「総合型選抜は面接さえ頑張れば大丈夫」
「自分の言葉で語れればいい」
こんな古い常識で、今の総合型選抜に挑むのは危険です。なぜなら、総合型選抜は年々進化を続けているからです。私は10年以上、総合型選抜の指導に携わってきた家庭教師ですが、ここ2年ほどで指導方法を大きく変更しました。その理由は、AIの登場です。
なぜ今、総合型選抜にAIが必要なのか?
総合型選抜の本質は「自分の考えを論理的に整理し、説得力のある形で表現する力」です。暗記や機械的な問題解決とは異なり、以下の能力が求められます:
- 自分の経験や考えを体系的に整理する力
- 整理した内容を論理的な文章にまとめる力
- それを面接で分かりやすく伝える力
実は、これらの能力を育てる過程で、LLM(大規模言語モデル)は驚くほど効果的なツールとなります。
AIを活用した新しい指導法
従来の指導では、生徒の考えを整理し、文章化し、面接練習を行うまでに膨大な時間がかかりました。そのため、私も以前は同時期に2人までしか受験生を受け持てませんでした。
しかし、適切なプロンプトを使用してAIと協働することで:
- 生徒の考えを素早く整理・体系化
- 効果的な文章構成の提案
- 面接での予想質問の網羅的な準備
が可能になりました。その結果、現在は10人以上の生徒を、以前と同等かそれ以上の質で指導できています。
注意すべきポイント
ただし、AIの活用には以下の点で注意が必要です:
- 内容のネタは必ず生徒本人のものでなければなりません
- AIが生成した文章を適切に評価・改善できる目が必要です
- 総合型選抜の最新トレンドを把握し、それに応じたプロンプトの調整が必要です
特に気になるのは、まだ多くの学校の先生方が、数年前の総合型選抜の指導方法にとどまっていることです。入試方法は毎年少しずつ変化しており、その変化に対応した指導が必要です。
これからの総合型選抜指導
一般入試では塾や予備校に通うことが当たり前になっていますが、総合型選抜でも専門の指導者についた方が圧倒的に合格率が高くなります。特にAI時代となった今、適切な指導者の存在は更に重要性を増しています。
なぜなら、AIを効果的に活用しつつ、生徒の個性を最大限に引き出せる指導者が、合格への近道となるからです。
総合型選抜は「簡単な入試」ではありません。むしろ、準備に時間のかかる、奥の深い入試方式です。ただし、AIという強力な味方を得た今、効率的かつ効果的な対策が可能になりました。
これからの時代、AIを味方につけた新しい受験指導のあり方を、もっと多くの教育者と生徒が知るべきだと考えています。
※「ChatGPT o1 Pro」「Gemini 2.0 Experimental Advanced」「Claude 3.5 Sonnet」と共著、挿絵は「DALL-E 3からImage FX」