今日は仕事が休みだったため天神の街を徘徊してきました
平日にもかかわらず腐った木の裏で蠢く虫のように溢れる人、人、人、世界中の人がここに集まっているかのような錯覚を起こしそうになります
横断歩道で一列に並ぶ人たちをみるとテトリスのように消えてしまったら面白いのにといささか物騒なことを考える、もしくはぷよぷよの様にばよえ~ん

無駄に高くなった人よけスキルを駆使して人ごみの中を歩く、イヤホンからは音楽が、別に目的はありません、たまには光合成でもしようかと思っただけです
帽子屋を見かければ好みな中折れハットを探し、雑貨屋を見かければ面白いものはないかと店内を歩き、財布を見かければそろそろマジックテープの財布は卒業しようかと見て回る、人生のように行き当たりばったりである、結局めぼしいものは見当たらなかった、セラヴィ!

最後に本屋に寄りなにかいい本はないかとブラブラ、文庫本コーナーで一時間ほど本をめくるが特に引き込まれる本はなく、いい加減帰ろうかと思ったその時、画集コーナーで目の端をとらえるアリスの三文字が! おおぉ!?

きのこの国アリス

アリス好きの僕には食指が動きます、気が付くと魔法にかかったかのように本を手に取っていました




-アリスはすっかり退屈していました-

ふしぎの国やかがみの国での大冒険もすっかり過去となってしまったアリスは、大嫌いな家庭教師のグランディ夫人を相手にお勉強の毎日
グランディ夫人の頭の中には数字と規則と公式しかないのね! と憤慨しながら木陰で休んでいるとなにやら目の端に赤や白、黒いものが映ります
なにかしら? と近づいてみるとそこには、見たこともないようなきのこが生えていたのです


すっかりアリスの世界に引き込まれた僕、言葉回しや雰囲気が実にアリスらしくて面白い、はじめて不思議の国のアリスを読んだ時の感覚を思い出しました
本を手に取りニヤニヤしている一人の男、どう見ても不審者です本当にありがとうございました

きのこの国のアリスのタイトルに違わず作中にはたくさんのきのこが登場するのですが、いつものようにアリスが小さくなってしまったシーンで上手くきのこを絡めてきたことに思わずなるほどとつぶやいてしまった
「これは、きっと幻覚性きのこのサイロシビン成分の摂取によるものに違いないわ」と冷静に「あ、これ幻覚だ」と分析するアリスが実にユニークである、おいおいおい大丈夫なのかそれ

内容はいささかコケティッシュ、少しお子様には見せられないような表現があるため幼い子にはとてもプレゼントできる本ではない、大人向けの絵本である、もしかしたら我が子へのプレゼントにと購入した親御さんもいたやもしれない、さぞ気まずかったことだろう

アリスが好きで、そういう表現にも忌避感を覚えないのであれば読んでみて損はないと思う、きっとあなたは不思議なきのこの世界に迷い込んでしまうことだろう