わたしが死んだら
貴方は何を思う

清々するだろうね
きっと

そして
後のことが面倒くさくてしんどいだろうね

だって 何も知らない
貴方は何も知らない

家のことも
保険や銀行 契約関連のことも
息子のことも
息子の学校のことも この先のことも

墓も無いし
仏壇もないし
そんなもの要らないから全然いいけど
私の遺骨は この狭苦しい家の片隅に
ぽつんと置かれるのだろう

あぁ面倒くさい
どうするんだこれ と
ボヤいている姿が ありありと目に浮かぶ

息子の手前 見栄張って
料理してみたり 洗濯してみたりして
こんなのあいつじゃなくても誰だって出来るって
でもたぶん続かなくて 
息子に当たり散らすんだろう

今みたいに
ずーーーーーっとイライラして
ずーーーーーっとブスッとして
つまらない人生送るんだろう

あぁやだ

ぞっとする


貴方はわたしを綺麗だと言う
妻が美しいのが自慢なのだと

「可愛いから許してやるよ」が口癖

わたし 何か悪いことした?
貴方から妥協され許されて
やっと生きていられるクズ女なの?


貴方も同じだ

母と同じ

わたしのアイデンティティは粉々だ

幸福も砕け散った


それでも貴方たちは
まだわたしを責め立てる

お前の心が弱いせいだ
歪んでるせいだと

この絶望は
わたしによるわたしの課題なのだと


わたしが自身を消してしまえば終わる痛みなら
今すぐにでも

ただ 息子を傷つけることだけはしたくない

だから生きる

心なんか とっくに粉々

笑えなくなったわたしを糾弾するんだろう

そんなの知らない
貴方たちに見せる笑顔なんかあるわけない

心が死んだら
人はこうなるということ