子どもたちに侵略の銃を持たせるな!
那須研一(学童支援員)
4月13日(日)、雨。午前11時、「戦争に協力するな!させるな!練馬アクション」他2グループ主催の陸上自衛隊練馬駐屯地祭抗議行動に参加するため、同駐屯地正門へ。
門内外に居並ぶ迷彩服・制服の隊員と警官、そして我々の横断幕「練馬駐屯地を撤去せよ」の前を、家族連れが続々と通過していきます。
一般入場者の入口は、正門に向かって右手に回り込んだ南門と西門のもよう。
東京ドーム約5個分の面積を占める練馬駐屯地。元を糺すと帝国陸軍造兵廠(兵器製造施設)練馬倉庫のあったところ(1930年~)で、現在、陸上自衛隊が第一師団司令部を置く。
「第一師団は隊員数6500名」「東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県…1都6県の防衛、警備、災害派遣、国民保護などを担当」(Wikipedia、第一師団Xより)。
今日の駐屯地祭、何をやるのかというと…
「記念式典、観閲行進、音楽演奏、訓練展示、装備品展示、体験試乗、自衛隊体験(ロープ結索法、格闘)…」(陸上自衛隊応援サイト「陸自調査団」より)
私の学童施設の児童たちは銃が大好き。男の子たちはレゴブロックで思い思いに拳銃やショットガンを作って、1時間でも2時間でも銃撃戦ごっこをしている。本物の武器を目にする(触る?)ことができるばかりか、自衛隊車両に乗せてもらえるなんて、ワクワクする!…といったところだろうか。
軍備増強を進める日本政府。しかし、自衛隊員採用予定数の半数も充足できないばかりか、年間入隊者数を中途退職者が上回る。
自衛隊の活動としてかつて喧伝された災害派遣は後景に退き、入ったら戦地に立たされそう。隊内のパワハラ、セクハラ、汚職の報道もあとを絶たない。募兵の側の危機感が、小学校~高校の児童生徒のリクルートに向かわせているのでしょう。
*写真=「陸上自衛隊 練馬駐屯地X」より
雨天の中、正門前の横断歩道の向こうから、父母と共に会場に向かう子どもたちの行列に向かって私は「NO BASE NO WAR 世界のどこにも軍事基地はいらない」と書いたプラカードを掲げながら「戦争反対!」と叫ぶ。仲間が代わる代わるマイクを握ってアピール。
「今、この中の式典に小池都知事が参列していますが、2000年、当時の石原慎太郎都知事はここで『大規模震災の際には`三国人‘が騒擾を引き起こす』と差別発言をしました。この駐屯地は災害時の治安出動の拠点。『不逞の輩が暴動を起こす』との予断をもとに民衆に銃口を向ける。関東大震災時の朝鮮人虐殺と同じ発想です」
「ここ数年、毎年のように、練馬駐屯地から都内各地に、迷彩服の自衛隊部隊が『市街地行進訓練』。これも治安出動の予行演習。一昨年は、この駐屯地が標的にされる前提で『国民保護訓練』。『ミサイルが飛んでくる』との想定で住民が動員され、練馬駅の地下で頭を抱えてしゃがむ訓練をさせられました。実際に攻撃をされたらそんな避難は意味ありません。排外主義を煽る茶番です」
「創立記念行事のたびに砲声、ヘリの離発着の騒音被害。中では子どもを対象に、高機動車に試乗させたり、模擬制服に着替えさせたりするばかりでなく、対人格闘訓練までさせています。中学高校卒業年齢の生徒にはダイレクトメールで高等工科学校入学・自衛隊入隊の勧誘。常軌を逸しています」
私もマイクを渡されたのでスピーチ。
「私は杉並区の学童支援員です。小学生の命と人権を守ることを大事にして仕事をしていますが、基地や駐屯地、そして軍隊は人の命と人権を踏みにじるものだと思います。今、沖縄・琉球孤では、自衛隊・米軍一体化のもと、軍事要塞化が進められ、長距離ミサイルや攻撃型ドローンが配備されています。それは『敵基地攻撃』即ち、先制攻撃のためのもの。もはや『自衛』隊ではなく、米軍傘下の侵略の尖兵になろうとしています。パレスチナで虐殺を続けるイスラエル軍も、自衛隊も、その本質は同じ。ごく一部の人間の利益のために多くの人の命を奪い、生活を破壊するもの です。軍隊も基地も駐屯地もいりません」
雨がっぱを着た子どもたちが怪訝そうに私を見上げながら通り過ぎていきました。
『レイバーネット日本』(2025-04-15)
http://www.labornetjp.org/news/2025/0413nasu