2018年12月22日掲載
2026年2月1日改訂・再掲載
埼玉県比企郡鳩山町の高野倉八幡神社のイチイガシを見に行きました。
横広がりの樹形です。
イチイガシは葉裏に黄褐色の毛が生えているため、下から木を見上げると日差しを浴びて黄金色に見えます。また、シラカシなどに比べるとあまり葉が繁らないので、木の下が明るいです。
周囲に障害物が多く、木全体を綺麗に写すことができないのが難点です。
説明板では樹高約20m・樹齢400年とも600年ともいわれると書かれていますが、「鳩山町デジタル博物館」では樹高15m・幹周4.5mと書かれています。樹勢が衰えてきているため保護処理が施されているそうです。
関東にはシラカシ・アラカシ・イチイガシ・ウラジロガシ・アカガシ・ツクバネガシの6種類のカシが分布していますが、その中で最も少ないのがイチイガシです。関東はイチイガシの分布の北限に当たり、自生のものは茨城県筑波山、千葉県笠森寺自然林・清澄山系、東京都八王子市、神奈川県西部などで僅かな記録があるのみです。紀伊半島・四国・九州には多いようですが、東海~関東では主に社寺林に点在する程度です。当地は自生北限をはるかに超えた場所に植栽されていることから、イチイガシと神道との関係を感じさせます。
尚、現在の東海~関東ではイチイガシは少ないですが、弥生時代の遺跡からどんぐりが出土することから、かつては東海~関東にも広く分布していたと考えられています。「岐阜県博物館 緑いきいき!岐阜の森 その多様な世界 岐阜新聞社 2006年」によると、イチイガシは湿潤な肥沃地に生育するため、生育地が水田に開発されて減少したと考えられているそうです。
また、「杉浦奈実・齊藤陽子・湯定欽・井出雄二 葉緑体DNAシーケンスによるイチイガシの遺伝構造 第124回日本森林学会大会 2013年」によると、高野倉八幡神社のイチイガシは、ハプロタイプが愛知~宮崎県のイチイガシと一致するそうです。そのため、西南日本から移入され、植栽されたものと思われます。イチイガシはどんぐりが食用となるため、飢饉に備えて植えられた可能性もありそうです。
しかし、このイチイガシは1本しかないためか、どんぐりは全く見つかりませんでした。老木ということもあるかもしれません。
【2021年2月21日撮影・追記】
全体を写すことが難しいため、色々な角度から撮影してみました。
アクセスは、JR八高線の明覚駅から徒歩約30分です。明覚駅にレンタサイクルもあります。
【2025年1月25日撮影】
午前中は曇りでしたが、昼から晴天になりました。
ナラ枯れが拡大していて心配でしたが、無傷で樹勢も変化はありませんでした。老木なので、元々葉がやや少ないです。
高野倉ふれあい自然公園の周辺にはのどかな里山が広がり、落ち着きます。
【2026年2月1日撮影】
何回も来て撮影しているため、同じような写真もあります。葉を沢山つけていたため、樹勢は良好に見えます。
ところで、静岡県伊豆市・修禅寺(修善寺)に隣接する日枝神社には県指定天然記念物のイチイガシの巨樹があります。修禅寺は、鎌倉幕府二代将軍・源頼家(1182~1204年)の自刃の地として知られる寺院です。源頼家は、比企能員の娘(若狭局)との間に一幡をもうけたように、比企地方を代表する比企一族とは大変深い関係にあった将軍だそうです。日枝神社にイチイガシが植えられた理由は不明で、源頼家との係わりも定かではありませんが、興味深いです。日枝神社と高野倉八幡神社にイチイガシが植えられたのは、樹齢から考えると源頼家の死後と思われます(「鳩山町史編集委員会 近世鳩山図誌 2005年」より)。
埼玉県では、熊谷市の徳蔵寺にも市指定天然記念物のイチイガシがあります。

























