おはようございます。

 

 

 元毎日論説委員の岸本正人さん(故人)は、残暑厳しい2013年9月、

 

 

 朝のトレーニング中 急死されてしまいました。

 

 

 岸本さんには2012年1月4日、毎日本社喫茶室で当NGOメンバーと約1時間、意見交換し、ご協力いただきました。

 

 

 

 この翌年『日本の外交力―普天間、尖閣と抑止力』を出版。

 

 

 

 その夏も猛暑。

 

 

 連日 厳しい残暑でした。 が、彼はルーチンの・・・

 

 

 

 

 通夜は、見たことも聞いたこともない ”まるでパーティー” 

「毎日」のお偉いさん方の、笑い声と大声ともうもうとした煙・・・・

 

 


 

 まだまだ残暑が続いています、

 

 

 

 

 この秋、地球市民の大仕事があります。

 

 

 

 

  熱中症対策を万全に❤

 

 

 

 どうぞ、ご無事で お元気で (=^・^=)

 

 

 

 

岸本 正人 毎日新聞論説委員 2013年9月

 

毎日新聞論説委員。外交・安全保障担当。1953年岡山県生まれ。東京大学経済学部卒業後、毎日新聞社入社。政治部、外信部、ワシントン支局、千葉支局長、政治部編集委員、世論調査室長などを経て、2008年から現職。2006、07両年度に埼玉大学、2011年から城西国際大学大学院で非常勤講師を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
日本の外交力 普天間、尖閣と抑止力』より

 

日本の外交力 普天間、尖閣と抑止力

著者  岸本 正人

発売日:2013年2月25日

 

ISBN:978-4-620-32187-5

 

判型:四六判

 

頁数:360頁

 

内容説明

民意との衝突・調整、危機管理。日本の外交・安全保障政策のレベルは、いま、どこにあるのか。政策決定論の視点で普天間問題、尖閣沖事件を取り上げ、抑止力、イラク戦争、集団的自衛権、国際貢献などをキーワードに分析、提言する。

目次

第1章 日米の事件―「普天間の迷走」
第2章 日中の事件―尖閣諸島沖衝突事件への対応
第3章 日本外交の類型と普天間、尖閣事件
第4章 日本外交と抑止力
第5章 日本外交と戦争
第6章 国際貢献と日本外交

著者等紹介

岸本正人[キシモトマサト]
毎日新聞論説委員。外交・安全保障担当。1953年岡山県生まれ。東京大学経済学部卒業後、毎日新聞社入社。政治部、外信部、ワシントン支局、千葉支局長、政治部編集委員、世論調査室長などを経て、2008年から現職。2006、07両年度に埼玉大学、2011年から城西国際大学大学院で非常勤講師を務める
(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

 

 

 

 

 

 

『反射鏡:「神話」に支えられた「現実主義」のワナ=論説委員・岸本正人』 via 毎日jp

Posted on 2011/04/09 by Masaki C.

 

原子核を中心にして四つの電子が太陽の周りを回る惑星のように描かれた「原子模型」を、「オリーブの枝」が左右から包み込む--原発など原子力の平和利用を促進し、軍事転用に目を光らせ、「核の番人」とも呼ばれる国際原子力機関(IAEA)の旗のデザインである。

 オリーブは平和の象徴だ。同じ図案の「オリーブの枝」は国連旗などにもある。が、IAEA旗のそれは、原子模型を「閉じ込める」ようにデザインされている、と映ってしまう。きっと、福島第1原発の事故で、核燃料棒を水で冷やしつつ「閉じ込め」、燃料棒に由来する放射性物質を「閉じ込める」重要性が繰り返し強調され、頭にこびりついているからに違いない。

 地震と津波による東日本大震災、二重の大難に原発事故が重なった。「人災」とも指摘される原発事故が政府の震災対応の足を引っ張り、「原発避難」を強いられた住民は、故郷に帰る希望を見いだしかねている。明日、「3・11」から1カ月となる。

 「閉じ込める」。これが放射能被害を回避する唯一の最終的な方法であることに、原発と安全の矛盾が凝縮されている。

 放射性物質そのものを人の手で無害にすることはできない。安全を確保するには、十分な距離をとる以外、放射性物質を「閉じ込める」しかない。

 原発を運転すれば放射性廃棄物が出る。低レベル放射性廃棄物はセメントなどで固め、埋設処分される。その土地が農地などに利用できるのは300年後という。高レベルの廃棄物はガラスと混ぜて固め、冷却のため数十年保管された後、300メートル以上深い地層に埋設される。

 セメントで、ガラスで、最後は地中深く、「閉じ込める」しか廃棄物の処分方法がないという事実は、原発が「最終的かつ完全にはコントロールできないエネルギー」を取り扱っていることを象徴している。

