広島 2 - 0 オークランドシティ

   皆川
 浅野 岳人
航平    柏
 丸谷 アオ
ミズ 千葉 シオ
   卓人

試合が始まってすぐ、ガクと拓磨のコンディションがいいことはわかった。
特にガクは、ここ1ヶ月くらいずっと調子いいと言われながら全く試合に出られていなかったから、この試合にかける想いの強さは明らかだった。


事実、ガクが強引に放ったシュートは枠を捉え、そのひとつからゴールが生まれた。


ここまでは楽しかった。
ガクタクがやってくれる空気満載だった。


歯車が狂うのは、10分にもなっていない早い時間だった。相手にスライディングに行ったガクが膝を負傷した。

ガクはやろうとした。やっと巡って来たチャンスで、まだ10分にもなっていないのに代わりたくない。それは当然の想いだった。

でも、痛みが強くて不可能だった。



交代時、必死で堪えようとしたんだろうけど、泣いていた。

ガクの今までの悔しさは、わかっているつもり。
同期のライバルがチームのスーパーサブになり、日本代表になり、先輩やサポーターに認められていく。自分は試合に出られないのに、同期が着実に結果を積み重ね、優勝を決定付けるゴールを決め、チームで確固たる地位を確立しつつある。


自分もチームの優勝に貢献した自負は少しあるけど、悔しさの方が遥かに強い。


そんな中で迎えたCWCにかける想い、この試合で絶対に結果を残すという強い気持ち。
たった10分でも目に見えたガクの想い。それを果たせず交代せざるを得ない悔しさ。それをわかっていたから、感情がぐちゃぐちゃだった。

ガクのばか。そう言いながら涙が出た。

寿人が迎えに来るから、余計に泣けた。




交代で入ったのは柴崎だった。
それにより、良くも悪くも試合は完全に落ち着いた。


ここからは、試合について書くことはほとんどない。
負傷者が出すぎて、それでずっと心配で、プレーのことをあまり覚えてないんです。



覚えているのは、しばこーまで負傷してしまって、ドグが出ざるを得なくなって、でもそこからは随分と攻撃が良くなって、攻撃の形を作りながらシュートまで行けたことと、ドグが入っただけでここまで良くなるものなのかと感嘆したことと、航平まで負傷したことくらい。



航平も、無理にやろうとした。
気持ちはよくわかった。

航平が痛めた時点ですでに交代カードの2つを負傷によって使っている。さらに試合はまだ30分近く残っている。

最後の交代枠まで負傷では使えない。しかもこんな早い時間に。せめてもう少し後で。

そう思ったんだと思う。


でも私は、サンフレのチャンスも必死でサイドを駆け上がる航平が気になって試合どころではなかった。

もういいよ。航平。代わろう。お願いだから無理しないで。
そう言い続けた。









この試合のボール支配率は33%。
次々と負傷者が出て、交代枠を戦術的にはひとつも使えない異常事態。

故に相手にボールを持たせて守りを固めつつカウンター。結果2得点、無失点。御の字です。





3年前のアルアハリ戦では2人の負傷者を出して敗戦した。

今年は怪我人が出ても代わって出場した選手が活躍することで勝って来た。主力不在のピンチをチームの底上げという成果に繋げたからこそ今この場にいるんだ。

この試合も内容は良くなくても確実に勝利した。それはチームとして確実に成長している証だよ。











オークランドシティの岩田選手。 試合後に柏と何か話しているなと思ったら、年下の柏に対してアドバイスを求めたのだそうです。

それを知って、素晴らしい方だと思いました。


サンフレの選手二人を負傷させてしまったという趣旨の発言もしたようですが、岩田選手のせいではないので気にされないでくださいね。












航平は次の試合に出られるほどの状態で、とりあえずほっとした。

しかし。しばこーは3週間、ガクは8週間の離脱となってしまった。

二人とも初めてのCWC。楽しみだっただろうし、私たちも悔しいし、辛い。


戦力的にもシャドーかつプレスキッカーの二人を失ったのは大ダメージ。

残されたのはトップ寿人にドグと拓磨の2シャドー。おそらく選択肢は他にない。つまり寿人→拓磨の手は使えない。

心が痛いだけじゃなく頭を抱えるよ。



だけど、こんなときだからこそ、勝てる気がする。
今年はそうやってチーム全員で闘って来たのだから。








12年のサンフレッチェが超えられなかったアフリカの壁。
その壁に、チーム全員で、挑もう。

そして勝とう。


あのときより強くなったことを証明するために。
岳人のために。晃誠のために。



ガクとしばこーはきっと仲間を信じてくれてる。

私はどんなときでもサンフレッチェを信じてる。





広島行こうぜ 紫の戦士よ 我らのその名を世界に響かせろ