2017年12月13日掲載

2025年2月8日改訂・再掲載


和名:コルクガシ

英名:Cork Oak

学名:Quercus suber

分布:地中海西部沿岸・アフリカ北部・ヨーロッパ南西部。

樹高:20m 直径:1.5m 常緑高木

 

地中海地方西部の丘陵に自生する。日本には1879年に持ち込まれ、本州(関東南部以西)・四国・九州の太平洋沿岸の暖地に僅かに植栽される。

 

葉は葉身7cm。長楕円形で鋸歯があり、裏には毛が生えている。

地中海性気候地域では冬に一定の雨が降るが、夏は雨が少ない。小さくて硬い葉は乾燥への適応と考えられており、このような樹種を硬葉樹という。硬葉樹には他に、オリーブやユーカリなどがある。

日本の瀬戸内海沿岸地域は降水量が少なく、乾燥するという点で地中海性気候と類似している。この地域で多く見られるウバメガシを、硬葉樹の一種とする見方もある。

 

花は5月頃に開花し、どんぐりは12~1月に熟す。

堅果は大形で細長く、長さ3~4cm。殻斗は鱗片状で反り返る。堅果は食用となり、炒ってコーヒーの代用とする他、イベリコ豚の飼料としても利用される。

 

樹皮は灰色で、コルク質が厚い。種小名のsuberはコルクの意味である。樹皮は燃えにくく、防火・断熱効果がある。

ポルトガルやスペインではコルク生産用として栽培され、樹皮の形成層を残して外層を剥ぎ取る。剥ぎ取った跡は暗赤色である。樹皮は剥がしても徐々に再生し、生きている組織を傷めることはない。樹齢25年ほどでコルクが採取できるようになり、9~12年周期で厚さ4~5cmのコルクが採れる。1本の木から10回ほどコルクが採取される。

 

幹は通直せず、低い所から枝分かれする。寿命は約250年である。葉はウバメガシ、幹はアベマキに似た印象がある。

 

神奈川県横浜市元街小学校のコルクガシ。この木は1879年、日本で初めて植えられたコルクガシである。

気候が合わないのか、日本では枯れてしまうことも多い。しかし、耐寒性はあり、定着すれば-17℃まで耐えるという。

 

【変種】

Quercus suber var.occidentalis

半落葉性の変種。耐寒性があり、栽培されるコルクガシの大部分はこの変種である。

 

【交雑種】

ヒスパニカナラ 学名:Quercus×hispanica

コルクガシとトルコナラの天然種間雑種。ヨーロッパ南西部に分布する落葉高木で、樹高30mになる。‘Lucombeana’が最もよく普及した品種である。