 「3・11」以前、日本の原発には「安全神話」があった。米国・スリーマイル島原発事故、旧ソ連・チェルノブイリ原発事故後も、日本の高い技術力が神話を支え続けた。そして、神話は、統御できないエネルギーを完全にコントロールできているかのような幻想を生んだ。

 政府の原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長はかつて「(トラブルの可能性を)全部組み合わせていけば、モノ(原発など)なんて絶対つくれない。だからどっかで割り切るんです」と語ったことがある。驚くべき発言だが、原発の安全が神話に過ぎないことの吐露ではある。

 原発の危機をあぶり出すものは地震、津波だけではない。ヒューマンエラーも、テロもある。第二の福島第1原発はありえないと断言できる者は、いない。

 原発の安全をめぐる論争は不幸な歴史を持つ。政治的争点という色彩を濃く帯びたテーマとして扱われてきたからだ。

 日本の発電電力量全体に占める原子力発電の割合は、1970年代後半から90年代前半にかけて飛躍的に増えた。95年度に34%、2000年度は34・3%となった。09年度は29・3%を占める。原発の比重が増大するのに伴い、原発抜きの日本経済、国民生活は考えられなくなった。

 「3割の電力を失えば日本経済は立ち行かなくなる」「原発の電力なしで国民生活を維持できるのか」--これら、「反原発」を批判する「現実主義」の主張に反論するのは、誰しも容易でない。現状を肯定する現実主義が是とされ、反原発の主張はもちろん、原発の安全性を問題視する議論さえも「非現実的」と社会の片隅に追いやられた。

 「非現実的」な主張を唱える者に対しては、「左翼」「反体制」などのレッテル貼りも行われた。これが、原発の安全論争そのものを萎縮させてしまった面は、否定できない。

 こうして、現実主義が、実は神話に支えられているという根本的矛盾は、社会の大方から忘れ去られてしまった。安全について思考を停止したまま、「現実」に逃げ込んだ。

そこに、ワナがあった

 今、原発について多くを語ってこなかった知識人の間でも原発への懐疑が広がっている。

 加藤陽子・東京大教授は、毎日新聞のコラム「時代の風」(3月26日)で、大岡昇平が戦争と軍部の暴走を許容していた自分と、そのことへの「反省」を前提として文章を書き続ける考えを表明した言葉を引き、そこに「原発を『許容していた』私」を重ね合わせた。

 大岡にならった加藤氏の自戒を共有したい。原発を推進、容認してきた政治家とともに。

 

 

 

 

 

◆ 前事不忘 後事之師

第58回 『危機の二十年』(E・H・カー著)の理想と現実
             ―岸本さんから教わったこと

 

 E・H・カー著『危機の二十年』(岩波書店刊)

 防衛省の報道官をしていた頃のことです。毎日新聞論説委員で、その後逝去された岸本正人さんから『危機の二十年』を薦められました。本屋で買い求めて読み始めましたが、途中で挫折、コロナ禍で自宅にいる時間が多い昨今、岸本さんを偲(しの)びながら読破しました。

 『危機の二十年』は英国の歴史家E・H・カーによる国際政治に関する名著で、第1次世界大戦終結の翌年1919年から第2次世界大戦が生起する1939年までの「戦間期」20年間における理想主義とリアリズムという国際政治の二大潮流が分析されています。

 カーはこの20年について、最初の10年は現実を考慮しない願望が支配するユートピアの時代であったが、次の10年は容赦のないリアリズムが支配する時代に急展開したと分析します。急展開したのは、国際連盟の創設に代表される理想主義が失敗したことによるものです。失敗の理由は理想主義が願望に捉われ、変革しようとする現実世界における「権力」の役割を軽視したことだと説明します。そもそもカーは理想主義者が平和を絶対的な善、戦争を絶対的な悪と見る判断を概ね次のように批判します。

 「平和の主張は現実には支配的な国家が自分に有利な現状を維持するためのスローガンになっている。他方で現状に不満を持つ国が変革を成し遂げようとすれば戦争をせざるを得ない。アメリカ独立運動はそうしたものであり、アメリカ植民者の行動が現状を守ろうとした英国人の行動よりも道義的に劣っていたとは言えない。戦争を始めることが無条件に間違っていると信じるのは難しい」

 カーはそれでも戦争は望ましくないとした上で、現在の国際政治の最大の課題は、かつて現状変革の手段として認められていた侵略戦争が国際法で違法とされながら、他方で不満を持つ国が現状を平和的に変革する選択肢が示されていないことだと主張します。厄介なことは国内政治では立法府の存在により弱者や持たざる者の不満が解消される平和的変革の枠組みがあるのに対し、国際社会には国際立法機関がないことですが、カーは国際立法機関がないから平和的変革など論外であるとするのは悲観的過ぎるとし、「現状」の平和的変革を可能にする条件は「譲り合いのプロセス」にあると述べます。

