会見で陳謝したの だれ?

 

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 鉄道 NHK

新幹線 浜松-名古屋 終日運転取りやめ 脱線車両の運び出し終了

22日未明、東海道新幹線の保守用の車両どうしが衝突して脱線し、脱線した車両を運び出す作業は午後10時ごろ終了しました。JR東海は、22日は終日、浜松駅と名古屋駅の間で運転を取りやめたほか、23日は始発から一部の列車で運休や遅れが発生する可能性があるとしています。

 

JR東海によりますと、22日午前3時半ごろ、東海道新幹線の豊橋駅と三河安城駅の間の上り線で、線路に敷くための石を積んだ保守用の車両が基地に向かって走行していたところ、前で停車していた別の保守用の車両に追突し、双方の車両が脱線しました。

追突した保守用の車両ではブレーキ操作が行われていたものの、何らかの原因で速度を落とせなかったということです。

これにより追突した車両に乗っていた2人がけがをして、このうち、運転士が首の骨を折る重傷、作業員が足を打撲する軽傷だということです。

また、復旧のため、自力走行できなくなった保守用の車両を車輪のついた台車に載せて豊橋駅構内の基地まで運び出す作業が行われ、午後10時ごろ、作業が終了しました。

ただ、22日は終日、浜松駅と名古屋駅の間の上下線で運転が取りやめられ、運転している区間でも、列車の本数が大幅に減らされています。

これについて、JR東海は22日夜行われた記者会見で、「夏休みも始まったところで大変な影響を与え申し訳ない」などと陳謝しました。

また、23日の運行については、乗務員や車両の調整で始発から、一部の列車で運休や遅れが発生する可能性があるとしてホームページなどで最新の状況を確認してほしいと呼びかけています。

《JR東海が会見》

 

 

会見の冒頭で陳謝

JR東海は22日夜、記者会見を開き、「本日は始発より多くの列車の遅延を発生させ、皆様にご迷惑をおかけしたことを深くおわび申し上げます」と陳謝しました。

“ブレーキ操作は行われていたが速度を落とせず”

JR東海は会見で、追突した保守用の車両ではブレーキ操作が行われていたものの何らかの原因で速度を落とせなかったと明らかにしました。

脱線車両の撤去 当初見込みからずれ込んだ理由は

JR東海は記者会見で、脱線した保守用の車両を線路上から撤去する作業が当初の見込みからずれ込んだことについて、「衝突した保守用の車両どうしを切り離す作業や漏れた油を除去する作業、損傷した枕木を20本ほど交換する作業などに時間がかかった」と述べました。

そのうえで、保守用の車両を基地にけん引する作業については、想定していた時速10キロの半分の時速5キロでしか動かせていないと明らかにしました。

けがをした運転士 首の骨が折れていたこと明らかに

JR東海は記者会見で、追突した保守用車両に乗っていてけがをしたと発表していた男性運転士について、首の骨が折れていたと明らかにしました。

また、同じ車両に乗っていた男性作業員は足を打撲したということです。

“あすの運行は行う 列車の本数は未確定”

JR東海は記者会見で、あすの運行について、運行自体は行うものの、列車の本数はきょうの状況しだいのため現時点で確定できておらず、ホームページなどで最新の状況を確認してほしいと呼びかけました。

事故現場では


愛知県蒲郡市の事故現場では、事故から4時間余りたった午前8時ごろ、新幹線の線路上に複数の車両が止まっていて、一部の車両が脱線したままになっています。

また、脱線した車両の周りでは、作業員、数十人が集まって車輪の辺りにロープをかけるなどの復旧に向けた作業を行っています。

現場近くに住む女性は

愛知県蒲郡市の現場近くに住む40代の女性は、「夜中の3時半くらいに『地震かな』というような揺れがあったのでパッと目が覚めた。何かがぶつかったかなと感じた。これがもし新幹線だったらと想像すると怖いです」と話していました。

保守用車両 台車に載せ移動させる方法



 

脱線した保守用の車両を線路上から撤去する作業では、車両を車輪がついた台車の上に載せて移動させる方法がとられています。

車両を載せた台車は、別の車両でけん引してレール上で動かし、豊橋駅の構内にある保守用の車両の基地まで運んでいます。

JR東海の担当者は、現場から基地までは距離があるほか、こうした作業はあまり経験がないため、時間がかかっていると話しています。

保守用車両関係の事故はこれまでにも

新幹線で保守用の車両が関係する事故はこれまでにも起きています。

東海道新幹線では、1993年に、静岡県内で保守作業にあたる車両が別の作業車に追突し、いずれの車両も脱線しました。

山陽新幹線では、2010年に、神戸市内のトンネルで保守用の車両がレールを削る作業をしていた別の保守車両に追突して脱線する事故がありました。

専門家「保守用車両は衝突防止対策が難しい」



 

