自由権規約 報告書審査
第5回政府報告書審査
自由権規約委員会の総括所見
規約第40条に基づき締約国から提出された報告書の審査 -国際人権(自由権)規約委員会の総括所見 日本 (仮訳)
1. 国際人権(自由権)規約委員会は、2008年10月15日及び16日に開かれた第 2574 回、2575 回及び2576回の会合で、日本の第5回定期報告書(CCPR/C/JPN/5) を審査し、2008年10月28日及び29日に開かれた第2592回、2593回及び2594 回の会合で、 以下の総括所見を採択した。
A.序論
2. 委員会は、締約国の包括的な第5回定期報告書、検討すべき課題一覧(質問リス ト/the list of issues)に対する書面による回答及び委員会の口頭による質問 に対し、代表団が行った詳細な回答を歓迎する。
しかし、委員会は、 2002年10 月が期限であったにもかかわらず、この報告書が2006年12月に提出されたこと に留意する。
委員会は、関係省庁の高官からなる大代表団と、対話に強い関心を示す多くの国内NGOの出席に感謝する。
パラグラフ26.
委員会は、公職選挙法による戸別訪問の禁止や選挙活動期間中に配布すること のできる文書図画の数と形式に対する制限など、表現の自由と政治に参与する権利に対して加えられている不合理な制限に、懸念を有する。
委員会はまた、政府に対する批判的な内容のビラを私人の郵便受けに配布したことに対して、住居侵 入罪もしくは国家公務員法に基づいて、政治活動家や公務員が逮捕され、起訴さ れたという報告に、懸念を有する(規約19条、25条)。
締約国は、規約第19条及び25条のもとで保障されている政治活動やその他の活動を警察、検察及び裁判所が過度に制限することを防止するため、その法律から、表現の自由及び政治に参与する権利に対するあらゆる不合理な制限を撤廃すべきである。
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東京都立大の木村草太教授(憲法学)は、第10章 最高法規:日本国憲法第98条(最高法規、条約及び国際法規の遵守)において「誠実に順守することを必要とする」市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)についてご存じないのでしょうか?
※「遵守」と「順守」の違いとは
両方とも「きまりに従うこと、違った方向に行かずに守ること」の意味で使われています。このように意味に違いはありませんが、遵守は、順守と比べて厳格に守るという意味が含まれています。
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11月18日2024年 朝日新聞
北海道警ヤジ排除から「表現の自由」を考える 憲法学者をまねき集会
首相演説にヤジを飛ばした市民を道警が排除したのは、憲法が保障する「表現の自由」の侵害にあたるとする判決が確定したことを受け、原告ら有志でつくる「ヤジポイの会」が17日、札幌市北区で最終報告集会を開いた。憲法学者や原告らが訴訟の意義を語った。
最高裁で確定した判決は、原告の桃井希生さん(29)の排除について道警の対応を違法と認定。道に賠償を命じた。一方、原告男性(36)については、大声に立腹した聴衆とトラブルになる危険性があったなどとして、警察官の行為を適法と判断して請求を退けた。
この日は、東京都立大の木村草太教授(憲法学)がゲストとして登壇。「表現の自由は、行使する人自身にとって価値があるだけでなく、他の人に気づきを与えるなど社会の意思決定を豊かにする面もあるため、手厚く保護されなければならない」と話した。
判決については「男性の行為が違法と認定されたわけではない」と指摘。他の聴衆とのトラブルの危険があったとしても、「いきなり警察が介入するのではなく、まずは当事者間で調整されるべきだった」とし、表現行為を萎縮させないことの重要性を訴えた。
桃井さんは「ヤジも言えない社会ではいけないと思い提訴した。多くの人が支援してくれて安心した」。男性は「排除されたことによって、むしろ自分たちの声が拡散された。ヤジを飛ばす権利も認められ、裁判をやってよかった」と振り返った。(上保晃平)