鎌田慧『抵抗する自由 少数者として生きる』
鎌田慧「抵抗する自由 少数者として生きる」/七つ森書館
「成田空港に反対する、三里塚・芝山農民の闘争が終熄した、とだれもいい切ることはできない。いまなお、ひとびとの心を揺さぶっている、この抵抗する魂は、切り捨て、踏みつける、強権的な労働者支配にたいする、人間の尊厳をかけた、フリーターたちの叛乱に引き継がれようとしている。その大らかな精神を解き放つために、この本のタイトルを「抵抗する自由」とした。」
これはこの本の帯に書かれた言葉だ。カバー表紙の写真は「建設直後の三里塚岩山大鉄塔、一九七二年春」とある。裏表紙には30年後の2000年のもので、農民宅の上空ギリギリに着陸する旅客機の写真。
第1章の「格差社会とワーキングプア」では派遣法は「非合法の合法化」であるとして、非正規労働者の「連帯と団結」を訴える。「ガテン系連帯」発足記念講演も載っていて、「フリーター、ハケン、アルバイター、パートタイマー、これがバラバラに分断された『労働者』の新たな名称なのだ」といい、古くさいといわれるが、自分は「連帯と団結」にこだわるのだ、という著者の強い信念が伝わる。
第2章「成田空港閣議決定四〇年後の現実」は労働情報に連載された現在の三里塚を取材したもの。小泉英政、柳川秀夫、島村昭治、石井恒司、石井紀子ら農民、「新しい人たち」へのインタビューがある。
第3章「大胆率直に訴える」は78年管制塔占拠闘争の前後に書かれた文章と、05年の管制塔元被告への1億300万円もの「損害賠償」攻撃への連帯基金運動の文章だ。
第4章「抵抗する自由」では、「いま、労働者の現場はどうなっているか」として自動車工場の下請け構造や航空会社の非正規添乗員の問題などにも触れられている。
講演録やインタビューも多いためか、どの文章も重くのしかかるような構造的な問題を、著者はかみくだくように、「大胆率直」に、多岐にわたる課題を語りつないでいく。
『抵抗する自由 少数者として生きる』
鎌田慧/七つ森書館/1800円+税
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