12月3日 沖縄戦 教科書検定意見撤回を求める全国集会
12月3日
沖縄戦 教科書検定意見撤回を求める全国集会
12月3日、沖縄戦教科書検定意見撤回を求める全国集会が九段会館で開かれ、千人が参加した。主催は東京沖縄県人会と大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会。
集会ではスライド上映に続いて、川平朝清さん(東京沖縄県人会会長)が主催者挨拶。
沖縄戦体験者である金城重明さんが、1945年3月28日、渡嘉敷島で起きた集団強制死について証言。「沖縄戦のキーワードは軍官民の共生共死。『集団自決』を前に、軍の貴重な武器である手投げ弾が住民に配られた。手投げ弾を配るということは自決しろということ。強制であったことは議論するまでもない。鬼畜米英思想をすりこまれた住民たちは生き残ることへの恐怖にとらわれていた。私と兄は愛する家族を愛しているが故に徹底的に殺した。
命令があったかなかったの二つの説があるように言うのは屁理屈であり、死者への冒涜。文科省はアジアの人びとを殺し、国民を殺した歴史を消したいのだ」
高島伸欣さん(琉球大)は「暉峻さんの件や削られたチッソ水俣病の社名の記述が復活するなど、文部省が検定の誤りを認めた前例はある。それなのに是正について定めていない文科省に不作為の責任がある」
坂本昇さん(教科書執筆者)は、「私は今回の検定に一旦は屈した。これは私の謝罪と自己批判。林博史さんが文科省に出した意見は、自らの沖縄戦研究が悪用されたことへの怒りに満ちていた。日本軍がいなかった島では軍命はなく、『集団自決』も起きていない。
印刷に間に合わせるために撤回を求めながら訂正申請をした。申請が全て通れば事実上の撤回」
暉峻淑子さん(埼玉大学名誉教授)は荒川区の78歳の女性が生活保護打切に抗議自殺した事件(88年)を書いた著書の引用が91年教科書検定で削除され、96年に文部省に検定の誤りを認めさせた事件について報告。
暉峻さんは「厚生省局長答弁を根拠に挙げる文部省の役人に外で雨が降っていても、局長が晴れと言ったら晴れなのかと聴いたら、『はい、そうです』と。官僚は日本国は立派で決して悪いことをしないと思い込んでいる。
引き下がったら民主主義が一歩後退するとがんばった。記述の正しさを立証し、4年がかりで厚生省、文部省教科書課長に謝罪させた。希望はある。行動することが大事」
水島朝穂さん(早稲田大学教授)は「教科書検定については、制度が憲法21条、31条に違反するという制度違憲論。制度は合憲だが適用によって違憲になるという適用違憲論。合憲だが裁量権乱用は違法という三つの学説がある。70年杉本判決は適用違憲。制度違憲という主張は維持し、適用違憲という主張を打ち出しつつ、裁量権乱用の検定内容を撤回させる必要がある」
12月4日には検定意見撤回を求めて文部科学省前宣伝行動が行われた。