり!!』

ユキ「ふーん。あ、そう…。隼くん、好きな子いるってさー!だから、即!メルアド電番削除!」

『あ、そう…。』

ユキ「白濱くんのことだけどさ、気がなきゃ誘わないでしょ?普通。」

『そ、そうかな?』

ユキ「きっと、そうだよ!自分の気持ちを信じて見な?」

『…よし!!決めた!』

ユキ「な、何!?いきなり!」


亜嵐くんに…好きって伝える!!


~12/25ークリスマスー~

あれから、2日経って、亜嵐くんにこの気持ちを伝える準備が出来た時、メールが来た。

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Fr: 白濱亜嵐

時間空いてる?○○ちゃんの時間をください。
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亜嵐くんからだ!心臓バクバク!

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To:白濱亜嵐
はい。亜嵐くんのとこに…行こっか?
~~~~

大丈夫かな…文面…。…送信っと!

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Fr:白濱亜嵐
無視されるかと思ってビビった(笑) 大丈夫!ある人に迎えに行かせてるから、家にいな?
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ある人…?

このメールの後、玄関の呼び出しベルが鳴った。

ドアを開けると、少しいかつそうな人と、白い顔で細い子が立っていた。

『あの…。』

??「○○…ちゃん…?」

『は、はい…。』

いきなり、知らない男の人に名前を呼ばれて、びっくりした。ど、どなた?

玲於「龍友くん、ホントにこの子、○○ちゃんなんすかね?人違いじゃないすか?」

龍友「バカ!○○ちゃんに失礼だろ?」

『あ、あの…。』

龍友「あ、ごめんね?俺、数原龍友って言います。こっちは佐野玲於。俺等、白濱亜嵐に言われて、○○ちゃんをエスコートしに来ました。」

『エスコート?』

あ、この2人が。亜嵐くんの言う「迎え」?

玲於「とにかく、僕達に着いて来てね?」

私はとにかく、可愛いよそ行きの服を来て、髪も整えて、亜嵐くんのいるマンションへ、2人と向かった。

龍友「じゃあ、俺等はここで。」

玲於「楽しんでね!」

玄関まで来ると、2人はそそくさと去って行った。

『は…はぁ…。』

玄関のドアを開けると、亜嵐くんが真っ先に出迎えて待っててくれた。

亜嵐「メリークリスマス!○○!」

満面の笑顔でラフな格好がステキで、ついにやけそうだった。

『メリークリスマス!』

亜嵐「さ、入って?」

『お邪魔しまーす。』

リビングに入ると、前来た時より部屋中がクリスマスの飾り付けで華やかになってた。

亜嵐「今日はさ、○○のために、クリスマス仕様にしたんだ!」

『すごい!イイよ?1人でやったの?』

そう言うと亜嵐くんは誇るような、ドヤ顔のような顔になってて、かっこよかった。

ふと、良い匂いがして、テーブルを見ると、料理が並べてあった、

亜嵐「あ、これ、姉ちゃんに作って貰ったんだ!クリスマス料理!食べよ?」

『わー、美味しそうー!いただきます!』

~~~~

すべて、美味しく頂いた後、クリスマスケーキが出て来て、ベランダで食べることに。

外は少し肌寒いけど、夜景がすごく綺麗で見とれてしまってた。

亜嵐「こっからの景色さ、俺のお気に入りなんだ。○○に会ってからずーと見せてあげたくて…。」

名前…呼び捨てにしてくれた…。嬉しい…。

あ…。

私はすべてを告白しようと思い、ケーキのお皿とフォークを側の小さい机に置いて、柵に腕を寄り掛かり、すべてを言った…。

『亜嵐くん…私ね?クリスマスが嫌いだったんだ…。ずーと、彼氏がいなくて、寂しいクリスマスを過ごすのが嫌で、クリスマスがキライになったの。』

亜嵐「…。」

『でも、今夜亜嵐くんと今こうしていれて、すごく幸せで、楽しくて…苦しいの…。』

亜嵐「くるしい?」

気付いたら隣に居た。

『好きで…好き過ぎて…辛いの…。まだ、全然経ってないのにね?亜嵐くんは…どう思ってる…?私の…こと…。』

亜嵐「俺は…」

『あー!!やっぱいいや!』

亜嵐「?」

『芸能人に告白するなんて、バカだった!(笑) 忘れて?
じゃあ、そろそろ、帰るね?ごちそうさまでした!』

ベランダから出て行こうとすると、急に腕を引かれて…抱き締められた。

亜嵐「行くなよ…。好きだ…。俺も…何故か、○○といると…楽しくて…辛いんだ…。ずっと俺と一緒にいて欲しい…支えて欲しい…。」

抱き締められたまま、耳元でそう囁かれ、私はギュッと亜嵐の服を握った…。

こんなに胸がキュッてなるんだ…お互い好きになると…。

亜嵐が私から離れて、目線が合うと、私の頭を押さえながら、互いの唇と唇が合わさった…。

寒いはずなのに…暖かい…。

目を瞑ると…もう飛んで行ってしまいそう…。

心地いい…。ずっとこうして居たい…。

好きな人を見つけた…。

その人の名は…白濱亜嵐…。

私をクリスマス嫌いから救ってくれた…愛しい人…。

ありがとう…亜嵐くん…。

これからもずっと、あなたを好きになってですか?


~~おわり