福島県会津美里町・伊佐須美神社、猪苗代湖畔のナラガシワを訪ねました。

 
【伊佐須美神社】
社叢は町指定天然記念物です。会津若松駅からレンタサイクルを利用しました。バス利用の際は、会津若松駅から永井野行バスに乗り、横町下車・徒歩5分です。
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伊佐須美神社の神域として草木の採取が禁じられてきたため、スギが植えられているほかは自然林が残されています。この社叢は会津の平坦部における開拓以前の生態を残しており、大変貴重なものです。林齢は約100~300年です。
福島県のナラガシワの堅果も、やはり大粒で細長いタイプです(私は東日本型と呼んでいます)。どんぐりは不作~並作でした。
この個体は葉がかなり大きく、葉身25cmくらいありました。
ナラガシワは境内でも見られましたが、宮川沿いの林縁に多く、大きなものは樹高15mくらいでした。
この個体はオオバコナラ(コナラ×ナラガシワ)でしょうか?コナラよりも鋸歯の切れ込みが深いです。
境内には、オニグルミ・コブシ(キタコブシ)・ナラガシワ(アオナラガシワを含む)・オオバコナラ?・シラカシ・ヤマグワ・ケヤキ・ハルニレ・エノキ・エドヒガン・ウワミズザクラ?・イタヤカエデ・イロハモミジ・オオモミジ・ミツデカエデ・ネムノキ・サイカチ・ケンポナシ・ゴンズイ?・イチョウ・スギ・サワラ・ドイツトウヒなどの樹木がありました。境内の優占種はケヤキで、樹高30mとのことです。
 
この辺りでは、会津坂下町・恵隆寺にも町指定天然記念物のアオナラガシワ(植栽)がありましたが、2005年に枯死しました。
 
【猪苗代湖畔】
4年ぶりの訪問です。猪苗代駅からレンタサイクルを利用しました。ナラガシワがあるのは猪苗代湖畔駅(営業休止中)付近で、宗像神社~志田浜辺りにかけて見られます。この林は、猪苗代湖からの強風を防ぐ目的で指定された防風保安林とのことです。「野嵜玲児 ナラガシワ群落について-沖積低地の自然林植生の一型として- 奥田重俊先生退官記念論文集 2001年」という文献に詳しく書かれています。
宗像神社のナラガシワ。樹高15mくらいです。
道路から猪苗代湖方向に撮影。
川が流れており、湿潤な環境です。
写真のナラガシワは樹高20m・幹径1mくらいの巨樹でした。
植生は、オニグルミ・コブシ・コナラ・ナラガシワ・オオバコナラ?・ケヤキ・ハルニレ・ヤマグワ・イタヤカエデ・オオモミジ・メグスリノキ・ヤマザクラ?・ウワミズザクラ?・クマノミズキ・シナノキ・トチノキ・ハリギリ・スギ・アカマツ・イヌガヤなどが見られ、冷温帯の樹種がやや多いです。優占種はケヤキ、第二優占種はナラガシワで、ケヤキは大木が多いです。かなり自然度の高い林です。
サルトリイバラを発見しました!カシワが少ない西日本では、ナラガシワやサルトリイバラの葉を柏餅の葉に利用するそうです。
宗像神社付近から川に沿って猪苗代湖側に行った場所では、ヤナギ科の樹木(シロヤナギ?)と混生して湿性林を形成していました!写真右奥の木がナラガシワです。湖岸の方にもナラガシワがあるようですが、草が生い茂っていて行けませんでした。猪苗代湖畔のナラガシワも不作~並作でした。
 
この辺りでは、磐梯山周辺や猪苗代湖北西にカシワも見られるそうです。
 
今回訪ねた2箇所のナラガシワ自生地は周囲が水田になっており、やはりナラガシワは水田開発によって減少したのではないかと改めて思いました。