ヒントがないのが最大のヒント ―センター英語第3問C
センター英語Ⅲ-Cといえば、4段落の論説文があり、2つめ以降の段落に1つずつ空欄が設けられている、いわゆる脱文挿入問題です。筆記の中では最も正答率が低いといっても過言ではない。なぜ低いのか…理由が判っていればすでに解決してるはずですね。もし選択肢を1つずつ当てはめてみて、意味が通じるかどうか試しているとしたら、おそらく3問に1問は間違えると思います。実は、ヒントがないのが最大のヒントなのです。Ⅲ-Cは論理展開を問う問題です。2000年代前半のⅢはいずれも①指示語②時制③ディスコースマーカーの3点からすんなり正解が導けるものでした。ディスコースマーカーというのは、論理展開を示す語句のことで、前文との論理関係を示す文修飾副詞が中心です。逆接を表すhowever/though対比を表すon the other hand/in contrast結論を導くthus結果を導くthereforeなどが有名です。ところが近年はそんなディスコースマーカーも役に立たなくなりました。選択肢や空欄の前後を見ても、ディスコースマーカーがない場合が多々あります。その結果受験生は「当てはめてみて文脈がおかしくないか」を判断基準にせざるを得なくなっている気がします。でもでもでも!おばちゃんの井戸端会議を聞いていればわかると思いますが、文脈なんてあってないようなものです。おかしいかどうかなんてグレーすぎて判断基準になりません。そんなものをセンターが求めるはずがない!では何が判断基準になるのか。もちろん論理展開です。より正確には「英語らしい情報の並べ方にできますか?」という問題です。英語らしい情報の並べ方とは何でしょう。ネイティヴにとっては当たり前の展開で、当たり前すぎて「ディスコースマーカーで話の行先を示す必要がない」ものなのです。それは①抽象→具体②具体例の列挙③判断→根拠の3つです。たとえば①②はこんな感じ。Today most young women in Japan have some expensive, brand-name items.Kana, a college student, has as many as five bags of Gucci.Mika, a high school student, loves her wallet of Prada.Yuri goes to junior high school in a muffler of Burberry. 第1文が抽象。第2文以降が具体例の列挙。この間ディスコースマーカーは1つも必要ありません。次に③はこんな感じ。He must be angry.He got out without saying a word.第1文でmustによって「~に違いない」という判断を延べ、第2文でその根拠を示す。この間にもディスコースマーカーは必要ありません。繰り返しになりますが、こういった情報の並べ方こそ当たり前なのです。ディスコースマーカーを挟む必要のある並べ方の方が、ある意味で普通ではなく、情報伝達効率が低いと言えるかもしれません。つまり、ディスコースマーカーというヒントがないことが、この問題を解く上で最大のヒントなのです。ここまでの話をまとめると、Ⅲ-Cの解答の手順は次の様になります。①次のいずれのタイプかを判断する。A)ディスコースマーカーなしで2文が続く場合B)ディスコースマーカーが前文との関係を示す場合②Aの場合であれば、さしあたり【抽象→具体】と想定し、(過去問のほとんどがこのタイプだからです)○空欄と前の文との関係で考えればよいのか○空欄と後の文との関係で考えればよいのかを判断する。③選択肢を見る前に、空欄に入る情報を限定しておいた上で、 その方向に反する選択肢を消去する。実はもうひとつ、時間短縮のために理解しておくべきことがあります。それは、全文真剣に読む必要がないということです。第1段落は、文章のテーマさえ掴めればそれで十分です。第2段落以降は、段落のトピックさえ掴めれば、あとは空欄とその前後の文を読めばほとんど答えが出ます。ディスコースマーカーの有無に関係なく、ここまでに書いたことは、原則として前後2文の論理関係についての話だからです。当然全文読まないのは不安でしょう。時間に余裕があれば、もちろん全部読むべきです。でも、スピードが足りていない人にとっては、それは忘れた方がいいことです。センターはスピードが命です。また、何よりセンター英語の出題者自身が、全文を真剣に読むことを期待していないからです。ぜひそのことを理解して、勇気をもって読む情報と読まない情報を区別するようにしてください。