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先日、友人からラインが届きました。一枚の画像に一言添えて。
 
「熱い」
 
 
ふ……、フランケン・ふらん復活!? ま……ママまマジで!!? テンション爆上げなんだが!?
 
フランケン・ふらんとは、生物学の悪魔との異名を持つ斑木直光により造り出された人造人間・斑木ふらんが、その卓越した悪魔的な外科技術を用いて様々な依頼をこなしていくメディカル・ホラー漫画。
主人公である彼女はツギハギだらけで、頭から電極が生えているというフランケンシュタインの怪物を彷彿とさせる見た目をしていますが、命を何よりも大事にする心優しいお医者さん。
その腕前は凄まじく、比喩ではなく死者蘇生すら成し遂げる程。
 
非常に涙もろく、患者の身の上話を聞けばハラハラと涙を流し、患者のためならばとどんな無茶な手術でも引き受けます。
自身を造り出してくれた博士に偏愛を懐いており、彼の事となると少し暴走してしまうところが玉に瑕。そんなところも愛らしいです。好き。
しかし、そんな彼女にも致命的な欠点が。
 
倫理感がまっっったくないのです。
 
患者の願いを叶えることを最優先するため、その願いが無茶であればあるほど“どんな形であろうと”実現させてしまい、異常な事態を引き起こしてしまうことも少なくありません。
また、科学の発展を強く願っており好奇心も強いため、稀有な症例の患者がやってくると泣こうが叫ぼうが一切無視して解剖してしまうのです。
 
 
ケース1『BEAUTIFUL WORLD』
依頼人は落ち目の肖像画家。更には失明を宣告されてしまい失意の底。彼は縋る想いでふらんちゃんを頼ります。
目が見えなくなるのは辛いでしょう。不憫に思った彼女は快く手術を引き受けました。
しかし、せっかく治すのなら喜んでもらいたい。そう考えたふらんちゃんは“善意で”紫外線や赤外線・電波その他諸々が見えるよう手術を行います。
スペシャルアイを手に入れた彼には落ち目だったころの面影はありません。画家として返り咲き、後世へ名を残す巨匠となるのでした。めでたしめでたし。とはならないのがフランケン・ふらん。
ではどうなるのか。うん……。
 
発 狂 し ち ゃ う ん だ 。
 
ハイスペック過ぎて未知の存在まで視認できるようになってしまったのです。発狂しちゃうね当然だね。ものの見え方も180度変わってしまったのでなんの変哲もない物がおぞましく見えるようになってしまいました。あれこれどこかで見た話? そうだね沙耶の唄だね。
 
「芸術とはこんなシンプルで楽しいものだったんだ」
 
美が醜に。醜が美に。不気味に映る森を彷徨い歩く彼の前に、美しい少女がひとり。狂ってしまった世界の中で、ただひとつ見つけた美しい存在。彼の喜びはいかばかりか。察するに余りあります。
少女と共に暮らす様になった彼。あなたのおかげで彼女に出逢えました。そう言って見せてくれた少女の肖像画。
そこに描かれていたのは、健常な者が目にすれば背筋が凍ってしまうようなおぞましい『ナニカ』。
しかしふらんちゃんは何も言わず、ただ彼らを祝福し、物語は終了。イイハナシダナー(´;ω;`)
 
 
ケース2『BRAINS』
死んだ息子を生き返らせて欲しいという依頼を受けたふらんちゃん。息子を想う父の姿に胸打たれた彼女は快く依頼を引き受けます。しかし問題がひとつ。流石のふらんちゃんも死人を生き返らせるだなんて難しいのです。
死体の再生なんてお手のもの。しかし生前の記憶や個性の復活となれば話は別。依頼の内容は息子の蘇生です。同じ姿の別人を造り出すことではありません。彼女は試行錯誤に試行錯誤を重ねました。
そしてついに、息子の蘇生を果たしたのです。死人を生き返らせるだなんて、さすがはふらんちゃんだね☆
 
「問題は……どこに人間の定義をおくかよね。」
 
親子の再会を想い、ホロホロと涙を流す彼女。例えそれが、死んだ息子の頭と依頼人の頭をくっつけて互いの脳を繋ぎ、依頼人の脳みそを経由することにより息子の意識を復活させるだなんてキチ○イじみた蘇生方法だとしても、彼女にとっては依頼人の願いを完璧に叶えたアフターケアもバッチリ最高の施術。親子が喜んでくれていると信じて疑っていません。
 
「きっと博士は褒めて下さるわ!」
 
そう言って恍惚とした表情を浮かべるふらんちゃん。えっ……かわいい……。
えっ? そんなキチ○イじみた施術、依頼人が承諾しないだろって? えぇ、もちろんしていませんよ。勝手にやりましたから(ニッコリ)
 
 
あれっ? あなたなんだか、彼女を極悪非道の悪魔だとか思っていませんか?
違いますよ。何度も書きますが彼女は心優しいお医者さんです。彼女の行動原理はあくまで『善意』と『好奇心』なのであって、『悪意』は一切ありません。ないったらないのです。
次は私の一番好きな話。ふらんちゃんの優しさがよくわかるからここまで読んだなら読も!? な?
 
 
ケース3『SNOW LIGHT』
ふらんちゃんが街中を歩いていると、道端で泣いている少女がひとり。一体どうしたのでしょう。ふらんちゃんは声をかけました。
 
「お兄ちゃんが病気で……もう助からないって……」
 
少女の名はカヤちゃん。どうやらお兄ちゃんが心臓病を患っているらしいです。それは放ってはおけないとふらんちゃん。病院へと赴きました。
すると何故でしょう? 看護師絶句。医師からは侮蔑的な目で見られてしまいました。曰く、ここはお前のような化け物が来ていい場所ではない。とのこと。
はっ? 激おこなんだが?
 
しかし、医師の話によればすでにお兄ちゃんの手術は決定しており、担当医は移植術例400を超えるベテラン医師ジェドラル氏。確かに最善手。ふらんちゃんは素直に引き下がりました。引き下がったのですが……なんとジェドラルは車上荒らしに撃たれてしまい重体に……。
医師はいなくとも心臓は待ってくれません。手術は決まった以上行われます。経験の足りない誰かの手によって。
見過ごせないふらんちゃんは病院に食い下がりますが、結果は……。
自分にはお兄ちゃんを治す術があるのに、誰もそれを許してくれない……。申し訳なさそうにカヤちゃんに言います。
 
「大丈夫だよ。えらいお医者さんが病気でも、もっとえらいお医者さんがそれを治してあげればいいんだもん」
 
こともなげに言われたふらんちゃん。ポカン。そして大きな声で笑います。そうか。その手があったかと。
早速渡米しジェドラルの元へ。瀕死の彼を見ながらふらんちゃん。あなたに休んでる暇はないのよと怪しく笑い、メスを握るのでした。命は待ってくれないのだからしょうがないね☆
改造が施された彼は正にブラック・ジャック。手術は無事終了し、カヤちゃんのお兄ちゃんは快復へと向かうのでした。
 
 
5コマ目の表情ホント好き。尊い。ふらんちゃんは優しいお医者さん。はっきりわかんだね!