広島 4 - 2 浦和

  ウタカ
 柴崎 浅野
航平     柏
 カズ アオ
宮原 千葉 シオ
   卓人

立ち上がりはよかった。
現に6分にはウタカのスルーパスに抜け出したしばこーが素晴らしいトラップからきっちり決めて先制。
開始早々スタジアムのボルテージが上昇した。


その背景には、B6の目の前で2度に渡って素晴らしい守備をした和也のプレーがあったと思う。あの子は身体細い割に本当に強いね。ボール奪取能力はカズに次いでナンバー2かもしれない。

ただし、不必要なカードをもらうところだけは直さなければならない。相次ぐ怪我でDFが足りないのに次節出場停止。
和也のカードはすべて失くすことができるもの。それでチームに迷惑をかけることはしっかりと反省してもらいたい。




先制はよかったのだが、前半のうちにあっさりと同点、逆転。さらにキャプテンが負傷交代。逆風が吹き荒れた。

前半から割と飛ばしていたから後半大丈夫だろうか、不安もあった。




60分までは、浦和ペースだった。ボール支配率もセカンドボール奪取率もチャンスの数も圧倒。いつ点を取られてもおかしくなかった。


それを変えたのは、寿人だった。


61分、11がEスタのピッチへ。
そのときの歓声。響く歌声。

スタジアムの空気が一変した。

そこからのチームの劇的な変化。


これで点が入らなきゃ嘘だ。
本気でそう思うほどスタジアムが一体となった。


そして。
64分。69分。シオが立て続けにゴールを奪い、あっという間の逆転劇。

FW顔負けの豪快ゴール、1点目。
なぜそこにいる、2点目。

「(DF)らしからぬ(塩谷)らしさ」
これ以上ない形で存分に発揮された。






そしてやっと、待ち望んだ瞬間がやって来た。

私は終始寿人しか見ていなかった。
だから、周作がパスしようとした時点で、わかった。あっ、入る、って。それは長年佐藤寿人を見て来た者の確信だ。



もうダメだった。
寿人が出た時点で涙ぐんで、シオが点取ってまた涙ぐんで、寿人が点取って、歌いたいのに思うように声が出てくれなくて。




佐藤寿人が佐藤寿人たる所以。
佐藤寿人が広島のエースたる所以。
スタジアムの雰囲気が、すべてを物語っていた。




少し自惚れたことを言おう。
61分以降、浦和の選手のパスが雑になったり、ミスが多くなったり、シュートを打っても枠を捉えられなかったりしたのは、紫のサポーターの大声援がプレッシャーとなってのしかかったから。

互いに疲れていたのに紫の戦士が走れたのは、降り注ぐ声援に背中を押されたから。


サンフレの選手の背中を押し、相手選手にはプレッシャー。
昨年の2st優勝の湘南戦、あるいはチャンピオンシップ。あのときと同じ空気だった。


それを作ったのは、広島のエース、佐藤寿人。


その事実は、サンフレサポーターにとって、最高の幸せです。













今のサンフレには、負け試合を引き分けにできる・引き分けを勝ちにできる、そういう選手がいない。そういう勢いも全くない。

前節そう書いたんだけど、今節は負け試合が勝ち試合に。
サンフレでそれができるのは、やはり寿人だけなんだ。
スタジアムの空気をあそこまで変えることができるのも寿人だけ。

すべてにおいて、やはりエースは違うね。



珍しくウタカが守備に走っていたのはスタジアムの雰囲気と寿人が走り回るのにつられて、だと私は思うんだ。


ファーストディフェンスに、スライディングに、パスカットに、エースがあんなに頑張っていたら、他の選手が突っ立っているわけにはいかないよね。
サポーターが湧かないわけもないしね。


浦和は完全に雰囲気に飲まれていた。
しかしそれは致し方のないことだろう。あの雰囲気で勝てるアウェーチームはきっとない。













こんなに熱くなった試合はひさしぶりだった。

浦和側を除くすべての人にとって最高にエキサイティング、そしてドラマティックな試合だったと思います。


ササショー、ミズ、ミカ、浩司、途中からアオ、カズ。主力を何人も欠きながらも逆転に次ぐ逆転で浦和を粉砕した力強さ。こんな試合は今季初めて。
エースのゴールがあったから、長く停滞し続けた空気を吹き飛ばして波に乗って行けそうな気がしている。










ここまで一番辛かったのは寿人で、試合後いつもの笑顔ではなく涙だったのが何よりそれを実感させた。


寿人の涙は嬉し涙だけでいい。
寿人には常に笑っていてほしいんだ。
心からの笑顔が一番似合うから。




寿人のいるサンフレが、サンフレッチェ広島の佐藤寿人が、私は大好きです。













森保監督。
寿人がどれほど特別か、納得していただけたでしょうか。

せめて、もっと出場機会をください。