【報告】第4回「ポスト・モダン思想の功罪」
グローカル座標塾第5期第4回
【ポスト・モダン思想の功罪】
2月20日(金)、グローカル座標塾第5期第4回「ポスト・モダン思想の功罪」が行われた。
講師は、宮部彰さん(グローカル、みどりの未来)。
講義では、ポストモダン思想とは何か、その功罪、そして多様性への自由と普遍的正義のジレンマを超える思想的方向をどう考えるかについて述べた。
続いて、具体的な事例として、年金一元化、温暖化防止のための排出権取引・炭素税、国際連帯税、雇用など企業の社会的責任等を挙げながら話した。
続く白川真澄さん(レギュラー講師)は3点をコメントした。
第1に消費社会批判をしたポストモダン思想が結局消費主義へ行ったのではないか。だから、日経連が「多様な働き方」と言い出すと有効な反論ができなかった。
第2に、日本で正義の評判は悪いが、国際的には「ジェンダー正義」など普通に使われる。そして、現代世界で最も頑なに正義を主張するのは宗教原理主義。
第3にポストモダン思想も制度設計が嫌い。68~69年の闘いは秩序を壊したが、次の新しい制度を創るのを避けた。オルタナティブな制度の発想、大胆さがないのが左翼の限界。
質疑では、普遍的正義と自由、人権、「正義」という言葉が適切なのかなどが様々な意見が出された。
普遍的な正義志向は権力志向ではないかという意見に、宮部さんは、例えばこの場では分煙が正しいという権威が確立している。何を正義と合意するかは過程の議論・論争が重要。熟議民主主義だ。
共同体の文化と人権が対立したら、どちらの正義が優先するのかという議論では。
宮部さんが、米国のアーミッシュを挙げて、彼らのように離脱・参加の自由、自分の文化を選び直す自由が保障される必要があると指摘。
ポストモダン思想で歴史修正主義を批判できるのかという質問に、白川さんが歴史観=「自分とは何か」は他者との関係なしに語れない。