病院の先生は、僕を触診して

「少し痩せているけど、迷子になってそんなに時間は経っていないでしょう。」

「特に問題のある所はないと思われます。念のためマイクロチップが入っているか確認しましょう。」

黒い塊を先生が持ってきて、僕の体をチェックしていた。

「マイクロチップは、入ってないですね。」

僕を飼っていた家族の情報は掴めなかった。

「警察に連絡をしておいてください。」

事務的な話が続いた。

あっちゃんは、真剣にうなずいていたけど後になって頭が真っ白でほとんど覚えてないらしい。

 

車に乗ってから、役所に連絡をして保護している旨の連絡をしていた。

何度も何度もあっちゃんは、頭を下げていた。

役所の担当の人がよろしくお願いします。って何度も言ってたみたい。

 

役所に電話をしたあと、警察にそのまま行って届け出をしてきた。

 

あっちゃんは、早く見つかるといいねそれまで一緒に暮らそうねと僕を撫でてくれた。

あれから4年。あっ、もうすぐ5年か。

今もって警察も役所からも何の連絡もなかった。

もちろん掲示板にも迷子情報はなかった。