たんぽぽ舎【声明】第三弾
     米国によるイラン核施設への軍事攻撃を断固糾弾する
     国連憲章に対する明白な違反であり
     核不拡散条約(NPT)体制に対する深刻な挑戦だ

   

  2025年6月22日 たんぽぽ舎

 日本時間2025年6月22日午前9時頃、トランプ大統領は米軍がイラン
国内の三つの核関連施設に対し爆撃を実施し、これを破壊した旨を公然と
発表した。
 NBC  https://www.nbcnews.com/video/special-report-president-trump-delivers-remarks-on-iran-strikes-242044997517
 NHK https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250622/k10014841181000.html

 この攻撃は、国際法に著しく反する武力行使であり、地域と世界の平和および安全保障に対する重大な脅威である。
 この武力行使の違法性を明らかにし、断固として糾弾する。

1.国連憲章に対する明白な違反
 米国による今回の攻撃は、「国連憲章第2条第4項」において明確に禁止されている「武力による威嚇または行使」に該当する。イランが米国に対して武力攻撃を加えた事実は存在せず、自衛権の行使として正当化され また、「第51条に基づく個別的または集団的自衛の主張」は、急迫不正の武力攻撃の発生が要件であるが、今回の爆撃において米国はそのような状況の存在を立証していない。従って、本攻撃は違法な先制的武力行使であり、国際秩序を根本から破壊する暴挙である。

2.核不拡散条約(NPT)体制に対する深刻な挑戦
 イランは核不拡散条約(NPT)の非核保有国として、IAEAの査察を受け入れ、核活動の透明性を一定程度担保してきた。にもかかわらず、IAEAによる査察や外交的手続きを経ることなく、核施設に対して爆撃を行う行為は、NPT体制の信頼性を毀損し、非核国に対して「核を持たねば攻撃される」との誤った教訓を与える危険な前例となる。
 本攻撃は、核拡散防止に対する逆機能をもたらすものであり、非核保有国に対する恫喝と破壊を通じた暴力的制裁である。

3.核施設攻撃の国際人道法上の違法性と環境被害
 爆撃の対象となった核関連施設は、放射性物質を含む施設であり、軍事目標としての合法性は認められていない商業用施設である。
 ブーシェフル原発は、IAEAの保障措置下にある商業原発であり、その攻撃は「ジュネーヴ諸条約追加議定書(1977年)第56条」に違反し、民間人の生命と環境に対する危険な結果を伴う。
 今回はこの原発を攻撃したとの報道はないが、この原発の燃料を製造していたと思われるイスファハーンの転換工場は破壊されたという。
 実際に放射性物質が拡散した場合、その被害は国境を越え、長期的かつ回復不能な環境災害を引き起こし、国際人道法上も明確に違法である。

イ.米国は、自国の軍事力と核兵器保有の優越性を背景に、国際法秩序と人類の生存基盤に対する破壊的行為を正当化しようとしている。
 しかし、いかなる大国であれ、法を超越する存在ではない。
 イラン攻撃は、単なる戦術的作戦ではなく、イランの体制破壊、核施設への破壊を目的としている。これは戦争犯罪および国際法違法行為である。そしてそれは、核なき世界の実現を目指す全ての人々に対する宣戦布
告に等しい。
 我々は、法と正義に立脚し、国際秩序を守るため、そして核廃絶の実現のために、この暴挙を断固として拒絶する。

ロ.国際人道法による明確な禁止にもかかわらず、しばしば商業用原子力施設も攻撃目標とされる。
 これは、原子力施設が自国に設置された核兵器と同様の意味を持ち、戦略的に攻撃目標とすることで、相手国に対し極めて甚大な被害を及ぼすことが明らかであること、商業用原子力施設の多くは、イランのような強固な地下施設ではなく、ほとんどが地表にむき出して建設されているため、無人機のような安価な装置でも容易に攻撃可能なこと、そしてこうした施
設への攻撃が予想される場合、その防護や住民退避に莫大な労力が費やされ、それだけで相手国へのダメージになることが明白だからだ。
 気象条件により自国の被害が懸念されない状況であれば、容易に攻撃対象になるだろう原子力施設は、直ちに閉鎖、撤去する必要があることを指摘する。

