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南極大陸で「驚異的な」熱波続く、平年を10度上回る地域も

南極の海に浮かぶ氷塊

 

(CNN) 地球上の最寒冷地である南極大陸の最も寒い時期に、記録破りの熱波が発生している。

 

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7月中旬以降、南極大陸では気温が平年を約10度上回る地域もあり、季節外れの暖かさは8月前半まで続く可能性がある。最も異常な状況が続いているのは東南極の一部で、通常の平均気温は零下約50度から60度の間だが、現在は零下約25度から30度の間に近づいている。 化石燃料による汚染が地球の気温上昇をもたらす中、他のどの地域よりも壊滅的な海面上昇を引き起こす可能性が高い南極大陸にとって、真冬に夏のような暑さが続くのは憂慮すべき事態だ。 地球上の氷の大半は南極大陸に蓄えられているため、それがすべて溶けると、世界の平均海面水位は約45メートル以上も上昇する。「ドゥームズデー(最後の審判の日、この世の終わりの日)氷河」の異名をとるスウェイツ氷河でさえ、溶けると海面は約3メートル上昇する可能性がある。 米ウィスコンシン大学マディソン校の南極気象研究データセンターの研究気象学者、デビッド・ミコワイチク氏は、こうした冬の熱波は今後も起こり得ると述べた。また、南極大陸で氷床の融解が加速すると、地球の海洋循環も変化する可能性があるとCNNに語った。 英南極調査局の大気・氷・気候チームの科学副リーダー、トーマス・ブレイスガードル氏はCNNに対し、今回の熱波は記録的なものであり、長期的に何が起こるかを示す重要なシグナルだと語った。 欧州連合(EU)の気候情報機関であるコペルニクス気候変動サービスの分析によると、熱波は6月下旬に記録された観測史上最も暑い日にも大きく寄与した。 これは、南極大陸が過去2年間に経験した熱波としては2度目となる。前回の2022年3月には、一部の地域で気温が平年を約38度上回り、この地域で記録された偏差(平年との気温差)としては最大となった。 米コロラド大学ボルダー校の氷河学者であるテッド・スカンボス氏によると、現在の熱波は平均気温からの偏差が22年のレベルには達していないものの、より広範囲で長く続いているという。

「非常にまれな出来事」

ブレイスガードル氏によると、現在も続く熱波の主因となっている一連の大気条件、つまり南極圏の上空を循環する冷たい寒気の渦である「極渦(きょくうず)」の崩壊は、平均して20年に一度しか発生しないと予想されているため、「これは非常にまれな出来事だ」と指摘した。 南極渦は北極渦よりも乱れる頻度がはるかに少ないが、7月後半に始まった極渦の乱れは8月前半まで続く可能性があるという。 同時に、インド洋南西部から複数の暖かい空気の波が、大陸全体の約3分の2を占める東南極に押し寄せた。スカンボス氏によれば、暖かい空気の波が続いたことから、温暖な気温がここ数週間ほぼ継続している。 西南極とスウェイツ氷河は、その崩壊が海面上昇に壊滅的な影響を及ぼすため、近年、科学研究の主要な焦点となっていた。だが、過去数年間の他の研究では、今回の熱波が発生している東南極氷床の融解も同様に問題になっていることが示されている。 近年、急激な変化が起きているのは北極であったが、「これは南極大陸でも(変化が)急速に起こり得ることを示す新たな出来事だ」とミコワイチク氏は語っている。