陸自関係者が証言する。 

「独身の自衛隊員は、駐屯地内の寮に住んでいることが多い。風邪や病気になった場合、医師が駐屯地に常駐していなければ、駐屯地外の民間病院で診断を受けます。例えばインフルエンザと診断されれば、病院のベッドではなく寮の個室で隔離・療養となることがある。この場合、富国生命だけに『みなし入院』として保険金を支払う独自の仕組みがあります。この仕組みを悪用するケースが相次いだ

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「発熱したら30万円もらえるぞ」独自の“保険金”を悪用し…陸上自衛隊が行っていた“小遣い稼ぎ”の狡猾すぎる実態

野党からは辞任を求められる木原防衛相 ©時事通信社

 

 相次ぐ不祥事に揺れる自衛隊。7月以降、川崎重工業が海上自衛隊の隊員らを裏金で接待していた疑惑や、海自隊員が「潜水手当」を不正受給していた問題が次々と明らかになった。だが、海自だけでなく陸上自衛隊でも、民間保険会社の保険金をめぐる不適切な事案があったことが「 週刊文春 」の取材で分かった。 

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 舞台となったのは、九州の陸自の駐屯地。昨年、こんな噂が駆け巡ったという。 「富国生命の入院保険は、風邪で発熱したら30万円の小遣いが貰えるぞ」

保険金が隊員たちの“小遣い”として気軽に申請

 陸自関係者が証言する。 

「独身の自衛隊員は、駐屯地内の寮に住んでいることが多い。風邪や病気になった場合、医師が駐屯地に常駐していなければ、駐屯地外の民間病院で診断を受けます。例えばインフルエンザと診断されれば、病院のベッドではなく寮の個室で隔離・療養となることがある。この場合、富国生命だけに『みなし入院』として保険金を支払う独自の仕組みがあります。この仕組みを悪用するケースが相次いだのです」 

 

 この「みなし入院」を証明する重要書類が「隔離証明書」だ。「週刊文春」は、ある駐屯地で実際に提出された隔離証明書を入手。この文書からは、自衛隊による杜撰な保険金申請の取り扱いと、保険金が隊員たちの“小遣い”として気軽に申請されている実態が浮かび上がってきた――。  7月31日(水)12時に配信される「 週刊文春 電子版 」や8月1日(木)発売の「週刊文春」では、隔離証明書をめぐる不適切な取扱いの内容や元陸自隊員の証言、富国生命の見解、海自の関係者が証言する別の傷害保険金をめぐる不正行為などを詳報している。

「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年8月8日号