※たんぽぽ舎【声明】の≪賛同団体≫は、以下の通りです。(6月25日まで)
 平和のための日本民衆外交団、原発さよなら千葉、反原発自治体議員・市民連盟、市原・憲法を活かす会、ゼロカーボンシティーを実現する市民の会、再稼働阻止全国ネットワーク、石炭火力を考える市原の会、ピースサイクル全国ネットワーク、脱ひばく実現ネット、肉球新党、多摩川太鼓、忘れまい!3.11反戦・反原発の会/千葉、部落解放荒川区民共闘会
議、反戦反差別荒川区実行委員会。(順不同)

 

 

 

たんぽぽ舎【声明】・第二弾
     イスラエルによるイランへの攻撃を強く糾弾し直ちに武力行使の  停止を要求する
     原子力施設への攻撃は「核攻撃」であり、  周辺国を巻き込む大災害になる

   
                        2025年6月23日
  2025年6月13日、イスラエルはイランの核関連施設や軍事施設を攻撃し、軍幹部や科学者多数を殺害。これに対しイランも報復を行い、370発以上のミサイル・数百機のドローンを発射。双方に多くの死傷者が出た。
 2024年にも軍事攻撃を行っているが、今回の事態は規模や被害が遙かに大きいものであり、さらに事態の長期化と深刻な被害が懸念される
 イスラエルによる攻撃は、主にイランのウラン濃縮施設、核関連施設に対するものであるとされるが、イラン保健省の報道官は15日、イスラエルによる爆撃の死者は少なくとも224人、負傷者は1200人に達したと発表し
た。死傷者の9割は民間人で、女性と子どもが70人含まれる。
 16日までで一度に最も多くの犠牲者を出したのは、14日に首都テヘランで起こった集合住宅の崩壊で、60人が亡くなり、うち半数が子どもだった。
 国営放送などの報道機関も爆撃している。これらは、国際法に著しく違反し、地域と世界の平和と安全に対する重大かつ直接的な脅威である。
 このような行為に対して、断固として非難する。

 1.イスラエルに対し、ただちにすべての武力行使を停止するよう要求する
 国際連合憲章第2条第4項は、武力による威嚇および行使を明確に禁止している。
 現在のイスラエルの行動は、イランによる武力攻撃が発生していないにもかかわらず、一方的に国家の主権を侵害し、市民の生命を危険にさらしているものである。
 核関連施設への攻撃は、大規模な放射性物質の拡散を引き起こす可能性があり、とりわけブーシェフル原発への攻撃が行われれば、周辺住民や国境を越えてペルシャ湾岸国にも壊滅的被害をもたらす危険性をはらんでおり、実質的に非核兵器国に対する「準核攻撃」とみなすべき暴挙である。

 2.米国による核施設攻撃は、イランと米国との戦争に発展する危険性がある
 この攻撃は、米国による軍事支援が背景にあり、攻撃に対してトランプ大統領が事前に「認識」していたという。そのうえで非常に成功した攻撃と評価している。
 そのうえで、米国が現在検討しているとされる対イラン軍事行動は、事実上、核保有国による非核国への一方的武力行使であり、核不拡散条約(NPT)の精神と条文に明確に反する。
 このような行為は、イランを含む非核保有国に対して、「核を持たない者は破壊される」という誤った教訓を再び与え、核拡散の連鎖をさらに誘発する可能性がある。
 現実に2003年に米国のブッシュ政権がイラクのフセイン政権を「秘密裏に核兵器開発を行っている」との誤情報に基づき攻撃し破壊した結果を見て、朝鮮民主主義人民共和国は核兵器開発を加速させたと言われている。
 また、地下深くに存在する中部フォルドゥのウラン濃縮施設を米国がバンカーバスターで攻撃する計画が実施されれば、イランは米軍基地への反撃を開始し、イラン対米国の戦争に発展する危険性がある。

 3.原子力施設への攻撃は「非核兵器による核攻撃」であり、周辺国を巻き込む大災害になる
 原子力施設への攻撃は、核兵器の使用に匹敵する破壊的影響をもたらし得る。
 特に原発への攻撃は特に深刻だ。稼働中のブーシェフル原発は軽水炉であり、攻撃による冷却機能喪失、放射性物質の拡散は、福島第一原発事故やチェルノブイリ原発事故を超える被害規模に発展し、イランはもとよりペルシャ湾岸諸国にも被害を与える。
 このような行為は、ジュネーブ条約追加議定書(1977年)により保護される民間施設への攻撃の中でも深刻で明白な国際人道法違反行為である。