鉄道の安全対策に詳しい、工学院大学の高木亮教授は、「保守用車両は工事を行うという業務がある性格上、一般の列車と比べて衝突防止の対策が難しく、これまでもそれなりの頻度で衝突が起きている。今回は、まず、何の作業をしている時に何が原因で衝突が起きたのか、詳細な原因究明が必要だ。そのうえで、人為的なミスが起きたのであれば、起きないように教育訓練をしっかり行う必要がある。さらに、衝突を回避するための『接近警報装置』などの技術的な改良も求められる可能性があると思う」と話しています。

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SNSでは代替手段の投稿 “リニア”についても

東海道新幹線の一部運転見合わせによって各地で大きな混雑が起きたことで、SNS上では、代替の輸送手段に関する投稿が相次ぎました。

この中では、高速バスや飛行機を使って移動したなどという声がある一方で、JR東海が2027年以降の開業を目指すリニア中央新幹線についての投稿も多く見られました。

 

JR名古屋駅の混雑を目の当たりにした利用客からは「リニア、はよ」や、「こういうときにリニアがあったらな」といった投稿があり、「人為的な事故以外でも災害が起きたときのために必要だと思った」という投稿もありました。

また、福井県の敦賀駅から新大阪駅までの建設が計画されている北陸新幹線についても「やっぱり延伸が不可欠だよね」や、「早く大阪まできてほしい」などという投稿がありました。

“北陸新幹線でう回” 利用客などで混雑 敦賀駅

北陸新幹線と大阪方面などとを結ぶ在来線への乗換駅となっている敦賀駅では、東海道新幹線の代わりに北陸新幹線を使ってう回する利用客などが急ぎ足でコンコースを行き交い混み合っています。

駅の窓口では、切符を求める人で長い列ができていて、北陸新幹線でう回して新大阪駅から栃木県の小山駅に向かうという男性は、「仕方がないです」と話していました。

東海道新幹線が一部区間で運転できなくなっていることを受けて、JR西日本は、敦賀と東京を結ぶ北陸新幹線の上下線合わせて2本と、敦賀と大阪方面を結ぶ在来線の特急上下線合わせて2本を臨時で運行して対応しています。

全日空・日本航空は臨時便運航 大阪-羽田

東海道新幹線が一部の区間で運転できない状態が続いていることを受けて、全日空と日本航空は、大阪空港と羽田空港を結ぶ臨時便を運航しています。

全日空は4便、日本航空は3便、臨時便を運航することになり、両社によりますと、臨時便も含めて22日、大阪と羽田を結ぶ便は満席になっているということです。

会社の研修のために大阪へ来たという東京の30代の男性は、「朝にネットのニュースで新幹線が動かないことを知り、飛行機に切り替えました。

同様の人が殺到していたようなので、航空券が取れて、なんとか大阪に着けてよかった」と話していました。

また、海外出張から東京を経由して京都の自宅へ帰るところだという30代の男性は、「諦めて東京で1泊しようかとも考えたのですが、臨時便が出たので帰ってくることができました。疲れていたのでありがたかった。早く帰って寝たい」と話していました。

《名古屋・大阪・東京など…各駅で混雑》

 

名古屋駅 多くの利用客で混雑



 

JR名古屋駅は新幹線の運転見合わせを受けて、多くの利用客で混雑していました。

東京に出張に行く予定だったという50代の会社員は「朝早くから出て、東京の三鷹に出張に行く予定でした。6時半にきた時点で、運転見合わせのアナウンスが流れていました。待つしかないなと思っています」と話していました。

同じく東京に出張予定だった20代の会社員は「昼以降に再開と聞いてバスの方が早いかと思って検索しましたが、もうどれも満席でした。月曜日からしんどいです」と話していました。

豊橋駅 浜松行き在来線に乗り換える人で混雑



 

愛知県のJR豊橋駅は、新幹線が運転できなくなった影響で、浜松行きの在来線に乗り換える人で混雑しています。

その列は駅の構内にはおさまらず、駅の端から端まで続いていて、中には、列に並ぶのを諦めて、バスやタクシーの乗り場に移動する人もいました。

40代の会社員の男性は、「出張で新横浜まで行く予定だった。こんなに時間がかかるとは思いませんでした。

朝は急きょWEB会議に変更しました」と話していました。大阪から福島の友人の家に向かっていた親子は「家を出てから8時間くらいたちます。

きょうは1日移動となり、疲れました」と話していました。

浜松駅 運転状況を確認する人なども



 

JR浜松駅では運転できなくなっている影響で多くの人が駅の構内を行き交っていて、改札の前では掲示板などで運転状況を確認する人や、職員に乗り換えの方法などを訪ねる人の姿が見られました。

