今年の大みそかは何して過ごす?
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家から車で2時間ぐらいなところにそこそこ有名な神社がある。
大晦日の夜から車を走らせ、大混雑の中駐車場を確保し、この日ばかりは渋谷のセンター街くらい人がうろちょろしている中、日付が替わるまでに山腹の拝殿までの長い階段を上り切る、なんてことが苦にならなかった頃のこと。
参道脇に幾つもある手水舎の一つで何人かの若い女の子たちがたむろしている。
何事かと覗き見てみれば、そのうちの一人が手水舎の陰でくそ寒い中地面に横たわっていて、その周りを心配そうな友達らしき数人が取り囲んでいた。
どうやら地面に横たわっている女の子は、酒に酔っているらしく、差し伸べられる手を払いのけては、鼻を鳴らしながら派手に泣いている。
いやまあ、そら気にはなる。
足を止める人も多く、思わぬ場所に人垣ができてしまったいた。
「……だってぇ……好き……」
「……馬鹿……だから……きっぱり……」
全く関係もないのに修羅場にかかわる訳にもいかず、周りの大勢と同じようにほんの数舜ばかり足を止め、耳をそばだてる。
横たわっている女の子があげるとぎれとぎれの嗚咽と、周りを囲んだ友達らしき女の子たちの必死の説得を繋ぎ合わせる。
どうやら、よりにもよって今日、手癖の悪いボーイフレンドに二股をかけられていたことが判明し、壮絶な喧嘩別れをした。
酒を飲み、忘れようとして、忘れられなかったらしい。
その神社はとある筋では有名で、ろくでもない相手ときっぱりと縁を切って、新たなご縁を見つける手助けをしてくれるとかなんとか言われていたので、友達たちが気を利かせて連れてきてやったのだろうが、こんな時にこんな場所に来るならば酒は飲ませちゃダメだろ。
酔った女の子のウォッチとかあんまりいい趣味ともいえないので、長く足を止めることもなく拝殿へと向かったのだが、拝殿から参拝を終え降りてきたとき、先ほどの手水舎には既に女の子たちの姿はなかった。
あの後、いったいどうなったのだろう?
酔いを醒まし、無事に神様にお願いできたのだろうか?
きっぱり別れての再スタートを願ったのか、それとも諦めきれず復縁を願っちゃったのか?
神様もいろいろ大変だな……
なんてことを大晦日を迎えるたびに思い出す――