近年、私は大学生の論文やレポートの指導も手掛けるようになりました。その中で思うのは、"AIが論文を書くことの問題性"の前に、論文やレポートの作成能力を持つ大学生が減っているという現象です。

 

それには様々な要因が考えられますが、中でも私が重視している二つのポイントがあります。それが、客観的な視点の重要性と引用の大切さです。

 

まず一つ目の客観的な視点についてですが、これは小学校の作文の影響かもしれません。学校教育で、良い感想を挟むことが推奨されることが多いからです。しかし、大学の論文やレポートでは、主観よりも客観的な視点が求められます。私たちは、あるトピックを一歩引いた視点から分析し、多角的な視野で考える能力を育てるべきです。

 

もう一つのポイント、引用の重要性について触れてみましょう。学問の世界では、「引用」は非常に重要な要素です。特に、大学や政府が発行した信頼性の高い資料や、一定の評価を受けた本などからの引用が必須となります。ネットの情報や信頼性の低い資料からの引用は、適切でないとされます。この事実を理解し、学問の範疇で適切に情報を選定、引用するスキルは必須と言えるでしょう。

 

AIの利用に関する議論は必要ですが、それよりも前に、「学問とは何か」を理解することが肝心だと思います。大学とは、学問の体系とその進め方を学ぶ場所であるべきです。そして、その教育の中心には論文やレポート作成のスキルがあると私は考えています。

 

以上の観点を共有し、これからの教育のあり方について深く考えていきたいと思います。

 

※「ChatGPT-4」と共著、挿絵は「Midjourney(ミッドジャーニー)」