2023年7月5日掲載
2025年6月9日改訂・再掲載
山梨県の鶴寝山~大マテイ山のブナ林に行きました。鶴寝山・大マテイ山は登山ガイドブックにあまり掲載されておらず、知名度が低い印象がありますが、ブナ・イヌブナ・ミズナラ・クリの大木が多く、見応えがあります。
「岡田真次・近藤博史・磯谷達宏 山梨県松姫峠付近における太平洋型ブナ林の立地と更新 国士舘大学地理学報告No.27 2019年」によると、松姫峠~大マテイ山ではブナが更新順調とのことです。何回も来ている山ですが、今回はブナの更新に着目しながら歩いてみました。
※2025年6月9日追記
6月7日に鶴峠→奈良倉山→松姫峠→鶴寝山→山沢入のヌタ→栃の巨木→小菅の湯を歩きました。鶴峠~松姫峠の区間を歩くのは2015年7月以来、約10年ぶりです。
〈注意〉
2023年9月に上野原駅→松姫峠行きバスが廃止になり、現在は小菅の湯止まりになっています。また、上野原駅→鶴峠・小菅の湯行きバスの時間が遅くなりました(1本目は上野原駅8:35発→鶴峠9:42着)。さらに、小菅の湯16:38発→上野原駅行きバスが最終バスとなったため、以前よりも時間に余裕がなくなりました(日曜日は小菅村営バスは運休です)。時間に余裕がないときは、山沢入のヌタから栃の巨木コースを歩くと、大マテイ山・棚倉小屋跡(大ダワ)経由よりも50分早く小菅の湯に着きます。
【鶴峠~奈良倉山~松姫峠】
鶴峠から暫くは人工林で、後に広葉樹二次林になります。奈良倉山まで来てようやくブナの大木が現れました。
松姫峠のブナ。奈良倉山~松姫峠は二次林と人工林でした。二次林はミズナラ・クリが優占ですが、ブナもありました。尚、2023年までバスが通っていた村道松姫峠線は、土砂崩れ発生のため2024年6月から当面の間、全面通行止めとなり、松姫峠は陸の孤島になってしまいました。
【松姫峠~鶴寝山~山沢入のヌタ】
松姫峠~鶴寝山は二次林ですが、幹径5~10cm程度のブナ若木も多数見られました。鶴寝山を過ぎて巨樹の道に入ると、大木が増えます。
鶴寝山の西・鶴寝山北側の巻道との合流地点付近にある幹径80cmくらいのブナの大木。巻道にはブナは殆どありませんでした。
幹径20cm前後のブナが林立しています(2025年6月7日撮影)。
幹径30cm程度のブナ。
左の個体から順に、幹径25cm・15cm・15cm程度でした。
幹径8cm程度のブナの若木。
ブナの大木が3本並ぶ場所。この辺りは東京都の水道水源林になっています(2021年10月撮影)。
2025年6月7日撮影。新緑の写真を撮りたかったのですが、曇っていました。
幹径40cm程度のブナ。比較的若いブナは樹皮に苔が少なく、滑らかです。
【山沢入のヌタ~大マテイ山】
この区間は尾根が広く、道が不明瞭な場所もあります。
北側斜面にあるブナの大木。
山沢入のヌタの少し西の北側斜面には、鶴寝山~大マテイ山で最大と思われるブナがあります(2019年5月撮影)。幹径90cm・樹高25mくらいです。
2025年6月7日撮影。
大マテイ山北にあるブナの大木。
【栃の巨木コース】
山沢入のヌタ~栃の巨木の区間は北側斜面になります。尾根ではブナが優占するのに対し、斜面ではイヌブナが優占します。
トチノキの巨木。
全体を写すのが難しいですが、見事な大木です。
斜面に生え、根元が露出したブナ。
松姫峠~大マテイ山の尾根ではブナ・イヌブナ・ミズナラ・クリを優占種として、ウダイカンバ・クマシデ・ホオノキ・オオヤマザクラ?・ミヤマザクラ?・ナツツバキ・オオモミジ・ハウチワカエデ・コハウチワカエデ・ヒナウチワカエデ・オオイタヤメイゲツ・エンコウカエデ・ウリカエデ・ウリハダカエデ・カジカエデ・ヒトツバカエデ・ヤマボウシ・マンサク・ハリギリ・ツガなどの樹種が見られました。
ブナは、大木から幹径5~10cm程度の若木まで見られました。しかし、林床に稚樹が殆ど見られない点は三頭山と同じで、素人の私には三頭山と同程度の更新具合に見えました。やはり、日本海型ブナ林に比べると稚樹は圧倒的に少ないです。ブナは寿命が200~300年なので、暫くはブナの優占状態は変わらないと思いますが、今後若木が増えるのか気になるところです。
【2025年6月7日コースタイム】
※矢印の右側は本来のコースタイムです。
鶴峠9:58発
↓90分
奈良倉山11:05
↓40分
松姫峠11:45~12:00
↓30分(巻き道経由)
鶴寝山北12:22
↓30分 巻道合流地点12:38
山沢入のヌタ13:10
↓
大マテイ山方面(途中で折り返し)
↓
山沢入のヌタ13:38
↓15分
栃の巨木13:47
↓80分
小菅の湯15:10着 15:20発上野原駅行きバスで帰宅
合計5:12
小菅の湯16:38発の最終バスに乗れるか不安でしたが、思っていたよりも時間に余裕があり、大マテイ山まで行くこともできそうでした。