仙台 0 - 2 広島
寿人
柴崎 茶島
柏 ミカ
アオ 丸谷
ミズ 千葉 シオ
卓人
18時55分頃、スカパーでスタメンが発表され始めた。
いつもサンフレからのメルマガでスタメンを確認している私にとって、それは試合前の準備時間でしかない。
だけどこの日だけは違った。
アウェーチームのスタメンが画面に表示された瞬間、叫んだ。
なんとウタカが急性胃腸炎になったため欠場し、代わりに寿人が先発を務め、ベンチ入りメンバーは1人少ない6人、ということだった。
私は信じられずtwitterを開いた。
同じく衝撃を受けたサンフレサポの声が並んでいた。
こんなことは想定外も想定外。
驚いたなんてもんじゃなかった。
だけどこんなに嬉しい驚きもなかった。
寿人がスタメンであるという事実だけで我が家は浮き足立っていた。
私は試合が始まってもいないのに興奮を抑え切れず、顔を押さえていた。
さっきまで今日は涼しいねと言い合っていたのに、みんな「暑い」を連呼した。
仙台にとっても大切な人だからだろう、選手入場時から写真撮影に至るまで、スカパーではずっと寿人が映っていた。
そして試合が始まった。
一言で言うと、いい試合だった。
きっとサンフレサッカーに慣れ親しんだメンバーばかりだからだ。
次々にボールが繋がって、発揮されたコンビネーションプレー。一方で球際が激しく、様々なポジションで正当なバトルが繰り広げられた。
こちらがいい攻撃をすれば、仙台もきわどいシュート。試合は一進一退だった。
それでも無失点だったのは、前線からの連動した守備と、ひさしぶりに揃った鉄壁3バックと守護神の奮闘の賜物だ。
揃ってスタメン復帰となったミズシオ。
シオは相変わらず良くはないが、最低限の仕事をして失点0はポジティブ。
対してミズは、ウィルソンの決定的なシュートを身を挺して完璧なブロック。本当に怪我明けなのか疑いたくなるほどミズらしいプレーだった。
そしてビッグセーブを涼しい顔で止めてチームを救う卓人と、いつも通り安全安心の千葉。さすがです。
攻撃は、1トップ2シャドーを中心にコンビネーションプレーの連続。
やはり寿人はスペースを作るスペシャリストだ。
そしてそれを使えば、大きなチャンスになる。
それを実感させたのはチャジであり、得点シーンだった。
30分、ボールを奪ったのはチャジだったか、フリーで受けたアオからのカウンター。
アオ斜めのパス→寿人スルー→サイドを駆け上がるしばこー→寿人DFを引き連れてニアへ=しばこーマイナスのパス→寿人が空けたスペースに走り込んだアオがミドルシュート!
3人の息がぴったり合った、サンフレらしい素晴らしいゴールだった。
交替出場は、航平、皆川、そして浩司。
ひさしぶりにWBでプレーした航平はDF二人を抜いて湧かせ、そのプレーがしばこーのゴールに繋がった。
シュートチャンスこそなかった皆川だが、身体を張ってチームを助けた。
浩司に言うことはひとつしかない。
おかえり。浩司。
チャジは、コンビネーションはすごくよかった。
本人が一番わかっている。あとはゴールだけだ。
次もチャジが見たい。
負けないで。
*
今季を機に、サンフレへの好き度が減ったのかもしれない。私が好きなのはサンフレではなく寿人だったのかもしれない。
ずっとそう思っていた。けど違った。
仙台戦。
連動した攻守、泥臭くも躍動した選手たち。絶妙な緩急のあるサッカー。
そこにあったのは、いつかカズが言っていた、サンフレッチェの魂だ。
そうだ。私はこんな試合が見たかった。
こんなサンフレッチェが大好きだったんだ。
個人技ありきではなく、個人の技術をコンビネーションで活かす。誰かではなくみんなが活きる。
それがサンフレッチェのサッカーだ。
そのサッカーはこんなにも楽しい。
見る者もプレーする者も魅了してやまない。
その中心にはいつも背番号6と11がいた。
この日も、やはりそうだったんだ。
ただひとつ、違ったこともある。
元来もうひとつの大切なピース、8がベンチだった。それは正当に争ってマルがスタメンを勝ち取ったからだ。
時代は変わる。
だが、カズが黙ってスタメンを明け渡すはずもない。
寿人のゴールはなかった。
だけど、心から楽しかった。
そんな試合、今シーズン初めてだと思う。
内容だけで言えば、今季最高の試合だったと思っている。
リーグ得点王をアクシデントで失いながらチームの総合力で勝てた事実は秋に向けて明るい光を照らしてくれる。
その得点王と、真のエースとの共存。
それが可能となれば、一気に逆襲の兆しとなるだろう。
残り7試合で勝ち点7差。
ウタカの技術に寿人のコンビネーションがあれば、決して不可能ではない。
佐藤寿人。11。エース。
やっぱりどうしようもないくらい、好き。