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編集委員・沢伸也 福冨旅史
顧客名義の口座を無断で偽造、架空融資 不良債権隠しか いわき信組
いわき信用組合の本店=2025年5月7日、福島県いわき市、沢伸也撮影
福島県いわき市のいわき信用組合(本多洋八理事長)が、預金者の名義を使って無断で別の口座を作り、その口座へ融資を行う形で資金を流出させていた疑いがあることがわかった。関係者によると、こうした資金は信組内で「B資金」と呼ばれ、大口取引先への融資が不良債権化したことを隠そうと、返済の肩代わりに使っていたという。
金融機関が組織的に口座を偽造し、架空融資で経営状態を装う不正は極めて異例で、金融庁は調査するとみられる。
裁判所がリスト保全 約90口座、計17億円超
関係者によると、いわき信組では昨秋、不正の疑いが浮上し、一部の組合員が架空融資の証拠の保全を福島地裁いわき支部に申し立てた。同支部は今年2月、申し立てを認め、同信組本店に入って検証を実施。偽造口座の名義や融資残高が記されたリストなどの関係書類を確認し、証拠として保全する手続きを取った。リストには融資額として、2024年秋時点で約90口座、計17億円超が記されていたという。
印鑑は約90本 店舗名の袋で保管
同支部は架空融資に使われた印鑑約90本も証拠として保全した。印鑑は12の店舗ごとに、店舗名が記されたポリエステルの袋で保管されていたという。
複数の信組関係者らによると、いわき信組は、預金者の中から名義とする人を選び、預金者名の印鑑を無断で用意し、口座開設書類を偽造。住所などは預金者の情報を流用していた。口座偽造は本店で行われていたという。
本店が偽造した書類を使い、融資の手続きは支店の担当者が行っていた。融資書類には融資を受けるために必要な印鑑証明書などは添付されていなかった。融資は1口座あたり数百万~数千万円ずつだったという。こうした不正は少なくとも10年以上続いていたとされる。
いわき信組「回答致しかねる」
いわき信組の話 第三者委員会の調査結果公表を前に個別の質問に対する回答は致しかねる。
経営悪化の表面化を回避か 信組の元会長は取材に
複数の預金者は取材に、自身…
顧客名義の口座を無断で偽造、架空融資 不良債権隠しか いわき信組:朝日新聞
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預金者、知らぬ間に「借金」 死亡後なのに借り入れも 信組架空融資:朝日新聞
預金者、知らぬ間に「借金」 死亡後なのに借り入れも 信組架空融資
預金者、知らぬ間に「借金」 死亡後なのに借り入れも 信組架空融資:朝日新聞
【動画】いわき信用組合の不正疑いについて、元職員が証言
いわき信用組合の本店=2025年5月7日、福島県いわき市、沢伸也撮影
5月上旬、福島県いわき市。海岸から車で5分の高台にある住宅街に記者は向かった。いわき信組が無断で名義を使ったという情報がある男性に会いに行くためだった。
男性の住所に着くと、そこは寺の駐車場になっていた。駐車場の周辺には腰の高さほどの草が生い茂り、人が住んでいる気配はない。寺の関係者に男性の居場所を尋ねると、不思議そうに答えた。「東日本大震災の前に亡くなりました」
支店名、口座番号、保証人…すべて違った
預金者、知らぬ間に「借金」 死亡後なのに借り入れも 信組架空融資:朝日新聞
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編集委員・沢伸也 福冨旅史
「発言してもつぶされる」架空融資の指示逆らえず 信組元職員の悔恨
いわき信組の架空融資について振り返る元職員=2025年4月、福島県いわき市、金居達朗撮影(画像にぼかしを入れています)
預金者の名義を無断で使って口座を作り、そこへの融資を装い資金を流出させる。いわき信用組合(福島県)で極めて異例な不正の疑いが浮上した。
いわき信組の元職員2人が取材に、架空融資に関わった経緯を語った。
証言によると、2011年のある日、元職員の男性がいた支店に、運転手付きの車で本店の幹部が来た。本店幹部は支店長と応接室に入った。
しばらくすると、支店長から「ちょっと」と呼ばれた。男性は当時、融資担当。本店幹部の向かい側に座らされ、支店長は退席した。向かい合う本店幹部の口から出たのは、預金者に無断で行う融資の指示だったという。
記事の後半に、取材に応じた元職員の男性の動画があります。
「何も言わずやって欲しい」
本店幹部は融資の仕組みを説…
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着服など不祥事9件さらに旧経営陣による隠蔽も 福島県商工信用組合に業務改善命令 福島・郡山市
テレビユー福島
福島県郡山市に本店を置く金融機関、福島県商工信用組合は2008年から14年にわたって、定期積金の着服など9件におよぶ不祥事があり、旧経営陣がこのうち8件を隠蔽し、経営管理態勢に重大な問題があったとして、財務省から業務改善命令を受けたことが明らかになりました。
【福島県商工信用組合 須佐真子理事長】「誠に申し訳ございませんでした」
郡山市に本店を置く福島県商工信用組合は7日会見を開き、2008年から2022年までの14年の間に職員が、定期預金の解約金を着服するなどの不祥事があわせて9件あったと発表しました。着服された金額は総額で3000万円を超えますが、すでに全額弁済されているということです。
会見する福島県商工信用組合 須佐真子理事長
一方、このうち8件については、現理事長の父親にあたる当時の須佐喜夫理事長および内部監査部門のトップなど旧経営陣が不正の隠ぺいを行い、経営管理が機能不全に陥っていたとし、さらに前理事長の指示で監視カメラ映像の消去なども行っていたということです。
あわせて旧経営陣が不祥事を把握しながら法令で定められている監督官庁の財務省への報告を怠っていたということです。
【不祥事の内容】
①白河支店 当時20代元職員 2008年11月~2009年5月
