もう好きじゃないって思いながら
もらった時計を腕に巻いて、お揃いのブレスレットをつけて、もらったネックレスを首につけて、買ってくれた服を着て、もらった靴下を履いて、もらったドライヤーとコテで髪を巻いて、もらったゴムで髪をくくって、もらった靴で出かけて、LINE返して、もらったバッグからもらった財布を出してお金を払う時、
離れるのがこわいって思った
1人でさす傘は大きいこと
1人きりの家は耳鳴りがするくらい静かなこと
1人で寝るベッドはちゃんと冷たくて、布団をかぶるとちゃんとあったかいこと
全部知ってたはずなのに、なんで
雨の日に傘をくるくる回してる小学生を見て
泣きそうになった
当たり前じゃない当たり前とか、息するのと同じくらい自然なこととか、
目に見えないぐらい近くにあったんだ
それを手放すのは、忘れるのは、
いつも自分
不在着信眺めて、床に落ちた短い髪の毛拾って、何もかかってないハンガーを見て、
だんだんからっぽになっていく
そのままもらったぬいぐるみ抱いて寝るの
男の人の夢をみたよ
あたしって本当に気持ち悪い
むげ。