G大阪 2 - 3 広島
寿人
柴崎 ドグ
航平 ミカ
カズ アオ
佐々木 千葉 シオ
卓人
普段はやらないのだけど、今回ばかりは敬愛する二人の言葉を借りようと思う。
サンフレサポなら知らない人はいない情熱系ライター中野和也氏の一文。
“心がわしづかみにされた試合だった。”
前半は守備に重きを置いた玄人好みのレベルの高い試合。
後半の途中からは互いの気持ちとプライドが激しくぶつかるエキサイトゲーム。
最後に待っていたのは出来過ぎてドラマにもならない世紀の逆転劇。
こんなことがあっていいのだろうか。
先制はガンバだった。一部始終を見ていたにもかかわらず、何が起こったのか理解できなかった。
何でもないいつものパス回しだった。なのになぜか相手にボールを掻っ攫われてノープレッシャーでゴールに沈められた。
佐々木、カズ、千葉。3人の連携ミスからの失点。特にカズと千葉はミスの少ない選手。明らかなミスからの失点はひさしぶりだった。
でもだからこそ、追いつけると思った。
崩されたわけではなく、自分たちのミス。
その方が案外切り替え易いからだ。
予想通り、サンフレが慌てることはなかった。しかしガンバの攻勢は変わらない。
それでも決定的なピンチをガンバが外してくれていたから、なおさらチャンスはあると思っていた。
徐々にペースが出てくるのは、柏が出場したところから。
80分。残念なスカパー中継のせいで何があったかわからなかったが、リプレイを見るとシオのパスからだった。拓磨が抜け出し角度のないところからシュート。入るか⁉︎いや、ポスト。こぼれを拾ったのは柏。シュート。ドグが合わせた。決まった!!
同点も束の間、わずか1分後に勝ち越しを喰らったときには、さすがにダメかと思った。だが当日見た不吉な夢を覆すためにも、このまま終わってたまるかとも思った。
しかし時間は刻々と過ぎる。テレビ越しに伝わる万博の雰囲気は完全アウェーだった。
アウェーゴールをひとつ奪って1点差の敗戦は最悪ではない。そう言い聞かせようとした。
…無理だった。負けたくなかった。
1点を取りに行った。迎えたアディショナルタイム(AT)。
FKを獲得。キッカーのしばこーは横のアオへ。
ふわりと浮かせたボールに、佐々木の渾身のヘッド。ネットへ突き刺さった。
瞬間、震えた。叫んだ。両手を突き上げた。
アウェーで土壇場で追いついた。普通ならそれで十分。そこから守りを固めてもおかしくなかった。なのに不思議と、口から出た言葉は「よっっしゃあ!!いける!!もう1点!!いこう!!」だった。
選手も同じ気持ちだった。
攻め続けた。
AT5分を過ぎていた。
奇跡はガンバのスローインをカズがカットしたところから始まった。
カズはアオとパス交換して、山岸へ。
奇跡を呼ぶ男ギシさんはダイレクトで中へ。
待っていたのはフリーのドグ。さすがギシさん完璧なクロスだ。しかしドグ、ミートできない。
こぼれを拓磨がすかさずシュート。相手も決死のブロック。決め切れない。
三たび紫がシュート。強烈。誰も止められない。ゴールだ。信じられない。逆転だっ。
右のミキッチ。左の柏好文。
Jリーグ最強のサイドである。
しかし柏が負傷で離脱している間に清水航平が躍動した。柏は復帰してもベンチが続いた。
悔しさはもちろんあったと思う。それでも柏は日々の努力を続け、途中出場で必ず存在感と結果を残していた。
そしてその際たるものがこの試合で、こんな大きな舞台で信じ難いドラマを作りあげた。
諦めない。サボらない。切らさない。
これは私が最も好きな解説者で、現磐田監督の名波浩氏の言葉。これがジュビロの選手に課した今季の約束だったそうだ。
サンフレの選手は誰一人、諦めなかった。サボらなかった。切らさなかった。
だから、奇跡のような大逆転勝利を収めることができた。
トータルで見た内容は圧倒的にガンバだった。
特に70分まではサンフレらしいサッカーはほとんどできなかった。
森保監督就任以前ならもちろん、昨年までのサンフレ、連覇した年のサンフレでさえ、1-2で負けていただろう。
しかし今のサンフレは、勝った。
やはり史上最強は伊達ではないと思いました。興奮と感動と幸せと、大きな成長を感じました。
得点者、ドウグラス、佐々木翔、柏好文。
3人とも今年または去年広島に加入した選手。
彼らの活躍によって、大きな勝利を手にした。
広島に来てくれてありがとう。
柏とササショー、ドグとしばこー。甲府と徳島には足向けて寝られないです(^_^;)
試合直後のヒーローインタビュー。開口一番、切り替えと次を口にする柏。
興奮した様子に似合わないコメントに笑ってしまうと同時に、次の勝利を確信した。
*
明日、すべてが決まる。
こういうときどうすべきか。何が起こるか。それは選手が一番わかっているから、全く心配はしていない。
広島の誇りサンフレッチェ。
彼らに寄り添い、最後のホイッスルが鳴るまで声援を続けよう。
そして叫ぼう。紫の戦士を讃える歌を。