何年ぶりの更新でしょうか。

大変ご無沙汰しております。

皆さんお元気でしょうか。





今回更新した理由はただひとつ、森崎和幸引退の報を聞いたからです。

カズの引退に際して、何も言わずにはおれず、思いつくままに書いている次第です。

話が飛び飛びですが悪しからず。











浩司が引退し、寿人が広島を離れ、必然的にカズが体調を崩してから、覚悟はしていました。

それでもやはり、覚悟と現実は全くの別物ですね。

「あっそうですか。お疲れ様でした。」とはとてもじゃないけど言えないです。









思い返せばカズは、サンフレにとって、本当に大きな存在でした。




サンフレ一筋22年。プロ19年。
その長い年月の間ほぼ常に、サンフレで目立つのは双子の弟・浩司であったり、エースである寿人だった。


カズはいわゆる縁の下の力持ちで、多くを語るタイプではない。

浩司のような人懐こさも、寿人ほど巧みな言葉もない。


でも不思議と、チームが上手くいかなくなった時、メディアはカズに話を聞きたがった。

それはなぜかというと、カズがピッチ上の指揮官であり、どうすれば状況を打開できるか知っているから。

きっとカズは、それを誰よりもわかっているから、上手くいっていない時さりげなくチームメイト一人ひとりに声をかけたりする。

目立たないけど、気づいたら大きな支えになっている。そんな人。



プレー面も似ていて、ゴールを決めるのが寿人で、アシストが浩司やアオなら、カズはその前。
味方のパスを引き出すのが上手い。

選手曰く、「カズさんは、ここにいてほしいというところに必ずいる」。

カズは味方がボールを預けられるポジションを常に取っている。
だから、ピッチにカズがいるだけでパス数が増える。

他にもトラップとか、横パスとか、カバーリングとか、決して目立たないけれど、さりげないところが抜群に上手い。






つまんないサッカーと揶揄された13年のサッカーも、サポーターは楽しかったよ。

カズのインターセプトが。笑

相手にボールが渡る直前、ボール奪取。ボールにのみチャレンジした正当なタックルだから、もちろん笛はない。相手は激しく転倒。受け身が取れていないからめちゃくちゃ痛い。痛がり方的には、めっちゃファウル。でも正当なプレーだから、ファウルじゃない。

そんなプレー、カズにしかできない。






昨年、あまりにも上手くいかなくて、カズがいれば。そう思ったことは数え切れない。


試合の流れを読んで、今は攻める時なのか、一旦下がるのか。その判断を担っていたのがカズだった。そしてそれがいつも、チームを良い方向へ導いてくれていた。

パスも的確かつ正確で、味方のサポートでカズの右に出る選手は見たことがない。


カズのような選手は二度と出て来ない。本気でそう思っている。







「評価」という面では、最後まで日の目を見ることはなかった。


初優勝の年かなぁ。MVPでもいいレベルのカズが、ベストイレブンにすら選ばれなくて、憤慨したサポーターがたくさんいた。監督であるぽいちさんすら、怒っていた。

見兼ねた番記者一同が、賞とトロフィーを作って渡したら、驚きながら喜んでたね。
実はぽいちさんの方が嬉しそうだったけど(笑)


移籍して来た選手が口を揃えて言う「カズさんのすごさは一緒にプレーしないとわからない」。

きっとそういうことなのだろう。


唯一評価されたのは、クラブワールドカップで、(得点やアシストはない)いつも通りのプレーをしてMOMに選ばれた時。

あの時の少し照れ臭そうな、嬉しそうな顔は忘れない。





忘れられない出来事はたくさんある。


怪我で離脱しても、病気が再発しても、必ず戻って来た姿。


何年だったかな。病気から復帰したアウェー清水戦。
響き続けるチャント。
そして次の試合の中野さんのマッチデープログラム。

「俺達の誇りと言ってくれるサポーターに恥をかかせるわけにはいかない」
力強いカズの言葉。




13年に負け込んだ時の険しい顔。
「サンフレッチェの魂」という重い言葉。


中堅からベテランになるにつれて変化していった言動。


もちろん降格も。その時の呆然とした顔も。
戦犯と呼ばれたことだって。


そして掴んだ3度の優勝も。
チャンピオンフラッグを浩司と一緒に持った光景。
浩司と寿人とぽいちさんと撮った最高の笑顔の写真。



私はカズのプロ人生の約半分しか知らない。
それでも、本当に、色々なことがあった。









カズは自分はみんなに支えられていたと言ったけど、逆だよ。


カズがいるから、シオは安心して攻撃参加ができた。
カズがいるから、千葉もチャレンジできた。
カズがいるから、アオは前だけを見ることができた。
カズがいるから、浩司も寿人も「弟」でいられた。

カズの存在に、サンフレは支えられていた。


現に、サンフレが優勝できたのはカズ(とアオ)が1年を通して闘ったシーズンだけだ。
それは決して、偶然ではない。






カズ。

長い間、本当にお疲れ様でした。


カズの苦しみは私にはわからないけれど、想像を絶するものであることだけは、わかる。
それを乗り越えて、毅然とピッチに立つ8を見て、何も思わない人は誰一人いなかったと思います。

そして、サポーターに恥をかかせられないと言ってくれたこと、そこまでの想いを持ってくれたこと、本当に嬉しかったです。

やっぱりカズは俺達の誇りです。



私にとってカズは、最も信頼できる選手でした。
ピッチでも、オフザピッチでも、カズなら大丈夫。いつもそう思っていました。



カズとみんなと勝ち取った優勝はもちろんのこと、カズが先輩たちから受け継いだというサンフレッチェの魂は、これからも受け継がれていくと確信しています。




サンフレをここまでのクラブにしてくれたのは、カズ、そして浩司だったと思います。
もちろんサンフレに関わってきたすべての選手の貢献もあれど、ふたりほどサンフレッチェのためだけに身を粉にした選手はいません。



本当に、本当に、お疲れ様でした。


そしてそれより何倍もの感謝を伝えたい。

言葉では伝えきれないけれど、何度でも言うよ。


ありがとう、カズ。











引退セレモニーが行われるホーム最終戦は、奇しくも名古屋戦。

浩司の引退は駒野が、カズの引退は寿人が見届けることになるんだね。
きっとこういうのを、運命というのだろう。










正直に言うと、今季の優勝はほぼ諦めていました。
でもカズの引退を聞いて、そんな思いは吹き飛びました。

優勝するか、否か。それは一旦置いておいて。

このままカズを引退させるわけにはいかない。
勝つ。ただ、勝つ。

そう思いました。




残り2試合しかないホームは、どちらも行くことを決めました。


内容云々も、優勝争いも、関係ない。

残り4試合。
すべてはカズのために。

カズに笑って引退してもらうために。


勝とう。