 4.国際社会は、核施設に対する攻撃を明確に違法とし、速やかな行動をとるべきである
 国連総会、安保理およびIAEAは、即時次の措置を実施すべきである。
 イ.イスラエルの行動に対する非難決議の採択
 ロ.ブーシェフル原発および核関連施設への国際監視団派遣
 ハ.非核国の核関連施設に対する攻撃の違法性確認と防止枠組みの構築
 ニ.米国およびその他の国による対イラン軍事行動の差し止め要求
 ホ.このような武力行使を繰り返すイスラエルに対しては、軍事協力のみならず各国政府による調達を全面的に停止し、民間に対しても取引停止を呼びかける

 5.核兵器の使用のみならず、核施設への攻撃で、核被害を意図的に引き起こそうとする行為が、21世紀において新たな軍事作戦となっているが、これは断じて許容されてはならない。
 すべての国家に対し、国際法、人道原則、そして人類の未来に対する責任を果たすよう、厳しく求めるものである。
 

 

 

 

 

 

 

たんぽぽ舎【 声 明 】
 イスラエルによるイラン攻撃・ガザ侵略・核兵器政策を糾弾する
 国連憲章、NPT体制、国際人道法を踏みにじる行為に対し
 日本は明確な拒否を突きつけよ…沈黙は共犯である

 

 2025年6月18日
       たんぽぽ舎【声明】への≪賛同団体≫
 平和のための日本民衆外交団、原発さよなら千葉、反原発自治体議員・市民連盟、市原・憲法を活かす会、ゼロカーボンシティーを実現する市民の会、再稼働阻止全国ネットワーク、石炭火力を考える市原の会、ピースサイクル全国ネットワーク(順不同)
   (6月18日までの賛同団体です、引き続き賛同団体を募集します


1.イスラエルの軍事行動は国連憲章違反であり自衛権の行使ではない

 イスラエルによるイラン国内施設への軍事攻撃、およびガザ地区への壊滅的爆撃・地上侵攻は、明白に国連憲章第2条第4項が禁じる武力行使に該当する。
 『すべての加盟国は、国際関係において、他国の領土保全または政治的独立に対する武力による威嚇または武力の行使を慎まなければならない。』

 イスラエル政府はこれを「自衛のための措置」などと正当化しているが、国際法上の自衛権(憲章第51条)は、武力攻撃が発生した「直後」に、必要かつ比例的な範囲でのみ認められる限定的権利である。いかな
る先制攻撃も、ましてや報復攻撃も許容されない。

 イランとの間に交戦状態は存在せず、攻撃の対象となった核施設もIAEAの査察対象下にあり、軍事施設ではなかった。
 ゆえに、イスラエルの行動は武力による懲罰にすぎず、違法な先制攻撃、侵略行為に該当する。

2.イスラエルの核政策はNPT体制を破壊するものである

 イスラエルは核不拡散条約(NPT)に加盟しておらず、自国の核兵器保有について一切の説明責任を拒否し続けている。
 ネゲヴ砂漠のディモナ核施設は国際原子力機関(IAEA)の包括的査察を受けておらず、長年にわたり「秘密裏の核武装」を進めてきたことは公然の事実である。

 他方、イランはNPT加盟国であり、同条約第4条が保障する「平和的原子力利用の権利」に基づいて核開発を行ってきた。
 イスラエルによる核関連施設への先制攻撃は、NPT体制に対する重大な挑戦であり、平和的核技術の使用権を持つ国々に「軍事的恫喝」の先例を与える暴挙である。

 このような「非加盟・不透明・核武装」のイスラエルが、他国の核開発を理由に攻撃することは、法的・道義的にまったく整合しない。NPT体制の根幹を揺るがす暴力的破壊である。

3.核抑止論は先制攻撃の論理に転化する スコット・セーガンの警告

 イスラエルの戦略は、「敵が核兵器を持つ前に破壊する」という「予防攻撃」の論理に基づく。
 これは、核抑止理論が意図するはずの「戦争を回避するための理性」ではなく、「相手の力が成長する前に叩け」という暴力的合理性へと転嫁した姿である。