 この主張は、キッシンジャーが国際秩序が安定する条件として全ての当事国が「少なからず不満を持つこと」であると分析するのと通底しますが、カーは一歩進めて、「現行秩序から最大利益を得る側こそこの秩序から最小利益しか得られない国々でも我慢できるほどの譲歩をして、秩序を維持するべきである」と主張します。さらにカーは、道義の実現は力によって裏打ちされていなければならないとし、現状不満足国家が現状維持国との平和的交渉を促すために実力行使の威嚇をすることを是認します。

 『危機の二十年』は1939年に刊行されました。前年の9月にミュンヘン会議が行われ、英仏がヒットラーに宥和政策を採ったことを考慮すると、カーの主張は宥和政策に賛成していると解釈でき、実際カーはそうした批判にさらされました。

 カーは空疎な理想主義を非難する一方で、現実の変革を拒むリアリズムは老人の思考だと辛辣(しんらつ)です。このためリアリズムに支えられた理想の実現、権力に支えられた平和的変革への道を必死に模索をしたのだと私は思います。もちろんカーに対する批判は可能ですし、本が出てから80年以上が経過し、国際社会には新たな問題も出現しています。しかしながら、カーが『危機の二十年』で提起した国際社会において平和的変革をどのように実現するのかは、今でも私たちが真摯(しんし)に向き合うべき重要な課題です。

 軍事の世界はリアリズムが支配する世界です。また軍事的な脅威に対して備えをすることも重要です。しかし、それは癌治療に譬(たと)えれば、外科的治療などの対処療法であり、癌の撲滅を目指すのであれば癌の発生メカニズムとその予防を研究することが重要です。脅威に対して軍事的な備えをしながら、私たちはカーが『危機の二十年』で提起した一段高い視点も忘れてはならないと考えます。もし岸本さんが御健在であれば、こうした議論ができたように思います。

鎌田 昭良(元防衛省大臣官房長、元装備施設本部長、防衛基盤整備協会理事長)

 

『反射鏡:「神話」に支えられた「現実主義」のワナ=論説委員・岸本正人』

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◆ 毎日新聞2024/9/20 05:30

原発・出口なき迷走

34年ぶりの原発建設に大混乱 巻き添えになった日本の名門企業

米南部ジョージア州で原発新設が原因で電気料金が急上昇し、市民が怒りを爆発させている。原発大国の米国で34年ぶりに建設許可された原子力業界期待のプロジェクトだったが、予期せぬトラブルで工期や費用が膨らんだ。それは日本の名門企業を揺るがす事態にも発展した。

 

安価な電力」とも言われた原子力発電の“神話”に陰りが見えています。脱炭素の有力手段として期待する声もあるエネルギー源に、何が起きているのでしょうか。「原発・出口なき迷走」の米国編(全6回)では、かつて原子力の商業利用をリードし、今も国別で最多の原発を抱える米国の現状を通じて考えます。
 

 第1回 新設で電気代急騰 1人暮らしで「月8万円」も
 第2回 AIで電力需要増 整備急ぐ政府の事情
 第3回 34年ぶりの建設に大混乱 巻き添えになった日本の名門企業
 第4回 スタバ、マイクロソフト…… 豊富な電力に集まる企業
 第5回 「コスト」に市民の視線厳しく 長期運転で「ゾンビ化」
 第6回 原発は「脱炭素電源」 高コスト覚悟でも回帰する世界

 
ジョージアパワーのボーグル原発3、4号機=米南部ジョージア州ウェインズボロで2024年8月7日、大久保渉撮影
 
 
 米原子力規制委員会(NRC)がボーグル原発3、4号機の増設計画を承認したのは2012年だった。メーカーは米ウェスチングハウス(WH)。「AP1000」と呼ばれる改良型の加圧水型軽水炉で、東日本大震災の際に福島第1原発で起きたような電源喪失事態でも自動的に燃料を冷却できるなど、高い安全性と効率性を売りにしている。

 「原発ルネサンス(復活)」(米エネルギー省)と期待を集めたものの、実際に工事が始まるとトラブルの連続だった。

 米エネルギー省は23年3月に公表した報告書で、ボーグル原発の工事の遅れの主な原因を分析している。

 まず現場の作業でミスや失敗が多く、再工事に時間を要してしまった。下請け業者から部品や材料の納入が遅れたり、納入品が基準を満たしていなかったりすることもあった。建設作業員の生産性が想定よりも低かったうえ、的確な作業指示やスケジュール管理ができなかった。必要な労働者をなかなか確保で…

 

原発・出口なき迷走:34年ぶりの原発建設に大混乱 巻き添えになった日本の名門企業 | 毎日新聞 (mainichi.jp)