スケアクロウ ピジョン

――案山子と鳩がか? 相性は悪いぞ?――
――案山子の相手は鴉よ。鳩じゃない――
 
 
ピジョンは統和機構というシステムに所属する合成人間。高速で移動できる能力を持ち、それを活かして構成員に伝令する伝書鳩としての役割を担っている少女です。
同じ合成人間であり探偵を隠れ蓑にしているスケアクロウと親しく、彼の入れてくれるコーヒーがお気に入り。
探偵事務所には似つかわしくないカップで飲んでいるところを見ると、ちゃっかりマイカップを置いているのでしょうか? 可愛すぎます。
コーヒーカップを持ちながら指を動かす仕草好き。こういう細かい部分いいですよね。
 
夜明けの1話。彼女はスケアクロウに合成人間である寺月恭一郎の身辺を探れという指令を伝えます。
寺月は統和機構が動きやすい環境を作る任務に就いていますが、どうやらいささか目立ち過ぎなもよう。
組織の為に働いた結果がこれか……。身内を疑いたくはないと、スケアクロウは愚痴をこぼします。
 
「人間じゃない私らは、ほかに生きる場所なんてないわ」
 
合成人間は生き方を選べない。嫌な任務であってもやらなければならない。
そんな遣る瀬無さをお互い感じながら、コーヒーの香りを味わうにも生きていなきゃいけないなと笑い合います。
笑い合った……はずなのになぁ……。

 

 
1話終盤。スケアクロウは一人の少女を救うために組織を裏切り、組織の刺客であるモ・マーダーにより処分。
……なんで?生きなきゃいけないって……。そう言ってたじゃん……。言ってたじゃんか……。
大事な人が死んでも世界は廻る。彼女は合成人間として任務をこなさなければなりませんでした。例えそれが、憎くて憎くてたまらないスケアクロウの仇が相手でも……。
悪態を吐くぐらいしか、出来ないんだよな……。
胸が苦しい……。
 
「人間になりたいと思わない?」
 
そんな時、現れたひとりの女。彼女の名は来生真希子。《世界の敵》フィアグール。
人の弱みを見抜く力を持つ彼女はピジョンに囁きます。復讐し、殉死するというのは甘くて美しいことだと……。
 
 
「スケアクロウの仇だッ!」
 
捨て駒だとしても構わない。復讐を果たせるのなら。
フィアグールの指示通り医者に扮し、モ・マーダーを罠に掛けた彼女。急所を抉られながらも、相手に致命傷を負わせます。
組織を裏切り、すぐにでも自分は死ぬだろう。だけど悔いはない。たとえ汚名でもいい。大好きな人と同じになれたのだから。
 
「ねぇ、スケアクロウ……私、天国に行けるかな……?」
 
現れたブギーポップにスケアクロウの面影を重ねるピジョン。彼女の問いにブギーポップは冷たく答えます。君は地獄行きだと。
でも、それは彼なりの優しさなんじゃないか。私はそう思うのです。
だって地獄行きを宣告された彼女は、生涯で最も美しい笑顔を心に浮かべて死んでいくのですから……。同じ罪を犯した私は、大好きな彼のいる地獄へ行けるのだと。
やばい、泣きそうになる……。
 
現在放送中のアニメ『賭ケグルイ××』にて、このようなセリフが出てきます。
 
「死に方を選ぶことは、生き方を選ぶことでもある。」
 
合成人間であるため生き方を選べなかった彼女が、最後は人として死に方を選んだ。スケアクロウと同じように。
決して天国へ行くことは出来ない。それでも彼と一緒なら、地獄の底でも怖くない。そんな想いで死んでいった彼女はきっと救われる思いだったに違いありません。
 
そして改めて1話を観て、気が付いたのです。気が付いて、しまったのです。
スケアクロウの死後、彼の事務所を片付けているピジョンの顔。パソコンを見つめるその表情がどんなものなのか……。
 
あぁ……。あぁ…………。彼女はどんな気持ちで、事務所を片付けていたのだろう……。どんな気持ちで 任務にあたっていたのだろう……。
なれない手付きで入れたであろう二人分のコーヒー……。美味しくないと思いながら飲んだのだろうと考えると、胸が詰まった……。
 
えっ? 夜明けのブギーポップ自体の感想? いろんな人がちゃんとした感想書いてるからそれ読め?
みんなスケアクロウやモ・マーダー。霧間誠一。水乃星透子の事ばかりで悲しいんや! だからワイはピジョンちゃんのことを語りたかったんや!
 
あっ、今日ブギーポップとかぐや様のCDの発売日やんけ。買わな。