――検索してはいけないものを探しに行こう――
廃墟の扉を開いた先に広がる《裏世界》。そこは八尺様やくねくねを始めとした、ネット上で語られる怪異たちが闊歩する恐ろしい世界。
ひょんなことから紙越空魚はそんな世界へと足を踏み入れ、そこで出会った鳥子とともに裏世界を探索をしていくのだった。
といったような話なわけですがよ。もうね。好き。
ホラーの中でもいわゆる都市伝説と呼ばれるものが私は好きなのですが、それを題材にした物語というものはなかなかなく、この小説を知ったときのテンションの上がり具合といったらそりゃあもうえらいこっちゃでしたよ。
八尺様といった人型をした怪異に、猫の忍者や山の牧場といった動物の怪異。そして、くねくねやヤマノケといった異形の存在。
はたまたコトリバコや禁后などの触れてはいけない呪いの道具に、きさらぎ駅や時空のオッサンといった異世界に纏わる噂話。
これらを題材にした小説?うん。
これらを題材にした小説?うん。
買 う し か な い よ ね
最初は特定の手段を用いて裏世界へと行かねばならなかったのに、2巻の猫の忍者辺りから裏世界がだんだんと表世界へと浸食してきていて、そして今作のパンドラとマネキンでは完全に浸食してきていてもう笑うしかない。
コトリバコのようにアーティファクトに触れたわけでもなく、サンヌキカノのように動画を観たわけではなく、山の牧場のように怪談を模した場所に行ったわけでもないのに怪異に見舞われる空魚。もう完全にロックオンされていますね。
さっきまでいた人たちが温泉から上がったらマネキにすり替わっている。これはちょっとした恐怖ですよ。
いや大分恐怖だわ。
本作はホラーと百合がメインなわけで、怪談とは別に空魚と鳥子の百合々々しさも大変よいのですが、個人的には空魚と茜がもう少し仲良くなって欲しいなと思います。そらあか来い!