僕はてが吉。
推定年齢5歳。本当の誕生日も名前も知らない。
4年前の桜が満開の時に僕はどうやら置き去りにされたようだ。
リードをつけたまま、手賀沼の周りを歩き回っていた。
知らないおじさんが僕を柱に縛り付けて役所に連絡をして
引取りに来てもらうようお願いをしてたみたい。
僕はこのままどうなるんだろう・・・とポーとしていた。
その時おばさんがおじさんに
「迷子なんですか?」と聞いていた。
おじさんは、
「1時間くらいずっとリードをつけたままで迷子になっていたんだよ。危ないからここに縛り付けておいたの」
そう言いながら僕の頭をなでて帰ってしまった。
残された僕は歩き疲れてじっとしていた。
おばさんは誰かに電話をかけて
「あのね、今ヨーキーがいるの。どうしよう」
「うん、わかった連れて帰る」
おばさんは、僕の前にきて、「一緒にくる?」と両手を差し出してきた。
僕はその腕の中に、ぴょんと飛びついた。