映画 そこのみにて光輝く。。。
 出演 。。。綾野剛 (達夫)  池脇千鶴(千夏) 菅田将暉(拓児・千夏の弟)
   高橋和也  火野正平 伊佐山ひろ子 田村㤗二郎  さん

 呉美保監督。 原作佐藤泰志さん。  脚本高田亮さん。
 配給 東京テアトル



ストーリー(映画チラシより)
北の港町で出会った男女。男は辛い過去から逃れられずに自暴自棄な生活を送り、
女は弟や両親を養うために自分を犠牲にして生活していた。

作家・佐藤泰志の、三島由紀夫候補作で最高傑作を映画化。
生きていくことに痛みを抱えながら、あがき踏み出そうとするそれぞれの
愛のかたちを描きだす。
 函館の美しくも短い夏を舞台にした
 ~愛を捨てた男と愛をあきらめた女の切ないラブストーリー~

 モントリオール世界映画祭ワールドコンペティション部門正式出品決定。


感想。。。
もともとは、綾野くんが出るから見た映画だったが、
私自身、作品全体がとてもすばらしくて、とても惹かれる映画だった。
ただの恋愛映画でなくって、背景に家族や貧困やしがらみやどうしようもない
悲しい事情があったり。。。
そんな中での
  函館を舞台にしたひと夏の、
 愛を捨てた男と 愛をあきらめた女の 二つの魂が引き寄せあう物語。。。
  達夫と 千夏と 拓児 の 不器用だけれど でも必死に生きているから、
 悲しくも はかなくも、 愛さずにはいられない 三人の物語。。。

何だろう。。。見終わったあとにも、またじわしわと感情が湧き出てくるの。。。
三人が愛しくって、そして救われてほしい。。。幸せになってほしい。。。って
祈りたいような。。。
悲しさの中にとても 優しい光に包まれるような映画でした。。。

ただの恋愛映画でないから、家族がからんでくるからこそ、
またこの三人たちに惹かれて、私は魅せられてしまった
のかもしれない。。。

父の病気、想像を絶する貧困、歪んだ性、しがらみや愛憎、
薄汚れているよう感じるけれど、この千夏に扮する池脇千鶴さんは 「闇と光」を、
せつなさ、はかなさを、
心の機微を繊細に、すばらしく演じきっています。。 私は絶賛したいです!



達夫と千夏の関係・・・出会ったときから、
 この二人は、恋に落ちていたんだろうなぁ。。。?  
魂が引き寄せてたんだろうなぁ。。。?
言葉がなくっても、 惹かれて、意識しているのが伝わってきました。。。

そして、海でのラブシーン。。。とても自然に結ばれ。。。そして美しかったです。

達夫の部屋でのベッドシーン。。。
突然の恋。。。愛。。。初めての純愛。。。真実の愛。。。
愛し合うってことの尊さ、何もかもを包むような優しい愛。。。
とても自然に結ばれた美しいシーン。
映画全編に、ピアノの旋律が流れますが、
その中でも、このシーンは、ピアノがよりはかなく美しいシーンとしていった気がします。。。

呉美保監督。。。女性監督ならではの優しい目線で繊細な描写だったと思います。。。


この映画、綾野剛くんと 池脇千鶴さんの 立ち位置っていうか、
二人があるいている姿も、優しさ・あたたかさをまとっているようで、とても 印象的です。


ラストの。。。光を浴びながら、千夏のつらそうな泣き笑いの表情、
どうしょうもなくそれを静かに受け止める達夫の優しいまなざし、
だまって見つめあう二人は悲しくも美しすぎた。。。


綾野くんは、この映画では、動ではなく静の演技。
どちらかというとたたずまいでの演技というか、存在感というもので
この映画での役割を果たしているかのように感じました。。。


そして、 池脇千鶴さんに続き、この 菅田将暉くんの演技。
こちらにも、 私は見終わったあと、絶賛したくなりました~。

この達夫の近くで、拓児はいつも周りでちょろちょろとしているんだけれど、
このちょろちょろ感が、なんともたまらなくいい味をだしているんだよね~(笑)☆

拓児は、なんとも稚拙で無垢で
不器用な中にまっすぐで、とっても人なつっこくてかわいい弟なのに、
on!がはいっちゃうと、とっても狂暴になってしまって~。
自慢の姉、大好きな姉をばかにされちゃった時の 
あの 演技の、狂気的なのにも驚かされました。
  この映画ではなくてはならない 拓児役の 菅田くんだったと思います。。。


高橋和也さんは、千夏の愛人役ですが、まぁ四十男の身勝手さや執着や束縛や女々しさや、
とても人間くささ、汚さなど 心の機微をうまく演じきっていたと思います。

この映画の出演者たちは、皆々が作品の中で、とても役の中で、生きて、輝いて、
すばらしい演技をしていたと思います。。。

実は。。。
私、 この映画一回目見終わって、
何だろう。。。?わからないけれど気になってしょうがない。。というか、 
これが魅せられて。。。惹かれて。。。っていうことなのかな?
 また  この映画の  達夫と 千夏 と 拓児 に会いたくなって、
一週間後にまた、二回目を 見に行ったんです。。。

今度は また 違うところにも気になって、
とても この作品の 奥深さ みたいなものを感じました。。。
佐藤泰志さんの原作もいいし、脚本がまたとてもいいのかなぁ?
これは、 さよなら渓谷などの 脚本家高田亮さんの作品。
若干現在?にアレンジしているところもある?と聞きました。。。
なぜか? 点と点が つながるように。。。 謎解き? みたいにつながっていきました。。
そして、撮影っていうか、 映像にも惹かれてしまって。。。
呉美保監督 すばらしかったです!


大阪テアトル梅田は、二か月以上のロングラン上映で 6/27まで。
そして、 全国順次公開しているので、まだやっている映画館もあるみたいです。。。

私は、またDVDがでたら見てみようと思っています。
また、 別の新しい発見も あるかもしれないからね。。。

そこのみて光輝く 私にとっては、 とても いい映画でした。。。
私の中では、 映画賞今年のベスト10には入ると思ってるし、
池脇千鶴さん(ヒロインだけれど、これは主演?助演?候補)と
菅田将暉くん (新人賞候補。 アカデミー賞は昨年とってるけれどまだ俳優歴が短いので、
他の映画賞で) は、きっと、 名前が上がってくると、思っています。。。

綾野剛くんの新境地を開いた作品であり、
そして、綾野剛くん、池脇千鶴さん、菅田将暉くんがこれからもっと活躍するだろうと感じた作品でした~。




こちらは、呉美保監督。綾野剛・池脇千鶴・菅田将暉くんのサイン入り、ポスター。
シネリーブル神戸にて。 (テアトル梅田にもあったよ!)