気温上昇で生産性減
国連、労働者保護へ指針
国連は22日、気候変動に伴う深刻な熱ストレスから労働者を守る
ための指針を盛り込んだ報告書を公表した。各国の政府や雇用者に
持病のある人や中高年など体力の低下した人に配慮しながら、地域
職種ごとに対策を立てることを求めた。世界気象機関(WMO)の
レット副事務局長は「酷暑から労働者を守ることは健康面のみなら
経済的にも必要」と訴える。
WMOと世界保健機関(WHO)が共同でまとめた。報告書によれ
世界各地で極端な暑さは厳しさ、頻度ともに増し、屋内外で労働者
スクを高めている。熱中症や腎機能障害などの健康被害は今後、開
上国で特に深刻化するとみられる。暑さと生産性の関係にも着目し
セ氏20度を超えると気温が1度上がるごとに労働者の生産性は2
下がるとした。
推奨される行動として、労働者を含むすべての利害関係者を巻き込
ながら対策に取り組む必要を強調。送風機が付いた作業着など、暑
を緩和する技術の積極的な活用も求めた。
両機関が暑さと労働に焦点を当てた報告書をまとめたのはおよそ
半世紀ぶり。
2024年に世界の平均気温が観測史上最高を記録するなど温暖化
し、暑さから労働者の命を守ることは「世界的な共通課題となった
(バレット氏)と指摘する。
(8月25日「毎日新聞」朝刊21面より)