9.11から5年。

5年前の9.11は今でも鮮明に覚えています。前職を退職したばかりだったため、自宅にいました。夜10時ころ、書類を整理していると、テレビを見ていた母親に呼ばれた。第1のタワーに一機目の飛行機が飛び込む映像が繰り返し流れているところでした。一瞬ハリウッド映画ではないかと目を疑いましたが、見ているうちに、2機目が第2のタワーに激突。続いてペンタゴンに飛行機1機、ペンシルバニアに飛行機1機が墜落したことが報道され、同時多発テロであることが有力となりました。「これで世の中は変わってしまう。」と思ったことを記憶しています。

実際、9.11はアフガニスタンの近代史を塗り替えるきっかけとなりました。アフガニスタンからのソ連撤退および冷戦崩壊後、アフガニスタン国際社会から忘れ去られ、長年の内戦状態に入りました。タリバン政権によるバーミヤンの仏陀破壊や女性に対する厳しい取締りなどは一時世界の非難を浴びたものの、アフガニスタンは長い間国際社会に忘れられていました。

しかし、9.11がきっかけで、アルカイダの活動拠点であったアフガニスタンが再び世界の注目を一気に浴びたのです。タリバン政権によるアルカイダの引渡し拒否をきっかけとして、アメリカによるアフガニスタン空爆が始まりました。これが直接の原因となり、10月にはカンダハールが陥落し、タリバン政権が崩壊したと宣言されました。2002年1月にはカルザイを大統領とする暫定政権が樹立されました。

その後、選挙が行われ、アフガニスタンの民主化プロセスが始動し、各国政府や国際機関、NGOなどによる本格的な復興支援が実施されてきました。しかし、国家としての機能を設立し、長年の内戦からの復興することは一朝一夕で行うことはできません。

人々の生活は少しずつ改善してきた部分もあるものの、未だに安全な飲料水、教育、医療へのアクセスがない人が多くいます。未だに多くのアフガニスタン難民がアフガニスタンに帰還することができずにいます。現在でも南部や南東部でのタリバンを含む反政府勢力の活動は活発化し、内戦状態にあると言えます。

一方で、イラク戦争などが注目され、国際メディアにおけるアフガニスタン情勢の報道はめっきりと少なくなりました。しかし、9.11とタリバン政権崩壊から5年、アフガニスタンの復興の道のりはまだまだ長いのです。