 核軍備管理の第一人者スコット・セーガンはその著書「核兵器の拡散 終わりなき論争」(ケネス・ウォルツ、スコット・セーガン2003)において、次のように警告している
 『予防戦争の論理は本質的に不安定化をもたらす。敵が強くなる前に先に叩こうという動機を与えるからである。それは抑止を解決ではなく逆説に変えてしまう。』
 このような「核による脅し→攻撃→反撃→拡大」という悪循環こそ、核拡散防止体制が最も防がねばならない事態である。
 イスラエルはこの原則を真っ向から踏みにじっている。

4.ガザにおけるイスラエルの戦争犯罪と集団懲罰

 イスラエルによるガザ地区への攻撃は、2023年以降の軍事行動において、明確に国際人道法(特にジュネーブ諸条約)に違反している。
 民間人を無差別に殺傷し、病院・学校・避難所を軍事目標と称して攻撃する行為は、戦争犯罪と断罪されるべきである。

 国連人権理事会、国際刑事裁判所(ICC)、および多くの人道NGOが相次いで警告と調査を開始しており、イスラエルの行為は「集団懲罰」「民族浄化」の意図を持つと多くの専門家が批判する。
 「テロとの戦い」や「自衛権の行使」といった「修辞」では、もはやこれを正当化することはできない。

 攻撃対象が無力な民間人であり、結果として何万人という非戦闘員が犠牲になっている現実を見れば、イスラエルの行動が明白な人道に対する罪であることは明らかである。

5.米国・トランプ政権の共犯性と核秩序の破壊

 2025年に再登場したトランプ政権は、イスラエルによる一連の軍事行動を全面的に支持し、国連安保理における非難決議を繰り返し拒否権で阻止している。
 米国は事実上、国際法違反の共犯者となっている。
 さらに、トランプ政権は包括的核実験禁止条約(CTBT)を批准する意思を明確に否定し、核実験の再開を模索し、核兵器の近代化計画を加速している。

 INF条約からは脱退し、新STARTの有効性も空洞化しつつあり、米国自身が「核秩序の破壊者」に転じている。
 イスラエルと米国による一体的軍事行動は、力による一方的な世界秩序の構築という妄想に突き進んでおり、その犠牲となるのは武力行使の前に最も声を持たぬ市民である。

6.日本の沈黙は核廃絶への裏切りである

 日本政府は、イスラエルと米国の軍事行動に対して一貫して「懸念」や「遺憾」の表明にとどまり、国際法違反としての明確な批判を回避している。
 この態度は、日本が掲げてきた「非核三原則」(核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず)や「戦争放棄」の憲法第9条に対する背信行為に等しい。
 さらに問題なのは、日本政府がイスラエルとの間で武器技術協力・防衛産業の連携を進めている点である。

 かつての「武器輸出三原則」(1967年制定)は、イ.共産圏諸国、ロ.国連決議違反国、ハ.紛争当事国への武器輸出を禁じていた。
 イスラエルはハ.に明確に該当する。

 安倍政権下でこの原則は「防衛装備移転三原則」へと緩和されたが、それでも「紛争助長を避ける」という原則は明文化されている。
 ゆえに、イスラエルとの武器関連協力は、この原則に対する明白な違反行為である。日本は法制度的にも倫理的にも、イスラエルへの協力を即時停止すべきである。

7.国際社会の責務 今こそ制裁と刑事責任を

 イスラエルと米国による国際法違反を放置すれば、国際秩序は崩壊し、暴力の連鎖が世界を覆うことになる。
 国際社会は以下の措置を直ちに講じるべきと考える。
イ.国際刑事裁判所(ICC)によるイスラエル指導層の戦争犯罪・人道に対する罪の訴追
ロ.国連総会による緊急特別会合を通じた非難決議(安保理は役に立たない)
ハ.イスラエルへの武器輸出禁止と経済制裁の強化(対ロシア制裁と整合させる)
ニ.米国に対するNPT再建の外交的圧力とCTBT批准要求(核軍縮義務履行と軍縮義務)

8.「安全保障」の名のもとに人権と法を破壊してはならない

 核兵器による抑止、安全保障の名を借りた先制攻撃、敵対国の殲滅といった論理は、20世紀において幾度も破綻を見せた幻想である。
 国際社会がいまなすべきは、「力による平和」ではなく、「法による秩序」と「市民による監視」を取り戻すことである。

 とりわけ日本は、被爆国として、平和憲法を持つ国として、核抑止論や先制攻撃論に与することなく、国際法と人道主義に根ざした外交を展開すべきである。
 沈黙は共犯である。
 日本は毅然とした拒否を示さねばならない。