ー・-・-・-・-ー・-・-・-・-

Journal's Eye
冤罪救済「善は急げ」

2025年10月号

 

 

大川原さん・前川さん・袴田さん3人の“ 共演” は初めてとあり、地元市民などから多くの関心が集まった
(8月29日夕、札幌市北区の札幌エルプラザ)

 

再審法改正呼びかけに320人
弁護士会が市民向けイベント


 無実の罪で捜査機関などから深刻な被害を受けた人たちが一堂に会する催しが8月下旬、札幌市内で開かれ、刑事訴訟法の再審関連条文の早期改正などが呼びかけられた。当事者の貴重な語りには多くの関心が集まり、足を運んだ約320人が講演や公開討論に耳を傾けた。
 


 イベント『先送りにしない! 秋の臨時国会で再審法改正を!!』は北海道弁護士会連合会(松田竜理事長)が主催して8月29日夕、札幌市北区の札幌エルプラザで開かれた。大川原化工機事件(2020年)で違法捜査の被害に遭った大川原正明さん(74)、福井中学生殺害事件(1986年)で服役後に再審無罪を勝ち取った前川彰司(しょうし)さん(60)、袴田事件(66年)で不当に長期間拘束され続けた袴田巖さんの姉・ひで子さん(92)といった冤罪被害当事者が登壇したほか、郵便不正事件(2009年)で無罪判決を得た村木厚子さん(69)がビデオ参加し、現在の刑事司法の問題点を語り合った。
 杜撰な捜査で事件をでっち上げられた大川原正明さんは、のちに捜査を検証した警察の「指揮命令系統の機能不全」なる結論を強く批判した。
「国家賠償請求裁判では現職の警察官たちが『捜査はおかしい』『捏造だった』と証言しました。そういう現場の声に上層部が耳を貸さなかったことが一番の問題なんです」
 人はミスを犯すという前提で制度をつくるべきと訴えたのは、村木厚子さん。捜査や司法の間違いを責めることもよりも同じ間違いの再発を防ぐことが重要と話した。
「国民は警察官や裁判官にパーフェクトを求めがちですが、人は誰でもミスをするもの。ミスを隠さず、早く対応し、同じことを繰り返さないよう制度を変えていかなくては」
 身に憶えのない殺人事件で長い服役を強いられた前川彰司さんは再審制度の一刻も早い改正を呼びかけ、大きな賛同の拍手を浴びた。
「今も獄に繋がれている冤罪被害者がたくさんいます。救済が早ければ早いほど、多くの人たちが救われる。やはり『善は急げ』です」

 

全国裁判所不祥事・2024年速報|1年間で懲戒18件、監督措置3件 | HUNTER(ハンター)