危険な夜
ルームメートのモンゴリアンがレテホホ出張中の、とある8月下旬の夜7時頃。
オフィスから一人、自宅に疲れて帰ってきてご飯を食べて、しばらくすると危険を知らせる金物の音が聞こえてきた。
ちなみにここでは危険が近づくと、みんな門や鍋や鉄の棒をたたいて周りに知らせる習慣がある。
カンカンカンカンカン…
始めは1-2人が叩いているような、かすかな音だったのが、だんだん大きくなり
カンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカーン…
と、あたり一面から金属を叩く音が聞こえてきて、すごい音になった。
うぉーーーーーー! どうやらこれは 尋常ではない何かただ事ならぬ危機 が迫っているらしいいいいっ!(汗)
と、思わず家中の電気を消して、身を潜めながら表の様子を見つつ、万が一に備えて退避用の荷造りなどをしていたところ・・・ 、近所に住むJICAのW夫妻から届いた一通のSMS。
Gessoku ga miemasu.
んんん?
ええっと…、「GESSOKU」ってなんだっけ。 (汗
早速ティトン語辞書を見てみたが載ってない。
うーん、もしかしてGETTOのことか? いや、この音だから「大火事」とか「大暴動」とかきっとそんな感じの意味かも!と思い、さすがに怖くなって思わず、くしゃみの音が非常に大きいため、通称「ハクション大魔王」と呼ばれる東ティモール現地責任者に電話してみる。
すみません、お休みのところ!えっと、あの、今、金物の音がかなりすごいんすけど、そちらに何かセキュリティー情報届いてます? あと、W氏宅から「ゲッソク」が見えてるみたいなんですけど、ゲッソクって何かご存知ですか?
動揺した私の電話に、いたって冷静なハクション大魔王の回答。
あーそれは…
「月食」だよ。
こっちでも鐘の音がすごい。
みんな出てきて月を見ろって合図だよ。
と。。。
月食・・・??!!
そーなのか?
今日は月食の日なのか??!!
と庭に出てみると、丁度すべての月が隠れたところで、 赤黒く光る月がぼんやりと見える。
うーむ。。。。
そーいえば「月食」見るの初めてだなあ…。
と、一挙にしみじみした気分となり、一通り「月食」を堪能して家に入ってみると …、
あわてて準備した退避用リュックと…、
そのためにぐちゃぐちゃになってしまった箪笥の残骸が…
月食の薄明かりの中にぼんやりと佇んでいたのであった・・・。 (チーン・・・・
おわり
バターしょうゆ