今年からクリを鉢植えで育てています。クリの鉢植え栽培方法を調べたので、以下にまとめます。
【主な品種】
・筑波
日本で最も多く栽培される品種で、全体の約3割を占める。自家結実し、豊産性で幼木の頃から結実が良い。果期9月下旬~10月上旬、堅果重量20~25g。
・丹沢
早生栗の代表的品種。若木からよく結実するが、結実過多の翌年は結果母枝の充実が悪い。果期9月上旬、堅果重量23g。
・銀寄
大阪府豊能郡能勢町原産。江戸時代から存在し、丹波栗の代表的品種。若木では結実が少なく、収量もあまり多くない。果期9月下旬~10月上旬、堅果重量20~25g。
・ぽろたん
2007年に品種登録された新品種で、電子レンジで加熱すると渋皮が簡単にむける。若木からよく結実する。果期9月中旬~下旬、堅果重量30g。
・紫峰
豊産性で、クリタマバチ抵抗性が非常に強い。品種名は筑波山の別名である。果期9月下旬、堅果重量28g。
・利平
日本栗と中国栗の雑種。岐阜県山県郡大桑村(現:山県市)発祥。堅果は大粒で丸みを帯び、毛が多い。甘みが強く、渋皮は日本栗より剥きやすい。収量は少ない。果期9月中旬~10月下旬、堅果重量20~25g。
・とげなし栗
いがの棘が短い。山形県中山町原産。収量は少ない。果期9月中旬~下旬、堅果重量20g。
【植え付け】
・植え付け時期は12~3月。
・クリは自家不和合性のため、異品種を2本以上用意する。
・市販の接木苗を購入したら、高さ40~60cmの位置で切り返す。
・生育の良い枝を2~3本残し、それ以外の枝は根元から切る。
・深根性のため、深鉢が望ましい。
・土は市販の培養土で良い。
・陽樹のため、日当たりの良い場所で育てる。
・2年目までは実がついても木に負担がかかるため取ってしまう方が良い。3年目から結実させる。
・鉢植えは結実が良く、初結実までの年数が庭植えよりも1~3年ほど短くなる。根や枝葉の伸びが抑えられ、無駄な養分を使用せず、花や果実に回る養分が増加するためである。
【花】
・雄花は前年の7月中旬~8上旬、雌花は当年の4月中旬~下旬に花芽分化する。
・新梢が秋の段階で20~50cm以上、枝元の直径が6mm以上あれば、結果母枝(翌年に結果枝を伸ばす枝)となる。結果母枝は直径8mm以上あるのが理想で、太く短いと良い。
・1本の結果枝には雄花穂が8~10本、帯雌花穂が1~2本つく。雄花は1本の花穂に100~150個つき、雌花は1本の帯雌花穂に1~3個つく。
・花粉親の特定の遺伝的特性が、種子親の遺伝的特性に関係なくそのまま受け継がれる(キセニア現象)。
クリの花。開花時には強い香りを放つ。虫媒花だが、花粉は風媒でも10~20m飛散する。
新梢の基部側に雄花穂、先端側に帯雌花穂がつく。
雌花(写真中央)。満開~満開後20日くらいの間に人工受粉すると3果が多くなる。
【肥料】
・3月に緩効性の有機肥料、花後と収穫後に速効性の化成肥料を与える。
【剪定】
・冬に前年のなり跡から先端までを全長とし、先端から1/3~1/5程度切り返す。切り返した芽と同じ数だけ下位の芽から結果枝が出る。
<参考文献>
・荒木斉・川上和生 クリの絵本 農山漁村文化協会 2007年