こんばんは。児島です。


11月末にアフガニスタンから日本に一時帰国し、現在日本にいる。


今回の、11月初旬から下旬までのアフガニスタン滞在は、
アフガニスタンでの天水域での旱魃に苦しむ村々への給水事業のためのものであったのだが、
その事業費は外務省のファンドスキームで助成されたものであった。
5月下旬ごろから、現地での旱魃被害が顕在化してきて、

大きな支援要請へのうねりとなったわけだが、
その現地の声を、

現地政府、UN機関や我々国際NGOが協力して調査や聞き取りによって拾って検証し、

しかるべき支援の形を考案し、
それを日本外務省に伝えた結果、

実現することができたのである。
日本国民の血税を、現地での支援に直接つなげることができる、という一つの例である。


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さて、帰国して最も衝撃的なことは、現在の不景気に関する状況である。


最貧国であるアフガニスタンでの状況の酷さは、このブログなどでお伝えしているとおりだが、
工業立国でありエネルギーと食糧を輸入に依存する日本が、

グローバル化した経済構造の中でこうむっている今般の状況も非常に重い。


この状況下では、国際貢献というタームは、どうしても色あせて見えてしまうかもしれない。
NGO職員の給与水準は低いから、私自身、自分の生活について不安がある。


日本政府は、企業の資金繰りの支援や雇用問題、生活防衛などのために色々な対策を講じようとしている。
それらが実際にどれだけの効果を発揮するのかは、私ごときには想像できないが、
全世界同時に景気が後退し、個人が各々の生活に汲々としているときは、
制度がカバーしなくてはいけないのだ、ということを改めて考えさせられる。


こんな状況のなかで、”国際貢献の必要性”を主張することは、一見、あまり適当ではないようにも受け取られるかもしれない。

しかし、
こんなときだからこそ、
国際貢献を、制度や仕組みとして維持し続けていくことは重要である、と私は考える。

経済がグローバル化しているということは、国際支援の中での日本の役割も重くなっているということだ。

近年毎年削られているODA予算ではあるが、それでもその規模は大きい。

国際貢献、と一口に言っても、そこには、多くの産業と同様、
意義ある国際支援という大義を達成するための、多くの経験の蓄積とノウハウがある。
だから、一旦、国際貢献を縮小化してしまえば、支援の規模だけでなく質そのものの後退が待っている。


私は、あくまで人道支援NGOの職員であり、

個人的には人道的な意義を第一義と捉えているので、
国策としての日本政府の支援の方針と私の考え方とは、必ずしも必要十分の関係にはないが、
しかし、仮に今非政府的立場を離れて、国策という視点で考えたとしても、
日本国としての国策であるODAを今後も更に減らしてゆくべき、という考え方には疑問がある。
それは、上に述べたように、

国際貢献という仕組みを制度として、質の高い状態で維持していくことが大事だと考えるからである。
もっといえば、ひいては将来、国益にも反するかもしれないからだ。

全世界同時不況の影響は今後、最貧国で最も著しいものとなるとすれば

いずれ、途上国の不安定さが、日本経済にも跳ね返ってくるかもしれない。


であるならば、支援を持続的に行うためには、
支援する側からの経済効率の高さを求めるべきだろう。

少ない投資で効果の高い支援を可能にする方法のひとつとしてNGOのもつ可能性は高い。

費用対効果の高いNGOを日本社会がツールとして持っておくというのはよいと思う。


今回の不況は100年に1回というものらしいが、
経済不況というものは周期的にやってくるもであるから、今後も何度も日本を襲うだろう。
そんな厳しい不況の中でも、質の高い国際貢献を維持するために
民間NGOを国策として育てていくべきではないか、と思っている。


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以下の写真は、私がアフガニスタン現地出発前に、

サリプル州に渡ってきた、マヒワの写真である。

日本でも冬鳥として一般的な野鳥が、

アフガニスタンにおいても、季節の巡りとともに同じように現れるのは、

アフガニスタンの存在が感覚的に近くなるような、不思議な感覚である。



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                    写真:オフィスにやってきたマヒワ。