定期積金掛込金の着服、定期積金掛込金の立替入金 事故金額248,000円
②朝日支店 当時10代元職員 2012年12月~2013年3月
定期積金掛込金の着服 事故金額662,000円
③日和田支店 当時10代元職員 2012年11月~2013年5月
定期積金解約金の着服 事故金額2,636,000円
④須賀川支店 当時20代元職員 2010年8月~2014年9月
定期預金解約金の着服、融資返済入金の立替入金、浮貸し、保証料の立替入金、
不正口座の開設、不正口座への融資実行、不正口座からの出金、不正資金の正規
講座への入金、不正口座への入金 事故金額17,015,467円
⑤本宮支店、桜通支店 当時30代職員 2013年5月~2015年2月
融資実行金の着服、定期積金解約金の着服、定期積金掛込金の着服
事故金額5,445,190円
⑥本宮営業部 当時20代元職員 2015年2月~2015年9月
定期積金延滞先への自己資金による立替入金 事故金額352,000円
⑦本宮支店 当時20代元職員 2016年6月~2017年4月
顧客カードローンの不正利用による着服 事故金額477,650円
⑧本店営業部 当時40代職員 2016年6月~2019年4月
定期積込掛込金の着服、融資実行金の着服、融資手数料の着服、融資返済金の立
替入金、延滞損害金の立替入金、年金担保融資に関する浮貸し、定期積金着服金
の穴埋め金 事故金額3,210,000円
⑨富久山支店、日和田支店 当時20代元職員 2022年3月~4月
定期積金掛込金の着服、普通預金入金部分の着服 事故金額544,000円
福島県商工信用組合(郡山市)
このため財務省東北財務局は7日付で福島県商工信用組合に対し、経営管理態勢に重大な問題があったなどとして業務改善命令を出す行政処分を行いました。そして業務改善計画書を4月7日までに提出するよう求めています。
福島県商工信用組合は旧経営陣に対し、役員退職慰労金の一部返納を請求することにしています。また前理事長の須佐喜夫会長は2月1日付で会長職を辞任したということです。また現経営陣については須佐真子理事長が報酬全額6か月、専務理事は報酬40%を3か月、常務理事及び常勤理事、常勤監事は報酬30%を3か月それぞれ返納することを決めました。また不祥事防止に向けて組織改革を行うとしています。
財務省東北財務局
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信用組合https://lfb.mof.go.jp/tohoku/b2_kinyu/01_kinyukankei/52_fukushimakensyoko.html
福島県商工信用組合に対する行政処分について
最終更新日:2025年3月7日
- 福島県商工信用組合(本店:福島県郡山市)については、当局検査等において、前理事長等による平成20年11月から同31年4月までの間に発生した事故者8名による不祥事件の隠蔽が認められたほか、現理事長による第三者調査の過程における監視カメラ映像の消去及び当局が提出を求めた理事会議事録について承認事項と異なる内容への書換えといった法令等遵守意識が欠如した行為等が認められたことから、協同組合による金融事業に関する法律第6条第1項において準用する銀行法第24条第1項の規定に基づき、その事実関係及び発生原因等の報告を求めたところ、理事会及び監事による監視や牽制が機能していないなど、経営管理態勢及び法令等遵守態勢について、重大な問題点が認められた。
- このため、本日、同組合に対し、協同組合による金融事業に関する法律第6条第1項において準用する銀行法第26条第1項の規定に基づき、下記の内容の業務改善命令を発出した。
記
命令の内容
- 健全かつ適切な業務運営を確保するため、以下の観点から、経営管理態勢及び法令等遵守態勢を確立・強化すること。
- 一連の不祥事件の隠蔽及び理事長自身による法令等遵守意識が欠如した行為等に関する経営責任の所在の明確化
- 理事会及び監事による経営監視・牽制が適切に機能する経営管理態勢の確立(理事相互間の監視・牽制や当局への正確な報告の実施を含む)
- 全組合的な法令等遵守態勢の確立(コンプライアンス軽視の企業風土の改善を含む役職員の法令等遵守意識の醸成・徹底を含む)
- 内部管理態勢の確立(厳正な事務処理の徹底及び相互牽制態勢の確立)
- 内部監査態勢の改善・強化による監査機能の実効性の確保
- 不祥事件及び不祥事件が疑われる事案発覚後の対応の抜本的な見直し(経営トップの独断による隠蔽を防止する態勢の構築を含む)
- 上記1に係る業務改善計画を令和7年4月7日(月曜日)までに提出し、直ちに実行すること(計画に修正があった場合は都度提出すること)。
- 上記2の改善計画について、当該計画の実施完了までの間、3か月毎の進捗及び改善状況を翌月末までに報告すること(初回報告基準日を令和7年6月末とする)。
English Summary
令和7年3月7日
金融庁
福島県商工信用組合に対する行政処分について
本日、東北財務局長から、福島県商工信用組合(本店:福島県郡山市、法人番号:4380005002512)に対して、協同組合による金融事業に関する法律(昭和24年法律第183号)第6条第1項において準用する銀行法(昭和56年法律第59号)第26条第1項の規定に基づき、業務改善命令が発出されました(詳細は、東北財務局ウェブサイトを参照してください。)。
※福島県商工信用組合に対する行政処分について(東北財務局ウェブサイト)
- お問い合わせ先
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財務省東北財務局 理財部金融監督第二課
Tel:022-263-1111(代表)(内線3155)財務省東北財務局 福島財務事務所理財課
Tel:024-535-0303(直通)(内線2300)金融庁 監督局銀行第二課協同組織金融室
Tel:03-3506-6000(代表)(内線3377、3736)