モタモタするな! 消費税『減税』は絶対に可能だ
  応能原則を公平に当てはめれば65兆円超の財源を捻出できる
  総合累進所得課税は「人類の叡智」

                        不公平な税制をただす会代表 浦野広明

 税負担における平等は「応能負担原則(応能原則)」と呼ばれる。
 応能原則は、経済的な負担能力に応じて税負担をするという納税者の重要な権利である。
 応能原則は個人所得課税(所得税や住民税)においては、
1.高所得者には高い負担を、低所得者には低い負担を
2.同じ所得であっても、原則として給与など勤労所得は税の負担能力が低いから軽い負担、利子・配当・不動産などの資産所得は負担能力が高いから重い負担
3.最低生活費・生存権財産には課税しない-などとする。
 応能原則は、憲法14条に加えて同13条(個人の尊重)、同25条(生存権)同29条(財産権)などの理念を生かすことによってつかみとる権利である。

 憲法の理念からすると、国税、地方税、実質目的税である社会保険料などは、すべて応能原則にかなったものにしなければならない。(中略)
 応能原則の中心は、「総合累進所得課税」である。これは所得を漏らさず集めて、所得が増えるにしたがって、税率をだんだん高くする制度である。

 大坂市大名誉教授の宮本憲一氏(財政学・環境経済学、元滋賀大学学長、日本学士院賞受賞)は総合累進所得課税を「人類の叡智」とし、「これに代わる公平で民主主義的な税制がいまのところない」とまで言い切っている(宮本憲一・鶴田廣巳編著「所得税の理論と思想」税務経理協会)。

 次は各種の税収に総合累進所得課税を当てはめるによって、十分な財源があることを明らかにした計算である。
 ◎申告所得税 2023年分申告所得税の課税所得について、おおむね1976年当時の税率を適用すると、14兆5129億円の増収となる。
 ◎源泉所得税 源泉分離課税について、23年度の利子・配当・株式所得に30%の税率を適用すると13兆6848億円の増収となる。
 ◎相続税 相続税は所得税の補完税的役割(所得の累積)がある。02年の相続税の税率を適用すると2兆9256億円の増収となる。
 ◎法人税 不公平な税制をただす会の前共同代表・菅隆徳税理士は、申告所得金額と各種減税による減産所得金額(23年度)を加えた合計所得金額130兆8429億円を算出した(後略)
              (9月17日発行『日刊ゲンダイ』より抜粋)