きっぷ売り場では長い列ができていて、名古屋方面に向かおうとしていた人たちが切符を買い替えようとしていました。

一方、改札の中では、東京方面から名古屋方面に向かっていた乗客たちが浜松駅で降り、払い戻しを受けるために長い列をつくっている様子もみられました。

仕事で東京に向かうために、名古屋市から在来線で浜松駅まで移動してきたという20代の男性は、「浜松駅から上りの新幹線が動いていると聞いたので、朝7時ごろに名古屋を出て、ここまで来ました。午後から仕事なので昼前には東京に着きたかったですが厳しそうです」と話していました。

また、埼玉県の実家に向かうために愛知県蒲郡市から移動してきたという50代の男性は、「父親が亡くなり、実家に戻りたいのですが、納棺の時間には間に合わなさそうです。なんとか間に合えばと思って浜松まで在来線で移動してきてこれから新幹線に乗ります。誰のせいでもないと思うのでしかたないかなと思います」と話していました。

新大阪駅 きっぷ売り場に長い列



 

この影響で新大阪駅でも混乱が生じています。新大阪駅の新幹線の改札前では東京方面へ向かえなくなった人が、運行の予定を知らせる掲示板やスマートフォンを見つめていました。

運転再開の見込みは早くても正午以降という案内があり、きっぷ売り場には長い列ができていました。

仕事に向かっていた40代の男性は「早くて昼になるとアナウンスがありましたが、戸惑っています。とりあえず予定の会議は中止になりました」と話していました。

帰省のため、子どもとともに愛知県の実家に行く予定だった40代の男性は「これからどうしようかなと思っています。家にいったん戻るかどうか考えています」と話していました。

東京方面に出張する予定だった40代の女性は「どうなるんだろうと不安ですが、一緒に出張に行く人と対応を相談します。こういう経験は初めてなのでびっくりしています」と話していました。

奈良から新大阪駅を訪れた高校生は

新幹線に乗るために奈良県から新大阪駅を訪れた高校2年の女子生徒は、「きょうから東京で開催される放送の全国大会に出場することになっていますが予定していた新幹線に乗れませんでした。3年生にとっては最後の大会になるので、間に合うか心配です」と話していました。

東京駅では構内に多くの人



 

東京駅の東海道・山陽新幹線の改札前には、運転を見合わせていることを知らせる看板が立てられ、駅の構内では多くの人が立ち止まって最新の運行状況を確認したり、駅員に運転再開の見通しなどについて尋ねたりしていました。

仕事で京都に向かう60代の男性は「午後1時から打ち合わせがあります。本当に困っています。どうするかこれから考えます」と話していました。

また、名古屋に帰るという男性は「これから会社に連絡します。しかたがありませんが、早く帰りたいです」と話していました。

浜松駅 午後9時ごろも混雑続く

JR浜松駅では、新幹線が運転できなくなっている影響で、駅の構内が混雑する状況が続いていて、仕事で移動する人や、夏休み中の家族連れなどに影響が出ています。

在来線の改札では、名古屋方面に向かう列車に乗ろうとする人たちで激しい混雑となったため入場制限が行われ、午後9時ごろの時点でも並ぶ人たちの列は構内から外へと続き、駅の建物を一周するまでの長さに伸びていました。

両親とともに旅行で埼玉県から大阪へ向かっているという小学6年生の女子児童は、「最初は並ぶのがつらかったですが、今はもう諦めの気分です。この先大阪にたどり着けるのか不安で、早く寝たいです」と話していました。

外国人観光客 突然の足止めに戸惑う様子も

東海道新幹線の運転見合わせで、東京駅では運転再開を待つ外国人観光客の多くが、突然の足止めに戸惑っている様子でした。

東京駅の東海道新幹線の改札付近では、22日午前、運転見合わせを知らせるボードが設置され、大きな荷物を持った外国人客が駅員に状況を問い合わせたり、スマートフォンで別の移動手段を調べたりしていました。

駅構内の電子掲示板には、外国人客に運行状況を知らせるQRコードが掲載され、読み取ると英語や中国語など複数の言語で最新の状況が表示される仕組みで、スマートフォンをかざして情報を入手していました。

このほか、日本語で書かれた払い戻しについての書類をスマートフォンの翻訳機能を使って調べる外国人客もいて、多くが突然の足止めに戸惑っている様子でした。

 
 

22日、日本に到着し、京都などに20日間滞在する予定のブラジルからきた男性は、「日本は特に秩序立っていると思っていたので、こんな状況になるとは思っていませんでした。40時間のフライトを終えたばかりなので、疲れていて横になりたいです。どのくらい待てばいいか教えてくれないのは問題に感じます」と話していました。

また、日本に2週間滞在して22日夜、関西空港からフィンランドに帰国する予定の20代の男性は、「日本の列車は時間どおりのイメージがあるので、びっくりしています。飛行機に間に合う方法を考えないといけませんが、もし乗り遅れたらもう少し日本にいられるとポジティブに考えようと思います」と話していました。