2017年12月8日掲載
2022年11月10日改訂・再掲載
和名:シラカシ(白樫)
学名:Quercus myrsinaefolia
別名:クロカシ、ホソバガシ、ササガシ
分布:本州(宮城・新潟県以南)・四国・九州。済州島、中国中南部。
樹高:15~25m 直径:80cm 常緑高木 陰樹
低地~山地帯下部の照葉樹林に生える。土壌が厚く湿潤な場所を好み、火山灰性土壌(関東ローム)に被覆された関東平野に多い。関東以外ではあまり多くなく、内陸部の沖積地や斜面下部に生える。カシ類としては耐寒性が強い。
葉は長さ7~14cm。浅い鋸歯があり、裏は灰緑色。ウラジロガシよりも鋸歯は浅い。
花は5月。アラカシよりも花期は遅い。
どんぐりは10~11月に熟す。
堅果は長さ1.5~2cm。毎年沢山結実する。
樹皮。和名は材が白っぽいことに由来するが、樹皮が黒っぽいことからクロカシとも呼ばれる。
幹は真っ直ぐに伸び、大木になる。生け垣や防風樹として利用され、関東では屋敷林にも多い。
<関東のシラカシの名木・群落>
・栃木県下野市:龍興寺(県指定天然記念物)
・群馬県桐生市:白髭神社(市指定天然記念物)
・群馬県富岡市:堂山稲荷の大ガシ
・東京都練馬区:石神井公園
・東京都府中市:人見稲荷神社(群落)
・東京都青梅市:大背戸のカシ(市指定天然記念物)
・神奈川県川崎市:東高根森林公園(県指定天然記念物)
・神奈川県大和市:大和のシラカシ林(県指定天然記念物)
・神奈川県座間市:栗原神社(市指定天然記念物)
神奈川県川崎市・東高根森林公園のシラカシ林。関東地方の台地や丘陵地の潜在自然植生と考えられるが、宅地開発や農地開発の影響でまとまった林は殆ど残っておらず、今日では社寺・屋敷・斜面林などに面影を残す程度である。関東の放置された雑木林では林床にシラカシの若木や稚樹が見られ、遷移が進行している様子が伺える。